実践型コンサルタントで、ゼロから売上2億円を達成へ。
――御社の事業内容について教えて下さい。
クライアントのセールスに関する課題に対して、実践型コンサルタントで総合的に解決に導くのがミッションです。具体的な事例で説明すると、とある大手グループ系列のマーケティング会社は、大手企業の商材を、お客様からの問い合わせに対して提案していく“インバウンドセールス型”でのビジネスを展開されていました。ただ、今後生成AIやロボットの導入などが進む社会の中で、積極的にこちらから仕掛けていく「アウトバウンド型のセールス体制を作り上げることが急務だ」という希望をお持ちで、当社にご相談をいただきました。
クライアント先に使っていない部屋があったので、そこに私が伺い営業組織を編成。その一室だけでも、年間2億円の売上を達成しました。そこでは、クライアントに徐々に引き継いで内製化を促進しながら、採用や人材教育なども行いました。イチから組織を作り上げて強化し、売上もさらに伸ばしていきました。こうした「ゼロイチ」は当社の得意とする領域です。
──コンサル会社として、独自の強みはどこにあるのでしょうか?
私たち自身が脳をフル回転させ、実際に手を動かしながらお客様と共創する実践型コンサルであることが特徴ですね。たとえば、IT企業に新たな営業部門を立ち上げる場合、スターティングメンバーの採用段階から参画します。組織の立ち上げから研修やマネジメントといった組織構築、そして何よりも大事な「文化の醸成」も担います。ITであれば技術を重んじるエンジニアと、売上拡大をミッションとする営業の間に対立が起きることがないように、双方がお互いを重んじる風土を創り上げるのです。具体的には技術と営業の責任者を別の人物にしたり、評価制度を分けたりするなどハード面を設計しつつ、ソフト面でも私たちが双方の架け橋になってサポートします。
――どんな社員の方が活躍されているのでしょうか?
「元トップセールスパーソン」や「営業にもITにも造詣が深い」といった、優秀かつ個性豊かな人柄の良い社員が揃っています。その経験や知見を活かして「マーケティング部隊を立ち上げる」「社内のDX化を推進」といった課題に対して、クライアント先で責任者として実務をしながらコンサルしていますね。採用方法はヘッドハンティングや紹介会社にお願いすることもありますが、最近はリファラル採用が増えています。みんな「自分たちの会社を拡大したい」といった当事者意識が強いのが特徴です。
逆境から得たノウハウで、さらなるビジネスエッジが生まれる。
――失敗や逆境体験を教えてください。
色々ありますが、一番大きな失敗は「地方と都会の違いが分からず、右腕となる人物を採用しなかったこと」ですね。「まずは北からスタートし、南に進出しよう」という野望を掲げて、縁もゆかりも無い北海道で1人で起業。最初は時間がなくアルバイトスタッフを採用したのですが、これまで都会で培ってきたノウハウがまったく通用しませんでした。東京や大阪といった都市部には「夢ややりたいことがあるから、短期で集中的に稼ぎたい」というアルバイト希望者が多く存在します。地方の場合は「正社員として、安定した環境でゆったり働きたい」という方が多いので「意欲をもって働きたい」という人材は争奪戦になるのです。そこで過去の方針と比較すると、採用基準の間口を広げることになりました。
また、戦略立案やコンサルといった目に見えない業務をしている私が、スタッフたちから見ると「フラッとやってきて、パソコンをいじっているだけの人」のように認識され、浮いた存在になってしまったこともありました。従業員たちから標的にされるような状態に陥ったこともあるのですが、強権を発動してしまうとお客様に迷惑をかけてしまうので、ひたすら我慢していた時期があります。あのときは一人の限界を感じましたね。
──その辛い逆境を、どのように乗り越えられたのでしょうか?
知り合いの紹介で来てくれたマネージャーが「右腕」になってくれたことで、乗り越えることができました。孤立無援の状態から「やっと味方に出会えた」と心底感じました。マネージャーが、私の業務内容や頑張っているところを従業員たちに伝えてくれて、彼らや彼女らの考えなどもマネージャーを通じて把握できるようになったのです。失敗の原因は、これまでやって来たことが通用すると思い込んでいた、己への「過信」だと気付かされました。
失敗から「地方でのアルバイトスタッフのマネジメントやビジネス手法」のノウハウを得ることができましたね。まずは「社長は表に出ない」ことが鉄則です。現場は社員たちで固め、個人よりも「チーム意識」を高めます。そのためにはパワーマネジメント的なやり方は一切排除することが必要で、実際に社内で「怒っている人」を見たことがないですね。ミスがあってもそれを責めず、何かあったとしても冷静に「どうすれば改善するか」を模索し、丁寧にレクチャーしながら共有していきます。
「連続起業家」の体験を味わえる、コンサルの醍醐味。
――目指しているビジョンについて教えて下さい。
「共創社会」を目指しています。各企業の垣根を飛び越え、あらゆる人材が自分の才能を存分に活かせる『適“才”適所』を実現する社会を創造したいのです。ある会社では活躍の機会に恵まれない人材が、別の会社だと貴重な即戦力になるケースは多々あります。高いスキルを持っているのに、埋もれている人材がいることは社会的損失なので、チャレンジできる環境をつくることが重要です。特に地方でビジネスをしていると「東京や大阪では発揮できない能力を、地方なら開花させられるのに」と感じるシーンは少なくありません。都会の人材が地方で活躍することを後押しできれば、地域活性化にもつながります。現在はそうしたビジネスを当社内で担っていますが、今後はプロ人材と企業をマッチングする自社サービス『タスプロ』などを通じて行なっていきたいと考えています。
──理想を叶えるために必要な仲間として、どんな方をお迎えしたいでしょうか?
何かしらの「エッジ」を持ち、チャレンジ精神旺盛な方です。ゼロイチで事業を立ち上げて推進し、組織ビルディングまでを担うので「命がけでやる!」という強い意志が必要な仕事です。正直、プレッシャーは大きいと思います。しかし、仮に失敗するようなことがあっても決して責めることはしません。そもそも徹底してサポートするので試行錯誤しながら成功へと導くことができます。たとえば「人材に対する課題」であれば当社の人事部がすぐ動きますし、「LPを作りたい」という場合は専門の人材を紹介します。「ゼロイチ」の醍醐味は何と言っても、起業家と同じ経験を何度も積めること。結果を残すことで経営者から信頼される相談役となり、急速に成長を遂げることができます。
自分の弱さと向き合い、それを武器にしよう。
――最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。
たくさんあるのですが、よく仲間たちに伝えているのは「自分の弱いところを愛して欲しい」ということですね。自分にとって「弱点」と思っていることを、逆に強みに変えると武器になるからです。たとえば「メンタルが打たれ弱い」という場合は、繊細に相手の気持ちを感じとることができ、他人の痛みも分かるということです。だから、誰よりも優しい対応ができるようになりますし、その上で「前向きに努力している」ことで、その姿を見た周りの人たちがよりポジティブになるためのシンボル的存在になります。「物事を覚えるのが遅い」という方であれば、苦労して成長した分、新人や部下ができたときに誰よりも親切かつ丁寧に仕事を教えることができるでしょう。それは逆に「自分ができるのだから、他人もできるはず」といった天才型の人材が持っていない強みです。
そもそも、人間というのは全員弱いものであって、それをみんなで補い合うのが「社会」というものではないでしょうか。私自身、「自分が優れている」と思ったことはなく、むしろ「人に頼るしかない」という考え方です。実際に周りの社員たちに助けられ、採用もリファラルやSNSで周知してくれているので、素晴らしい仲間たちに巡り合うことができています。会社は「全員のもの」であり、仲間たちがいるから成り立っている組織です。少子高齢社会が進む日本では旧来型の「求人」や「採用」の仕組みで持続させることは難しいと思います。人材が枠に縛られることなく、自分たちの強みを活かせる『適“才”適所』の場で活躍をするという新しい「共創社会」を、みんなで力を合わせて創り上げていきましょう。