人財とデジタルの力で、日本を元気に
—— コクーの事業について教えて下さい。
当社の主力事業は、「ITインフラ事業」「EXCEL女子事業」「デジタルマーケティング事業」「RPA事業」「REALVOICE事業」の5つです。今、注力しているのは、RPA事業ですね。将来的にはIPOを目指しているのですが、そこにむけて集中的に伸ばしているところです。
——事業ドメインの選択理由は何でしょうか。
当社のパーパスは「デジタルの力でダイバーシティ&インクルージョンがあたりまえの社会を創る」です。「社会問題の解決」を軸としていて、どの事業にも、少子高齢化による人財不足を補って、多様な属性を持った人が活き活きと働けるような環境を創る点が共通しています。ある調査によれば、2030年までには「労働需給ギャップ」が644万人に達すると言われています。必要な労働人口に対して、600万人以上の人手が足らなくなるわけです。日本を元気にしていくにはギャップを埋める必要があるのですが、現実的に考えて人口を増やせるわけではない。この問題を解決するために、我々は「人財」と「デジタル」の両方の力が必要だと考えています。人財とひとくくりに言っても、女性もいるし、シニアや外国人、若手もいる。多様な属性を持った人がデジタルの力を身につけて活き活きと働けるようになれば、ギャップを埋められるし、日本が元気になる。これが我々の掲げているパーパスです。
——女性の方を多く採用されているのも、その一環なのでしょうか。
色々な人財が活躍できる社会の実現に向けて、最初に人口の半分を占める女性が活躍できる環境を創りたいと考えました。IT業界未経験で、手に職をつけて多様なライフステージで活躍したいけど、どうやったらいいかわからない。そんな女性にフォーカスして、デジタルの領域で活躍できるように育成しています。採用した人にDXの教育をして、活躍できる人財になったら、客先への常駐で活躍したりリモートワークでサービスを提供したりして、スキルアップしながら更に成長していきます。
——デジタル業界の中で、女性が多い会社は珍しいですよね。
当社の社員は約8割が女性なのですが、ここまで女性の多い会社は、業界に無いと思います。当社には研修制度がありますので、未経験者にも求人を出しているんですけど、去年は毎月約1,000名くらいの応募がありました。その中から当社のカルチャーに合った方を探して採用すると、だいたい2~3%くらいの採用率になります。
人が人を呼ぶ、心理的安全性の高い環境
—— 社風について教えてください。
心理的安全性が高い環境だと思いますし、社員同士も仲が良いですね。そのおかげで、仕事で起こった問題や課題、アイデアが全て、社員みんなが見えるテーブルに上ってきます。私が思うに、世の中の会社には、思ったほど難しい問題は多くないんです。社員みんなが問題や課題を共有できるようにすれば、基本的に解決できない問題は無いと考えています。ただ、問題が共有されないから、解決できないんです。当社ではコミュニケーションの機会や、手段を多く用意して、問題や課題やアイデアを素早く共有できる制度を作っています。誰にでも、なんでも、いつでも言える社風があれば心理的安全性も高いし、会社も社員もハッピーになると思うんです。
—— 社内の環境を創る上で、意識されていることはありますか?
社員一人ひとりが当事者意識を持てるような環境づくりを意識しています。より付加価値を付けられる教育環境や、モチベーションを上げられるような制度、社員自身がコミットしていけるような目標などを、社員で話し合いながら設定していますね。
例えば入社したばかりの人にメンターを付けて、半年間は様々な相談ができるようにする制度があります。もちろん上司やリーダーのサポートはあるけれど、安心して会社にコミットするには、相談に乗ってもらえる人がいたほうが安心できますよね。他にも、社員の中でママ社員が中心になって、子育てをしながら働きやすい制度や環境を創る「ままさぽ」というプロジェクトがあります。社員が主体で制度を創るので、自分たちで働きやすい環境を創っていけるんです。
—— 中途での募集もされていると伺いましたが、どんなご経歴を持っている方がいらっしゃいますか?
本当に様々ですね。CAやグランドスタッフのような航空業界の方や、ブライダルプランナーの方もいます。他だと、アパレルの店長のように、何かの店長をされている方も多いですね。
経験やスキルは無くても、これから活躍したいというマインドを持っている方は多いです。そういう方は未経験でも、2~3年で加速度的に成長して、バリバリ働いてくれます。で、活躍している社員にインタビューして「採用ブログ」等でメッセージを発信すると、「自分もこうなりたい」と思う人が集まってくるんです。
「カッコよさ」の種類が変わったきっかけ
—— 入江社長の大切にされている考え方や、信念を教えてください。
シンプルなんですけど、「カッコいいか、カッコ悪いか」という物差しを大事にしています。10代のころ、起業してCEOになろうと考えたのも、カッコいいからという理由でした
ただ年を重ねていくにつれて、カッコよさの種類が変わってきて。今は社会のため、社員のために行動するのがカッコいいと思っているんです。1度きりの人生の中で、常に輝いていて、全速力でできるかを、常に意識しています。
—— 物差しが変わった、視座が上がったきっかけは何でしょうか。
先に若いころの話をするのですが、最初に起業したのは19歳の時なんです。その時は完全に勢いだったので、インターネットバブルの時代なのにITの知識が全くなかった。そこでITを知らないとまずい、と思って会社を畳んで、エンジニアとして働き始めたんです。そんな時、とあるお客さんから「7つの習慣」という本をすすめてもらいました。当時の自分は読書の習慣がなかったので、ろくに読み進めることもできなかったんですけど、会うたびに感想を聞かれてしまって。ちゃんと感想を言えるように読んでいくうちに、書いてあることと自分のやっていることが、リンクした感覚を覚えました。そこで、実践につながるインプットの大事さを知りました。今でも活字が特別好きというわけではないのですが、インプットを続けていると成果につながってくるんです。読んだことを実践してみてうまくいった時は、やっぱり面白かったですね。おそらくそこが、自分の人生の転機だったと思います。
「カッコよく」生きるための挑戦
—— 今後の展望について教えてください。
2024年から5年にかけてIPO、上場を目指す予定です。また直近では、「ES(従業員満足度)日本一」を目指して、社員みんながハッピーになるための指標を設けて、達成できるように動いています。そうした目標を掲げながらサービス展開をしつつ、EXCEL女子やデジマ女子、インフラ女子のような事業からロールモデルを輩出して、女性活躍推進企業としての認知度を上げていきます。もっと多くの人にジョインしてもらって、業界ナンバーワンになって、社会に貢献できるような事業を創っていくのが、今後のテーマです。
——目標を達成するにあたって、課題に感じていることはありますか?
女性のロールモデルや、女性の管理職を輩出していくことですね。今考えているところだと、IPO前に社員が800人、900人まで増えて、9割が女性になってくると思うんです。将来的には役員の半分、管理職の8割を女性にするという目標も掲げています。他だと、もっと認知を増やしていくことが課題です。もっともっと未経験でも活躍できる環境があることを世の中の女性に知ってほしいし、DX人財になっていろんな働き方ができることを認識してもらいたい。そのために、女性の活躍を応援するオウンドメディア「Fem Career(フェムキャリア)」の運営も開始しました。
——最後に、メッセージをお願いします。
人生は1度きりです。チャレンジしているとうまくいくことより失敗することが多いんですけど、「死ぬこと意外はかすり傷」です。死んだら終わりですけど、死ななきゃ大丈夫。そもそも、死なない程度の傷なら治りますよね。傷つくことなんか何でもないと思ったら気が楽になるし、カッコよく生きられますし。何より、自分の思ったときにチャレンジができます。チャレンジと言っても大きな事だけじゃなくて、小さな1歩を重ねていけばいい。失敗したら修正すればいいから、思ったように行動してみたらいいと思います。
行動して、失敗したら軌道修正。これをあきらめずに繰り返していくことが、重要なんじゃないでしょうか。もし19歳の自分に何か言えるなら、自分はそう言います。