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【Ascent Business Consulting株式会社 北村 貴明】崇高な理想を、ビジネスというツールで現実に変えていく。

2023/06/30

Profile

北村 貴明

Ascent Business Consulting株式会社 代表取締役社長

関西学院大学を卒業後、シンクタンクや外資系コンサル会社に勤務。常にトップクラスの成績を残し、年間優秀プロジェクト賞や社長賞を受賞するなど内外から高い評価を受ける。2012年Ascent Business Consulting株式会社を創業。

現在、「はたらき方改革」をキーワードに、「先義後利」の経営理念を実践中。また、世界上位2%のIQ保持者のみが参加可能な『MENSA』の会員という顔も併せもつ北村氏に、「先義後利」の考えに至った背景や失敗体験をどのように乗り越えてこられたのかお伺いしました。

「いい人」採用で、5つの事業をすべて成功に導く。

――御社の事業内容について教えて下さい。

大きくわけると新規事業の立案から立ち上げ、実行の支援などを行なう「コンサルティング業務」と、全国のみならず海外展開しているコワーキングスペースの経営といった「事業運営」を展開しています。コンサル業務は、もともと私が金融機関の海外事業の拡大に向けた戦略立案やプロジェクトのお手伝いなどをしていた知見を礎にしており、ビジネスは順調に推移。現在実務はメンバーたちに任せ、私は経営に専念しています。コンサル領域は多岐にわたりますが、一例をあげるとITやDX化を浸透させるためのマネジメントや仕組みづくりの支援などを実施していますね。

また、炎上したプロジェクトを解決に導く“火消し”も実施しますが、そもそも「トラブルなどを事前に回避する準備計画」の段階から参画し、「備えあれば憂いなし」の状況を生み出すのが当社の得意とするところです。

事業会社の運営は、「日本の“はたらき方”をもっと自由にアップデート」というVisionを実現するため、コンサル業務とのシナジー効果を最大限に追求。偶発的な成功ではなく、「再現性の高い事業づくり」を実現できるのが強みだと分析しています。5つの事業すべてで成果を残すことができているのは、メンバーたちの頑張りのおかげです。

――なぜ、経営理念の「先義後利」の境地に至ったのでしょうか?

「ズルいことで利益を得ても意味がない」という気持ちを幼少期からもっており、親もモラルを重視したやり方で商売を軌道に乗せる様を背中で見せてくれたことが、原体験としてありますね。その後、自分自身の経験として「稼ぐことより、感謝されることの方が嬉しい」「自分もお客様も苦労して、課題を一緒に乗り越えることが楽しい」と実感する出来事を何度も経験し、強固な信念として根付きました。道徳を重視する経営方針は、古き良き時代の日本企業が大切にしていた信条だと思います。

――社内の雰囲気について教えて下さい。

「いい人」を採用基準にしているので、心根が美しい社員ばかりですね。どんなに巨額の売上数字を達成している大企業も、突き詰めると会社を構成しているのは「人」です。採用の段階で能力は重視しません。「先義後利」の価値観に対して共感してくれる社員をお迎えしています。

トライ&エラーの前に備えもあれば、さらに患いはなくなる。

――事業で失敗した体験と、それを乗り越えた方法について教えて下さい。

今は全国と世界に展開しているほどうまくいっている「コワーキングスペース事業」ですが、実は最初「調子に乗って、安易に手を出した」ことで失敗した経験があります。ビジネスはトライ&エラーが必要ですが「やってみる前に、確認できることがある」ということを学びました。そこで「なぜ失敗したか?」をすべてノートに書き出し、課題をチェックしていく過程で「中途半端はいけない」ことに気付かされました。

当時のコワーキングスペースは机と椅子を置いてWi-Fiを揃えているだけのところがほとんどで、利用者もまばらな状態でした。しかし、オシャレなシアトル系コーヒーショップに目を向けると、ビジネスパーソンたちが殺到してパソコンを開いていたのです。みんなコーヒーを飲みに来たのではなく、わざわざお金を払って仕事をしに来ているのを見て「場所ではなく、雰囲気が大切」ということを悟りました。ただ、「内装をカッコよくするだけ」といった上辺だけではまた失敗します。モチベーションそのものを上げるような「本質的なオシャレな雰囲気づくり」に向けて、総合的に取り組みました。

また、常に改善を重ねることも必要になります。たとえば、討論などが弾む会議室は最初ひとつだけで、予約が入ると他の人は使えませんでした。しかし、「待ち行列理論」的にはふたつにすると、2倍ではなく3倍以上の需要を吸収できることに気づき、すぐに増やしましたね。少し前、洗練されたワークスペースを提供するアメリカ発の会社が鳴り物入りで日本に上陸しました。でも、その5年前から当社は既に「オシャレでやる気の出るコワーキングスペース」を提供してきたので、“日本初”という自負があります。

――個人的に、辛いと感じた経験はありますか?

人間関係ですね。初期の頃に友達を誘って採用したものの「うまくいかずに、友達を失ってしまった」という経験が数回あります。共同経営者なら同列ですが、雇う・雇われるとなると、関係性が横から縦に変化してしまうのです。この記事を読んでいる方で、同じように誘われたり、誘おうと思ったりしている人がいたら、ぜひ一度その点を考えてみて欲しいと思います。

日本の課題を解決に導くという、明確なビジョン。

――今後のビジョンについて教えて下さい。

日本は超少子高齢社会が加速する宿命です。そこで、一人ひとりの生産性向上が解決の糸口になります。これまでひとりが終身雇用でひとつの会社を支えていましたが、テクノロジーを駆使したり、働き方を変えたりすることでひとりが5社で力を発揮することができれば生産性は5倍になるのです。そんな社会を創造するため、働ける場所を提供したり、フリーランスで働きたい人をマッチングする仕組みを作ったり、企業そのもののパフォーマンスを高めるコンサルを手掛けています。

もっと力を注ぎたいのは人生を変えられる「教育」です。学歴社会では一度路線を外れると、目指すキャリアに進むのが困難という現状があります。しかし社会から必要とされる価値の高いスキルを身につけることで、人生を逆転できるのです。さらに最近気づいたのが、日本が得意とするアニメやゲームといったコンテンツは「概念的なことを理解する」という教育分野でも役立つツールだということ。DXやITは世界共通なので、ここをビジネスにすれば日本のみならず、世界全体を良くできると思っています。

――利他の精神を貫かれていますが、原点はどこにあるのでしょうか?

一時期「会社は誰のものか?」が話題になりました。会社は「株主のもの」であり、「利益を追求する組織」と書かれている書物もあります。しかし、会社は社会貢献をするための“公器”であり、「一部の株主を儲けさせるためだけの存在ではないはずだ」という違和感がありました。この違和感は、私自身が国内最大規模のグループ会社がその年だけ「新卒採用ゼロ」といった超就職氷河期を経験したことで芽生えました。優秀なのに就職できない周りの友人たちを見て「何か助けになりたい」と強く感じたのが原点ですね。

俯瞰的目線も当事者も。双方を手にして加速度的成長を。

――最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。 

「チャンスの可能性を広げる」ことが大切です。当社のPRになりますが、うちでは早期にチャレンジできる場を用意しています。多くのビジネスパーソンが「仕事ができる人になりたい」という願いを持っており、「優秀な人たちが集まり、切磋琢磨している」というイメージが色濃いコンサル業界が人気を集めていると思います。ただ、コンサルタントとして優秀でも、自分が事業をやってうまくいくとは限りません。求められるスキルが違うからです。その点、当社なら俯瞰的目線を持って事業を改善する能力と、当事者として事業を導くという双方のスキルと経験を得ることができるのです。将来的には、当社でずっと活躍するのはもちろん嬉しいですが、起業して他の道に進んだ当社の卒業生が「Ascent Business Consultingの出身です」といって活躍するような、人材輩出会社になれたら望外の喜びですね。

そういえば、ひとつ懸念に感じているのは「チャンスの喪失」です。昔は、今日の基準に照らしわせると「ブラック」と言われる状況がありました。「若いうちに買ってでもしろ」と言われる苦労が向こうからやってきて、そのときはしんどいと感じても乗り越えて振り返ると「スキルや人間力アップなどにつながるチャンスだった」という事例が多くあったのです。もちろん、心や体を摩耗するような「ブラック」は今も昔も論外ですが、「成長に必要な苦労」を経験する機会が排除されている現代社会においては、「チャンスに対してより貪欲に掴みに行かなければならない時代だ」と言えるでしょう。

Ascent Business Consulting株式会社

設立 2012年6月1日
資本金 3,000万円
売上高 21億円(2022年度実績)
従業員数 94名(2023年4月現在)
事業内容 ITコンサルティング ・業務コンサルティング ・システムインテグレーション ・デジタルトランスフォーメーション(DX)関連サービスの開発、提供 ・ コンサルタントとプロジェクトのマッチングサービス ・副業者とプロジェクトのマッチングサービス 場所の提供 ・ コワーキングスペースの企画・運営 スキルの提供 ・コンサル・IT教育サービス情報の提供 ・新しい働き方、自由なはたらき方のためのオウンドメディア
URL https://ascent-biz.com/ https://basispoint.tokyo/ https://consulportal.com/
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