MiraError(ミラエラ)

【株式会社Lightblue Technology 園田 亜斗夢】リアル現場のアップデート、デジタルの恩恵を全ての人に届けたい

2022/12/13

Profile

園田 亜斗夢

株式会社Lightblue Technology 代表取締役

東京大学工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科在学。AIの社会実装、レコメンダーシステムの研究を行う。AI関連本執筆。
ヒトにフォーカスした画像解析、情報抽出に特化した自然言語処理を軸とした開発を行っている。建設現場の作業員の安全管理・進捗管理、公共・インフラでの見守りと危険検知、製造工場・物流倉庫の工程と衛生安全管理、飲食・小売店等の来客・従業員見守りなどを手掛けている。Human Sensingを活用した映像解析をノーコードで行えるツールとしてHumanSensing BASEを提供している。
デジタル化の恩恵を受けられない領域に、アルゴリズムを活用することでデジタルの恩恵を届けたい思いを伺った。

精度の高い画像解析の技術を提供

—— 御社の事業内容について教えて下さい。

AIを用いた画像解析を事業の主軸としています。 事業背景としては、私の母の実家が林業を営んでいるのですが、林業は労災の発生率が高い産業で、労災による事故をなくしたい思いからLightblue Technologyで画像解析をやっています。ヒトにフォーカスした画像解析を行い、工場の作業工程の見える化や工事現場の安全管理、商業施設の来客分析などを行います。例えば、世の中の監視カメラは実は9割以上が撮りっぱなしで、事故や事件があったときに証拠証跡として用いるというのがメインの用途です。このよのな現状に対して、弊社では監視カメラの映像をデータベースに蓄積することで証拠証跡以外の用途でも分析・可視化しやすくしています。

——他社との差別化、御社の強みはありますか?

差別化の部分で技術的な強みが2つあります。1つ目は、コストパフォーマンスを良くするためにエンジニアリングに注力しています。画像解析は普通のITシステムとは異なり、基本的には常に映像の処理をし続けるので、必要なコンピューティングリソースが非常に大きくなります。結果としてコストが高くなりがちですが、弊社ではエッジコンピューティングを中心としたソリューションを提供することでコスト面をカバーしています。2つ目は、映像解析のベースとなる画像解析において精度の高いモデルを開発しています。幅広いお客様のニーズに合わせたデータセットを既に保有し、厳密に定義されたアノテーションを付与しているのが弊社の強みです。公開データセットで作られたモデルに比べると、検出漏れや誤検出を抑えた高い精度のモデルを提供できています。

——主なお客様は林業や商業施設なのでしょうか?

マーケットサイズの観点から林業と同様の課題があり事業としてインパクトの大きい領域として、現場仕事のある産業を中心にサービスを提供しています。具体的には製造業や建設業やインフラ、鉄道、空輸、電力関係に向けて技術を提供しています。また、最近では商業領域での事例も出てきています。集客方法も最初の頃は知人の紹介でのお仕事が中心でしたが、今はウェビナーによる集客やインバウンドのお問合せからのお仕事が増えています。

若いメンバーが多く、雰囲気は「研究室に近い」

—— 社内の雰囲気について教えて下さい。

特徴としては若いメンバーが多いですね。私は今29歳なのですが、25歳前後が一番多くて、その他に30歳以上の人たちが数人います。会社の雰囲気づくり、組織づくりのテーマは「研究室のような雰囲気」を目指しています。色々な研究室がありますが、基本的に研究室は実力主義の組織だと思っています。能力が高く実力のある人は、先生に認められ国際ジャーナルや国際会議に出したりして出張の機会も多く得られます。一方で、専門を変更して修士課程でジョインしたメンバーであっても、やる気次第でキャッチアップできる環境もあります。先輩から教えてもらえたり、同期同士で情報を共有し合うなど基本的にはサポーティブな関係が構築できていると思います。実力に合わせて挑戦できる機会があり、メンバーからサポートも得られるという研究室的な組織は、最先端技術を扱うには最適な環境だと考えています。例えば、建設現場では故に遭う可能性も非常に高いです。岩などをダイナマイトで爆破して道を掘っていくような現場もあるので、塵肺という大きな労災も起こり得ます。そのようなハイリスクな環境の中で、現場監督の業務が事故のマネジメントに割かれているということを考えたときに、当社のシステムがあればその人件費も削減できて、他の重要な業務に集中できるようになる。つまり、カメラを置いて私たちの解析技術を使えば、現場に行かずとも事故マネジメント業務が可能になるというわけです。そのようにして建設現場の中で僕たちの事業を成功させることが、ビジネスとしての成功に繋がります。例えばトンネルを掘っている現場において、危険なトンネル内に入らなくていい人が沢山入っている状況はたくさんあります。それは日本に限らずグローバルに生じている状況です。それらの危険な状況に対して、まず1個目の「small early success」をどれだけ早くできるかということが非常に大切で、そこは僕たちのような会社が機動力をもってやれることです。ただ、そこにベースとして高度な技術力があるということが重要で、現在はこのような価値観に共感した、非常に高いスキルを持ったメンバーが社員として集まっています。

――働き方はリモート中心でしょうか?

エンジニアは基本リモートで働いてるのですが、月に2回出社する日があります。自由な働き方を実現するためには、社員同士でしっかりとコミュニケーションを取れる機会も大切だという考えから、このような出社日を設定しています。天候によって雨の日や猛暑日は出社しなくてもいいというルールを決めていて、社員にウケがいいですね!プロジェクトによって、対面でコミュニケーションを取りたいという人たちは、週1くらいで出社しているチームもあります。一方で、広島や北海道に住んでいて、完全にフルリモートで働いている社員もいます。基本的には週1回、社員全員がメンターや上長との1on1を行ったり、毎週月曜日に各チームごとの進捗を共有する時間を15分くらい設けるなどして社内コミュニケーションを取っています。

デジタルの恩恵をすべての人に届けたい

—— 今後のビジョンについて教えて下さい。

まずは新規の株式公開(IPO)をすることが大事だと思っています。ストックオプション制度があることや出資してくださる株主がいるため、少なくともIPOできる規模にならないと、僕たちのミッションである「デジタルの恩恵を全ての人に届けていく」ことが客観的に出来ているとはいえないですね。中・長期的なビジョンとしては、弊社が扱う「Human Sensing AI」の技術を幅広い人に届けたいということが大前提としてあり、それを実現できるチーム作りに注力していきたいです。また、世の中の映像は1%もデータ分析に使えていないことに加えて、監視カメラは9割以上が撮りっぱなしの現状があります。これに対して、僕たちの映像解析の技術を使えば、これまでデータベースになかったデータや、ストレージにただただ溜められていたようなデータを普通のデータベースに格納することが出来るようになります。このような形で、世の中の映像データ全てを分析対象にできていることが、長期的に実現したい私たちの世界観です。

――課題点はどういうところにあると思いますか?

優秀な人をメンバーに招きたい部分が課題ですね。そのためには、優秀な人が集まる市場に対して弊社の事業の認知度をより高めていく必要があります。

自分の仕事に1番詳しくなる

—— 最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。

大事なことは「自分の仕事に1番詳しくなる」ことですね。例えば、画像解析システム構築のプロジェクトがあったとします。その際に、画像解析にどんな課題背景があるのか、なぜその技術を選択したのかなどを何も考えず、自分の仕事を業務として淡々と行うのはもったいないことですよね。反対に、自分に与えられた業務以外の仕事を求めすぎるのも少し違うと思っています。個人のキャリアとしてマネージャーになりたいと思っていても、自分がプレイヤー・メンバーとして入っているときにマネジメントを学ぶのは、やはり難しいです。向上心や仕事に対する意欲はとても大切なことだと考えていますが、まずは今の自分が与えられた仕事に集中して、その結果としてポジションが用意された時には、新たに学んでいくという姿勢が良いと思っています。と言いますのも、マネジメントをする際は、技術的な背景やウェブの知識、アルゴリズムについても知っておくべきですし、お客さんの問題設定についても深い理解をしないといけない。実はこれらはプレイヤーの時にこそ培うことのできるスキルでもあるのです。「自分の仕事に誰よりも1番詳しくなる」ことが結局、次のキャリアアップへの近道ですし、キャリアアップした先での成果に繋がると思います。

株式会社Lightblue Technology

設立 2018年1月
資本金 158,005,637円(資本準備金を含む)
売上高 非公開
従業員数 32名(2019年3月末現在)
事業内容 人にフォーカスした画像解析「Human Sensing 」 議事録作成支援ツール「TEXTA」の開発・販売 人工知能、IoTシステム、AIカメラ、プラットフォー ムの開発
URL https://lightblue-tech.com/
この記事が気に入ったら
いいね ! しよう