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【株式会社スマテン 都築啓一】熱中できる仕事を諦めずに探して欲しい

2023/12/05

Profile

都築 啓一

株式会社スマテン 代表取締役社長

大学在学中に飲食店を起業。東日本大震災でボランティアに参加し、社会貢献を強く意識するようになる。その後、太陽光発電の事業立ち上げを経験した後に、消防設備会社を設立。その後、2018年に株式会社スマテンの代表取締役に就任。
同社は、法令点検のプラットフォーム事業を展開。日本で初めて消防設備点検の報告書が作成できるアプリを開発したことで、注目を集めている。

そんな都築氏に逆境経験から得られた教訓・人生観について伺った。

日本で初めて消防設備点検の報告書をアプリ上で作成可能にした

—— 御社の事業内容をお伺いできますか。

建物には法令点検が義務付けられており、例えば消防設備点検やエレベーターの点検などは定期的に行われます。そのような法令点検のプラットフォーム事業をしています。法令点検の業界は歴史のある業界ですが、DX化などのデジタル化があまり進んでない状態でした。

そこで日本で初めて、弊社が消防点検の報告書が作成できるアプリを開発したのです。今まで2時間近く掛けて作成していたものが、30分程度まで短縮できるようになりました。

歴史のある業界を変えることにこそ価値がある

—— 法令点検の業界への参入されたキッカケをお伺いできますか。

大学在学中に19歳で飲食店を立ち上げて、5年ほど経営していました。その飲食店の経営をしている時に東日本大震災が発生して、復興支援のボランティアとして個人的に参加しました。震災が起きて5日後くらいには現地で豚汁の炊き出しを配っていました。
しかし、ボランティアだとどうしても支援を継続するには限界があります。その時に、事業として社会貢献したいと強く思うようになりました。

飲食店経営の後、環境に優しい太陽光発電の事業を立ち上げました。しかし、当時の太陽光発電の需要は、国の方針がもたらした特需であると捉えていたため、長期的目線で継続する事業としては不安がありました。

次に立ち上げたのは消防設備会社です。東日本大震災の時に、私がボランティアで参加したのは福島県いわき市という、震災後に火災が発生した地域です。震災直後ですから消火活動が難航して、多くの家屋が焼失していました。その現実を見て奮い立ち、防災事業として消防設備会社を立ち上げ、現在の法令点検アプリ開発に繋がっていきました。

現在の社会は様々なことが便利になっています。このままもっと便利な社会になるように取り組むことも、もちろん大事でしょう。しかしながら、それは私たちの生活が安全であるからこそ可能なのです。生活の安全は絶対に必要なものです。法令点検の業界はかなり歴史がありますが、それ故に変えていかなければなりません。歴史のある業界を変えることにこそ価値があると、私は思っています。

ーー逆境経験がありましたらお伺いできますか。

19歳で飲食店を立ち上げました。当時は経営者の知り合いもいなければ、社会に出たこともなく、一般常識が分かりませんでした。そんな時に飲食コンサルタントのような人と偶然出会いました。当時はとても男気がありながら優しさも兼ね備えた人格者に見えて、「こういう人になりたい」と思うくらいでした。

そのため、かなり高額なのですが、売上の10%ほどをコンサルタント料として支払っていました。しかし、人格者だった彼が、だんだん横柄な人柄へと変貌していきました。

それでも「私のことを本当に大事にしてるからこそ厳しくしてくれている」と考えて仕事に励んでいました。当時3年ほど彼と一緒に働いていましたが、休暇は年に1日ずつ。しかも趣味やプライベートの時間もなく、1日の勤務時間は20時間ほど。日本の国内の誰よりも働いたと自負しています。

経営の業績がかなり好調で、店舗の家賃の1日の売上から支払えるほど順調でしたが、横柄な言動から、彼に対して不信感を抱くようになっていきました。暴力を受けることも多々ありました。それでも休みなく肉体の限界まで働くことが3年間ほど続いて、結果的に彼には4,000万円ほど騙し取られていました。

自分の限界を自分で突破するのが一番大変

—— 逆境経験から得た学びを伺えますか。

自分の限界を自分で突破するのが一番大変で、独りで努力を続けても、どうしてもブレーキがかかってしまい、うまくいかないこともあると思います。私の場合、やらざるを得ない環境だったので、結果的にポテンシャルを最大限に発揮していましたし、むしろポテンシャル以上の働きをしていたと思います。

成長するためには、壁を乗り越えなければいけません。成長の定義を「できなかったことができるようになること」だとしたら、それは限界を超えることにも繋がります。初めはわからないことだらけで失敗を繰り返すと思いますが、結果的に成長することを考えれば、失敗も良い経験になるのです。

立場に関係なく相手の気持ちを理解できるような人がいい

—— 貴社の雰囲気をお伺いできますか。

飲食店などのサービス業出身の社員が多く、IT企業でありながらも人間関係がとても良好だと感じています。今は20名程の社員がいて、人間関係で困ることはないです。

採用では人間性を重視しています。「良い人」の定義は難しいですが、能力があっても会社の価値観と合わない人は採用しないようにしています。やはり相手を尊重することが大切なので、立場の上下は関係なく、例えどの立場であっても相手の気持ちを理解できるような人と働きたいです。

ーー今後のビジョンがあればお伺いできますか。

「全ての建物に安全な安心を」というビジョンを掲げており、「法令点検未実施のない世界を創る」というミッションに取り組んでいます。消防点検の実施率を上げていってるのですが、達成するためには会社が存続することが不可欠です。
人の命を守りたい気持ちは、過去に実施したボランティアでの経験から、変わらず今も持ち続けています。

熱中できる仕事を見つけないと本気が出せない

—— 最後に若者へのメッセージをお願いします。

個々人の能力には、そこまで差がないと強く思っていますし、私自身も別に頭がいい人間だとは思っていません。でも、ビジネスには熱中しています。そして、熱中できる仕事を見つけないと、本気が出せないでしょう。

例えばサッカーが得意なのにグローブとバットを渡されて「野球をやって」と言われても、成果を出すのは難しいでしょう。好きじゃなかったり、やりたくないと思ったりすると、上達も成長もしないと思います。

元々19歳の頃から「熱中できる仕事を見つけたい」と思っていましたが、それを見つけるまで10年ぐらい掛かりました。だから自分に合った仕事や、熱中できる仕事を見つけるまで、諦めて欲しくないです。決して「仕事とは、こういうものだから……」と妥協しないで欲しいです。

好きじゃない仕事をやっていると、気分が乗らずに愚痴も出てしまうでしょう。でも本当に好きなことをやっていると、愚痴が出ることはありません。何があっても自責で考えるようになります。
私も10年以上掛かって、熱中できる仕事がやっと見つかりました。だから諦めずに、熱中できる仕事を見つけて欲しいと、本気で思っています。ぜひみなさんも熱中できる、好きな仕事を探してください。そうすれば、きっと良い未来に繋がるはずです!

株式会社スマテン

設立 2018年4月
資本金 6500万円
売上高 非公開
従業員数 36人
事業内容 ・インターネットサービスの開発・運用 ・法令点検管理ソフト「スマテンBASE」 ・消防点検アプリ「スマテンUP」
URL https://corp.sumaten.co/ https://www.wantedly.com/companies/sumaten https://twitter.com/sumaten_co
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