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【Ultra FreakOut株式会社 宇木 大介】役員の反対を覆し、合弁会社を立ち上げた過去。社員にも「最高の失敗」を経験させたい

2023/07/14

Profile

宇木 大介

Ultra FreakOut株式会社 代表取締役社長

早稲田大学理工学部情報工学科を卒業後、インフォコム株式会社に入社。合併会社の取締役に最年少役員として就任。ネットビジネス事業部門へ異動、出向先にて執行役員CFOとして2年間従事。帰任後、経営管理室にてチームリーダーを担当。2019年8月、株式会社フリークアウト・ホールディングスに移籍。2020年10月より現職。

同社ではデジタルサイネージを用いた広告コンサルティングを行っており、機材の導入支援から広告の企画・運用までワンストップで提供している。「最高の失敗」を社員に勧め、自由な会社づくりに取り組んでいる宇木氏に、逆境から得た教訓や経営への想いを伺った。

デジタルサイネージ分野のオンリーワン企業

――御社の事業内容について教えてください。

当社は広告事業を幅広く展開しているフリークアウトグループの一員として、デジタルサイネージを用いた広告サービスを提供しています。デジタルサイネージとは、オフィスや店舗などの建物内、屋外やタクシーの車内などに設置したモニターに広告動画や画像を表示する装置であり、近年新たな広告媒体として広く普及しています。

――御社の事業の特徴や競合優位性は、どのような点にあるのでしょうか。

デジタルサイネージの機材導入から、それを用いた広告戦略の立案、実際の広告動画の配信、長期的な運用までトータルに提供できることが他社にない強みです。ハードウェアのみ販売するメーカーや、広告戦略だけを担う広告代理店、ソフトウェアを用いた動画配信だけを行う企業は日本にもたくさんありますが、当社のようにそのすべてを兼ねている会社はほとんどありません。デジタルサイネージはさまざまな場所に設置可能ですが、訴求したいサービスやターゲットに適した使い方をしなければ効果は出せません。そうした企画提案から加わり、実際に広告効果が出るまでお手伝いするのが、当社のサービスです。中でも今伸びているのはタクシーサイネージ広告。グループ会社であるIRISで展開しているサービス「Tokyo Prime」は国内シェアトップクラスです。

――社内の雰囲気について教えて下さい。

私を含め10名程度と少人数のチームで、男女比はほぼ半々。良い意味でマイペースで、「ゆるキャラ」のような人が多い会社です(笑)。当社はどうしても出社が必要な日以外はテレワークも選択可能にしているのですが、自宅を選ぶ人が多いですね。一方でチームワークはとても良く、他の人の仕事にも関心を持ち、困っている人がいたら自然に助けあうような優しさがあります。グループ会社とのコミュニケーションも盛んです。上下関係はかなりフラットで、社長である私とメンバーの会話は日常茶飯事ですし、メンバーの依頼を受けて1 on 1で相談に乗ることも頻繁にあります。人柄は柔らかい人ばかりですが仕事に対する好奇心は強く、営業、マーケティング、事業開発、広告運用など、仕事のカテゴリーを越えて自ら興味のある仕事に挑戦する社員も多いです。

20代で海外企業との合弁会社立上げに挑戦

――これまでに経験された、印象深い逆境経験について教えてください。

最も印象に残っている「逆境」は、20代後半に初めて新規事業の立上げに挑戦したときのことです。当時私は大手システムインテグレーターにおり、コールセンター向けシステムの企画営業に携わっていました。より優れたシステムを求めてアメリカにも出張したのですが、その際に出会った現地のIT企業が、今でいうクラウド型のコールセンターシステムを提供していたのです。2005年ごろの日本ではまだクラウドという言葉もなく、活用している企業もほとんどありませんでしたが、私は自社でサーバをもつ必要のないこのサービスのメリットに着目。この米国企業と共に合弁会社を立ち上げ、サービスを国内で展開する企画を立案したのです。

――先見の明のある、素晴らしい企画です。どのような点に苦労されたのでしょうか。

合弁会社の立ち上げには多額の投資が必要ですので、役員陣からのゴーサインを得る必要があります。そこで私は十分なデータをそろえ、緻密なシミュレーションを重ねて練り上げた企画書を持ってプレゼンテーションをしたのですが、これが惨敗でした。「そんな企画はうまくいくはずがない」「本当に投資が取り戻せるのか怪しいものだ」などと役員全員から痛烈な批判を浴び、前向きなアドバイスひとつ受けられなかったのです。初めての大挫折に落ち込みましたが、私も生来の負けず嫌い。絶対にやり遂げてやろうと決意し、企画を温めつつ時期をうかがいました。

――その逆境を、どのようにして乗り越えたのですか?

幸運なことに、ちょうどその時期に社長が代替わりし、CTOだった人が新社長に就任しました。実はその方は新技術に理解のある方で、私はかねてから一緒に渡米するなどして、新サービスの可能性について伝え続けていたのです。その結果、一転して合弁会社の立ち上げが決定。私は当時最年少で合弁会社の役員に就任し、会社設立の手続きや新ビジネスのマーケティング、営業活動を推進しました。残念ながらクラウドサービスの概念がない日本市場では予想以上に普及が遅れ、合弁会社はいったん本社に吸収されることになりましたが、その後もこの事業を牽引し、大型の契約をいくつか受注することに成功。その後、無事に黒字化することができました。

世の中の度肝を抜く、圧倒的なシェアを目指して

――今後のビジョンについて教えて下さい。

フリークアウトという社名には「度肝を抜く」という意味があるのですが、当社もなるべく早くそういう圧倒的なインパクトをもつ会社になりたいと考えています。具体的なビジョンとしては、メインビジネスであるデジタルサイネージ導入サービスにおいて、まずは国内ナンバーワンブランドを確立すること。現在もタクシーサイネージ向けの広告配信サービスではトップクラスのシェアがありますが、まだまだ当社が存在感を発揮できる場があると考えています。実は日本は海外と比べてデジタルサイネージの普及が遅れており、市場そのものを開拓する余地が十分にあります。特に、私たちが手掛けているネットワーク配信型のサイネージは柔軟な広告戦略に対応できるため、今後の伸びしろに期待できるといえるでしょう。

――そのビジョンを実現するために、御社にはさらに何が必要だと考えていらっしゃいますか?

一言で言えば「人材」です。もちろん、今いる社員は全員が素晴らしい人材ですが、今後の目標を達成するためには、もっとたくさんの、もっと多彩な人材に加わっていただく必要があります。事業企画においても営業においても、当社の原動力はあくまで「人」。新しい人材に加わっていただき、今いるメンバーと相乗効果を発揮してチームが機能すれば、日本のデジタルサイネージ市場を一変させる大きなインパクトを生み出せると私は確信しています。

安心して、「最高の失敗」を経験してください

――最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。 

皆さんの周りを見渡せば、サイネージは実にさまざまな場所で見つかると思いますし、これからも増え続けるでしょう。新規事業や「新しい広告のカタチ」にほんの少しでも興味があれば、ぜひ、当社を見に来てほしいと思います。

当社は風通しが良いのと同時に、失敗を恐れずにチャレンジできる会社です。フリークアウトグループのバリューのひとつに「最高の失敗」という言葉があるのですが 、実はこれは私自身の個人的な理念でもあります。先ほどもお話しした通り、私は20代で新規事業立ち上げに一度挫折し、その後役員の意見を覆して成功させた経験があります。当社の若い社員にも、 ぜひかつての私のように失敗を恐れず挑戦してほしい。実際、22年にリリースした当社の新サービス『Escorter』も、自ら私にアイディアを出した若手社員に一任し、実現したものです。新サービスならではの困難もありましたが、この社員の奮闘は結果的に当社に大きな利益をもたらしてくれました。

今働いている若手社員の多くはサイネージの初心者でしたが、入社後は仕事を通してどんどんサイネージの知識を吸収し、さまざまなチャレンジをして成長し、第一線で活躍しています。

今後は海外の手法や技術を日本に取り入れる動きも盛んになる中、海外に出張して知見を広げるなど、国際的なフィールドも広がるでしょう。「最高の失敗」を経験しながら成長できる。しかも、困ったときはみんなで助け合える。そんな環境を用意して、お待ちしています。

Urltra FreakOut株式会社

設立 2017年12月
資本金 1,000万円
売上高 非公開
従業員数 10名(2023年6月現在)
事業内容 デジタルサイネージ事業(開発、提供、創出支援) / 動画広告配信基盤(開発、提供) / DOOH事業(コンサルテーションの提供) / DX事業(開発、提供、創出支援)
URL https://ultra-fout.jp/
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