美容医療業界における「人」の問題を解決
――御社の事業内容について教えてください。
美容医療業界特化型の集患支援および人材紹介事業を展開しています。集患支援事業はSNSや各種広告の運用サポートを行いつつ、美容クリニックや審美歯科の広告最適化に向けたコンサルティングを行っています。
人材紹介事業では、看護師に特化した転職サービス「美容ナースLabo『ビナラボ』」を2022年5月からスタート。現在のところ医師は紹介のみとなっていますが、今後看護師同様の転職サービスサイトを開設する予定です。
一言で言えば、美容医療業界における経営にまつわる課題を解決するのが私たちの役割です。
――御社ならではの強みにはどのようなものがありますか?
弊社は広告・人材事業と並行して、自社で「Hana beauty clinic」というクリニックを運営しています。ここでは質の高いサービスを追求するとともに、自社で積んだ広告運用やマーケティングオートメーションの成功事例を、クライアントのサービスに落とし込む、テストセンターとしての役割も果たしています。
このクリニックを運営することでしか知り得ない経験により、美容医療業界における現場で生きるノウハウを得られているのが大きな強みであると考えています。広告でいえば最適な広告の構成比やSNSの運用方法、人材紹介でいえば辞めにくい幹部候補人材の採用ポイントは、美容クリニックの実態を知っている弊社だからこそご提供できる価値です。
美容クリニックの予約アプリ「トリビュー(TRIBEAU)」の新宿エリアランキングで一番を取った実績と、ご紹介した人材の1年以内の離職率を業界平均の30%を大きく下回る10%以下まで減らした実績の両方を兼ね備えている会社はほかにはないと思います。
――社内の雰囲気について教えてください。
自己責任であらゆる挑戦をしたい人、広い裁量を持って働きたいというメンバーが多い会社ですね。スタッフからの「やってみたい」という思いは否定せずに「まずやってみよう」という会話が飛び交っている、風通しの良い雰囲気の会社です。
社員だけでなく学生インターンからも0→1の企画や業務改善といったアイディアの声は毎日のように聞こえてきます。この提案の文化は事業の立ち上げにも及んでおり、主事業のひとつであるSNS運用代行事業も新卒やインターンからの起案をきっかけに生まれました。
――事業部ごとの文化の違いはあるのでしょうか。
兼務が当たり前という体制の影響もあり、事業部によって文化が違うということはありません。広告と人材紹介のニーズはクライアントの事業フェーズによって変化していくため、同じクライアントが異なる時期にご利用されるケースが多々あります。広告のフェーズから人材確保のフェーズに移るときには事業部間の連携が必要で、ひとつの事業部だけで完結する業務はないと思っています。
こうした背景もあり、少なくとも私の目から見る限りは事業部を超えて協力し合う文化があると感じています。
逆境を経て手に入れた「大義」への確信
――事業を展開される中で、逆境を経験したことはありますか?
今でこそ美容クリニックに特化した事業を展開していますが、かつては不動産業をメインで行っており、徐々に広告代理店業や人材紹介業へ展開していきました。しかし新型コロナの流行を機に売上が激減してしまい、どうしたものかと頭を抱えました。
――そうした逆境をどのように乗り越えてきたのでしょうか。
今一度原点に立ち返り、私たちが実現すべきパーパスについて構成をしなおしました。コロナによって迎えたピンチは決して小さなものではありませんでしたが、一方で会社のこれからを見つめ直す好機と考え、幹部たちと何度もパーパスを考えるための会議を積み重ねました。一緒に働く仲間と思いを共有しあうだけでなく、その思いを言語化していくのはとても重要だと感じましたね。
その結果、「業界が抱える課題を解決して日本を元気にする」ことこそが私たちに求められる役割であり、美容医療の広告・人材というビジネスならそれが実現できるという答えへと行き着きました。
日本の美容医療はこれまで、施術の技術やコストパフォーマンスの面では韓国に一歩ゆずると言われています。しかしサービス全体の質を見れば世界でも群を抜いており、これから世界に向けて市場を広げられる可能性があると感じたのです。
世界一のメイドインジャパンを世界に届けて外貨を稼ぎ、日本の経済を元気にしたい。経済大国に住む人たちの生活をもっと豊かにしたい。「日本の美容医療を通じて世界に挑む」という大義を得たことで、私たちがやるべきことがはっきりとしました。なかなか最初は事業が思うように伸びない時期がありましたが、最近では積み重ねがようやく形となり、コロナ前の売上が見えるところまでV字回復を果たしています。
――この復活を経て得た教訓がございましたら教えてください。
「大義があれば人の心は折れない」そして「大義があるから一枚岩になれる」という確信でしょうか。ここ数年は社員も大変な時期を過ごしたと思いますが、私たちが見出した大義に賛同してくれたからこそ、一枚岩となり目の前の課題へ一生懸命取り組み続けられました。
日ごろから常々社員にも伝えていますが、どんな天才であってもすぐに諦める人は弊社に必要ありません。たとえ突出した才能を持っていなくても、大義を持って何事にもチャレンジし続けられる人の方が、大きな成功に近づけると証明できたと思っています。
目指すは上場。海外進出でビジネスを拡大させる
――今後のビジョンについて教えてください。
まずは不動産時代を超えるところまでV字回復。それを成し遂げた後は会社を上場させたいと考えています。美容医療の広告・人材ビジネスでもうひとつ頭角を現すために必要なのは、間違いなく海外展開の成功です。豊かな日本という最終目標を実現するためにも、ここは絶対に避けて通れない課題であると考えています。
今後、サポートさせていただくクリニックの中から海外展開を志すところが出てくるのは間違いありません。そうしたクリニックの支援をしながら、日本の美容医療を出店させやすい国のシェアを取っていきたい。そのために必要な資金を確保するためにも、3年先を目標に上場を目指していきます。上場が実現するころにはきっと、メンズクリニックや再生医療といった領域への進出も果たしているはずです。
――ビジョンの実現に向けて解決したい課題は何でしょうか?
現在の課題は戦術論と戦略論の観点から、それぞれひとつずつあります。
戦術論では「管理職の育成・採用」が必要です。今後事業を広く大きく広げていくためには、優秀な管理職の確保が必須です。まずは管理職としてのスキルを持った人材の中途採用を進めつつ、自社内での育成プログラムも確立していきたいと思っています。
戦略論では「オリジナルのプロダクト開発」が必要です。業界のシェアを伸ばしていくためのマーケティングや広報、営業活動に力を入れるのは当然必要ですが、広告や人材紹介だけでは市場が過熱していくにつれ、差別化が難しくなっていきます。
他社が真似できない領域のビジネスを展開するためにも、自社の強みとなるプロダクトの開発・販売が必要になるでしょう。
最後に成し遂げるのは何か。働く場所は「大義」で選べ
――どんな人と一緒に働きたいと思いますか?
私たちが実現したい世界観に心底共感してくれている方と働きたいですね。正直な話をすると、美容医療の事業は「世界進出を通じて日本を豊かにする」という目標実現のための手段のひとつに過ぎません。ですので「美容クリニックで働きたい」「制作としてがんばりたい」という価値観ではなく、もっと先を見据えた世界観という、根っこの価値観を共有できる人に集まって欲しいと思います。
――最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。
これから働く場所を選ぶ機会がたくさん訪れると思いますが、ぜひ自分の中の大義と合致する大義を掲げる会社を選んでほしいと思います。事業内容を重視して会社選びをする人が多いと思いますが、自分の大義と合わない会社では、どこか違和感を覚えながら働くことになるでしょう。
会社は、事業がうまくいかなければ別の事業にピボットしていくものですし、社内でも別職種へ異動することもあります。ひとつの会社の中で働き方が変わったとしても、目指す場所が変わらなければ何も揺らぎません。ぜひ今一度ご自身の中で大切にしている大義を見つめ直し、同じ価値観で働ける場所を選んで欲しいと思います。