多様な価値観を重んじる、個性的な若手社員が集う。
――御社の事業内容について教えて下さい。
クライアントとエンジニアをつなぐSES事業と、オンライン教育ビジネスを展開。「まったくの未経験からでも社会的に求められるIT人材に教育し、活躍できる」という体制を整えているのが強みです。エンジニアファーストを徹底し、会社の都合でアサインしないので離職率は低いですね。常に高いモチベーションで働ける環境を用意することでエンジニアたちは抜群のパフォーマンスを発揮できます。クライアントからも高い評価をいただいており、不満の声はほとんどないことから、「トラブル対応に追われる」といったストレスを当社の営業が感じることはありません。
未経験からでも優秀なエンジニアになれる理由は、SES及びプログラミング教育の講師経験者による教育と各社員の成長意欲のおかげですね。また、ただ一方的に教えるだけではなく、自助努力を促すことも特徴です。自ら目標を定めてもらい、当社がきめ細やかにフォローアップ。技術のみならず、チームワークの大切さなどもレクチャーしています。会社の方針も「エンジニアファースト」を貫いているので、個々の選択に任せています。場合によっては、「当社を卒業する」という進路になった場合も応援しますね。
――社内の雰囲気について教えて下さい。
さまざまな業界から来てくれた個性的な若手が集っており、多様な価値観を尊重し合う和気あいあいとした雰囲気ですね。私が代表になったのが1年半前なのですが、この1年で急激に社員が増えました。半期に一回Wizコミュニティという全体MTGをオンラインで毎月開催していますが、半期に一回はリアル開催をしています。そこでは例えば「未来のウィズテックはどんな会社か?」というテーマについてチームで考えて、考えた内容を「プレスリリースにまとめる」などの取り組みをするのです。全社員で会社のことを考える場としていますね。
最初はどんな雰囲気になるのか不安もありましたが、やってみると大いに盛り上がりましたね。今、中・長期戦略を策定中なのですが、そこにはミーティングで出てきた要素を盛り込んでいます。たとえば「教育事業」「受託開発」といった内容ですね。中には、「託児所をつくりたい」という案もありました。社会課題の解決を目指すビジネスを手掛けることは、当社が成長する上で必要なので、先のことになるとは思いますが視野に入れています。まずは「教育事業」に着手する予定です。後ほど詳しくお話しますね。
逆境は次のステップの礎に。そして教育事業に参入へ。
――逆境を感じられたことや、それを活かしている方法はありますか?
個人的には失敗や苦労を感じるようなことはなく、経験を糧にしているのが本音ですね。ただ、他の経営者から「大変ではないですか?」と言われるのは、親会社の経営企画の業務をしながら、当社の社長をしている点です。方針として「経営的に親会社のサポートを受ける」ことは健全ではなく、シナジー効果を高める必要性があるものの、独立採算があるべき姿だと思っているので理想に向けて邁進している最中です。10年を目処に基盤を整え、その頃に事業を受け継ぐ後継者を見定めています。
あと、「これがベスト」と考えると、そこで成長は止まってしまうので「ベター」を目指しています。ゆくゆくは後任を育成して任せられるようになったら権限を移譲し、私自身はまた新しいことにチャレンジしたいですね。
──先述の「教育事業」の内容と、展開しようと思ったきっかけを教えてください。
法人向けの「Wiz学」という教育サービス(eラーニング、オンライン授業)を2023年7月末リリースに向け準備中です。当社だけが独占するのではなく、販売促進とコンテンツシェアをともに担ってくれるパートナー制度の導入を予定しています。きっかけは、親会社で9つほどの部署を横断した経験が土台となっています。
最初は営業だったのですが、売上をつくる部署だけに「会社を支えているのは自分たちだ」という気持ちがありました。しかし、内勤を経験したことで「営業が頑張れるのは、バックオフィスのサポートがあってこそ」ということに気付かされたのです。また、社内を横断しながらHRやSDGsといった領域を、数多くの人たちと一緒に推進する中で、35歳を超えた頃に「この経験を自分だけに留めるのではなく、伝えていきたい」という欲望が芽生えました。
すべての会社が会社という垣根を超えて技術やノウハウを伝承することができれば、一社だけが成長するだけではなく、影響を与え合いながら社会全体も成長していきます。それを具現化する方策のひとつが「WIZ学パートナー制度の導入」です。競争型ではなく、共創型のeラーニングサービスで各企業が持つナレッジなどを持ち寄り、次世代をより良いものにしていくのが会社のあるべき姿ではないでしょうか?
働きやすさを追求し、ブランド化を目指す。
――今後のビジョンについて教えて下さい。
規模に関係なく、魅力的な会社にしたいですね。現在力を入れている人材育成もそうですし、働きやすい仕組みや制度もどんどんと取り入れることで、参考にしてもらえる組織にしたいと思っています。それを実現し、他社にコンサルできるレベルにまで持っていければ嬉しいですね。ウィズテックという「ブランド」を確立し、当社で働いていること自体が「魅力」になるような企業にしたいと考えています。
自社の「ブランド」を確立させたいというのは、営業職のときには思ってもいませんでしたが、さまざまな人と関わり、時代の移り変わりを実感して考えるようになりました。昔と今では価値観も大きく変わってきています。特徴的な事のひとつにSDGsがあります。現在は学校でも教育として取り上げているため、非常に関心が高く、自分の子どもを見ていても、夏休みに「SDGsについて述べよ」という宿題が出されていますし、親会社で新卒採用にたずさわっているときにも学生から出るのは「社会貢献」という言葉でした。
今の価値観では「好業績を残している会社」であるのは当然のことで、その中身が「自らが所属する会社が、いかに社会に貢献できているか?」が問われている時代だとしみじみ思いますね。そのためには変革が求められます。私たちの世代は役職やポストにしがみつくのではなく、後進を育てて必要があればポジションを譲り、自分はもっと高みを目指さなければなりません。といっても、難しく捉えるのではなく「自分が面白そうだ」と感じることにトライできる組織づくりができれば、自然と社会全体が上向いていくと思いますよ。
「学びたい」と思える環境を整え、成長を促進する。
――最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。
まずは情報過多の社会の中、極端に失敗を恐れてネット情報などに頼り過ぎるのではなく、やはり「行動して経験を積んで欲しい」ですね。また、ダイバーシティという言葉がビジネスの世界でも使われだして久しいですが、そもそもこうした言葉が使われない社会こそが多様な価値観が受け入れられた世界だと思います。たとえば「最近の若者は」と話す年配の方も「老害」という言い方をする若者も、世代をひとまとめにして論じるのではなく、お互いの意見を受け入れてほしいのです。お互いが寄り添いあって初めて対等ではないか、と私は思っています。もしお互いを尊重しあう「働きやすい環境」で働きたいと思っている方はぜひ、当社の門を叩いてください。
こうした「成長できる環境づくり」に重きをおくようになったのは、私が初めてマネージャーになったときに「人を監視するように管理する」方法で失敗したからです。気合だけが空回りしてしまい、みんながつまらなそうに仕事をしている様子を見て、環境や仕組みづくりに対して、最大限コミットしようと考えました。よくよく考えると、学生時代に「勉強しろ」と言われたら、やる気が削がれましたよね。でも、自分にとって必要であると思えば、学ぶようになります。だから仕事上でも「成長のためにこの勉強は必要だ」と自分で思えるようになる環境づくりが理想的です。
あとは「キャリアパス」という言葉にも縛られなくて良いと思いますね。一人ひとり価値観は違うので、決まりきった道筋だけを示す「キャリアパス」ではなくもっと自由に自分の行く先を決めていく「キャリアビジョン」を描けば良いと思います。それを具現化するため、当社が目指す“「やりたい」を、かたちに。”というビジョンに向かい、経営に注力しています。