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【株式会社 サイバーコネクトツー 松山 洋】好きを貫いた先に扉は開かれる

2022/11/29

Profile

松山 洋

株式会社 サイバーコネクトツー 代表取締役

九州産業大学商学部卒業後、コンクリート会社で営業職に就き3年間サラリーマンを経験する。1996年「サイバーコネクト」を設立した当時は、グラフィックデザイナー兼営業。2001年に代表取締役社長に就任するとともに、社名を「サイバーコネクトツー」へと変更する。 その後、2003年に株式会社化。
家庭用ゲームソフトの企画・開発を行っているゲーム制作会社サイバーコネクトツーでは、アイデアの段階からキャラクターデザイン、サウンド、ゲームシステム、プログラムに至るまでの全工程を自社で行っている。こだわりのある作品づくりに取り組み、世界中にファンがいる。
週刊少年ジャンプ、ゲームが大好き。ゲーム業界について熱く語る松山氏に話を伺った。

こだわりのある唯一の作品、世界中にファンがいる

—— 御社の事業内容について教えて下さい。

1996年、今から26年前に福岡で誕生したゲーム開発会社です。
ゲームといえばスマートフォンのゲームと家庭用ゲームにざっくり分かれると思いますが弊社はNintendo SwitchやPlaystation5などのコントローラーを握って遊ぶ家庭用ゲームの制作を手掛けています。
これまで、『.hack』シリーズなどオリジナルのゲームから『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズ、『ドラゴンボールZ KAKAROT』、『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』などのIPをお預かりして制作するキャラクターゲームを主に手掛けてきました。
ちなみに弊社のタイトルは売り上げの9割が実は海外です。日本の少子化によって国内の子どもたちの数が40年連続で減っています。子どもたちイコールお客様の数なので、我々にとって少子化は死活問題です。今のゲーム産業はこの10年20年で大きく変わりました。大きく変わったのはダウンロード販売です。日本にいながら世界中にゲーム販売ができるようになりました。日本の家庭用ゲームの売上は減り続けていますがその分、海外でのゲーム市場は伸びています。

——どのような流れでゲーム開発の依頼が来るのでしょうか?

サイバーコネクトツーは設立してから26年間、企画提案でしか仕事をしたことがありません。
「『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズ、『ドラゴンボールZ KAKAROT』、『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』などのお仕事はどうすればできるのか?」と聞かれることもありますが、弊社の場合は週刊少年ジャンプを読んで「この作品はアニメ化されるだろう」など常に先を読んで企画提案しています。

 

若手とベテランの組み合わせでいいものを作り世界に発信

—— 社内の雰囲気について教えて下さい

弊社の社員は福岡に約200名、東京に約50名、カナダのモントリオールスタジオに約30名、合計で約300名のスタッフが働いています。
40代、50代もいますが、基本的には現場スタッフの多くが若手の20代、30代です。40代、50代は、たくさんの経験があるので管理職や多くの物事を判断するプロデューサー、ディレクターなどのマネジメントを行っています。
若いときは、とにかくいいものを作るだけでいいのですが5年、10年経ったら管理職になってもらわないといけません。組織なので、管理職はたくさんの失敗や成功の経験値を持って若いスタッフを導いてもらいます。
なお、ずっと変わらず継続していることは新卒採用を1番に考えるということです。ゲーム業界では中途採用で即戦力の能力者だけをぐるぐる回す企業さんが多い傾向になります。弊社でも中途採用はしますが、年間5名程度です。新卒は毎年20〜30名を採用しています。

——新卒を多く採用するのはどうしてですか?
我々が作ったゲームソフトを最終的に届けるお客様は、20代よりもさらに若い10代です。かつての子どもだった30代、40代が自分の感覚だけでゲームを作っても、10代には届かないんです。常に子ども達に感覚が近い若手を入れて育てていく。ユーザーに近い感覚を持った若手と、たくさんの経験を持っているベテラン、この2つの組み合わせでゲームを制作しています。

——どんな方を採用したいという基準はありますか?
人物像とよく言われるじゃないですか。でも、その辺は2番目に考えています。もちろん「やる気がある」「前のめりに働ける」「物事を真っすぐ言える」のような人間的な魅力も大事だとは思います。
でも、サイバーコネクトツーでは作る能力を1番重要視しています。クリエイターなので、クオリティーの高いものを作れる能力者であれば年齢、性別、国籍は関係ありません。
うちはいいものを作れる人間、いわゆるイケてるヤツが給料高いし年収が高い。人によっては先輩やベテラン社員よりも給料が高い人間もいます。年下の上司や年上の部下もたくさんいます。

面白いことは何でもやり、新しいワクワクを広げていきたい

—— 今後のビジョンについて教えて下さい。

サイバーコネクトツーは“超アニメ表現”という言い方もしますがゲームの中で「アニメを動かしているような表現」で我々は世界一を目指しています。今後も更にその表現は磨いていきたいと考えています。また根本はゲーム会社ですが、ゲームに限らず漫画やアニメなど幅広いエンターテインメントを手掛けていくつもりです。
アニメを作って、アニメ原作から漫画を作ったり、ゲームを作ってそれらを映画化し広げたりと退屈しない面白い会社にしていきたいと考えています。常にドキドキやワクワクを提供したいです。

——現時点での課題はありますか?
私の後を継ぐ人間にバトンを渡す、私の次のエースをしっかり育てていくことがうちの課題だと思います。ただ、私がいる以上、私より目立つ人間がなかなかいないだけであって、実は後続もエースも次世代がどんどん育っています。
これから、代表作と共に新しいエースが世の中に出ていきます。次のエースはしっかり育ってきているので、ファンの皆様は登場を楽しみにまっていてください。

好きを貫いた先になりたいものになれる

—— 最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。

サイバーコネクトツーにいる約300名のスタッフと私自身、そしてゲーム、漫画、アニメ、映画などエンタメ業界でプロとして活躍している方々には共通していることがあります。
「なんでこの仕事やってるんですか?」「何でこの仕事に就いたんですか?」と聞かれると、100人中100人が「好きだからです」と答えます。端的にそれしかないんですね。好きだからやってるんです。
ゲームクリエイターのプロになるのは簡単です。好きだったらなれます。なれないのは好きじゃないからです。
例えばゲームが好きだったら気づくんです。ゲームが面白いなと思ったら、どうやって作ってるのか?どんな人が作ってるのか?どんな仕事があってどんなツールがあるのか?気になるはずです。それを勉強するためにはどうしたらいいのかを調べれば、今はいくらでも出てきます。これが好きの好奇心なんです。好きだったら自動的にたどり着くはずです。そこに気がついたらもう作っているはずですよ。
なので、若い方には好きを貫いてほしいと思います。

株式会社サイバーコネクトツー

設立 1996年2月
資本金 4000万円(2022年10月末)
売上高 40億円(2021年1月期)
従業員数 265名(2022年10月現在)
事業内容 家庭用ゲームソフト企画・開発
URL https://www.cc2.co.jp/ https://twitter.com/PIROSHI_CC2?s=20&t=Pe2aWuI6l2tWajglxs-BoQ https://note.com/piroshi3
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