社会を動かす仕事に就きたかった
—— 独立のきっかけを教えてください。
学生時代から人の前に出るのが好きで、小中高と生徒会長を務めていたのが最初のきっかけですね。それで大人になっても、社会を動かす仕事がしたいと思いました。
政治家か社長かで迷ったのですが、40歳か50歳から始めるのが当たり前の政治家より、若いうちから始められる社長を選びました。何よりお金が必要なのにお金を集めちゃいけない政治家より、堂々とお金を集めて人のために使える、みんなが幸せでいられる選択ができるトップになりたかったのです。
——実際に事業を始められたのは?
社会人になって3年目、24歳のときです。大学は関西だったんですけど、東京で事業を立ち上げたかったので、上京して新卒で銀行のシンクタンクに入社しました。最初の1年目だけまじめに社会人をやって、2年目から創業の準備をしてましたね。
昼はエンジニアとして働いて、夜は色んな人と名刺交換をしていました。そんなことを続けていると3年目くらいに、仕事を出してもいいと言ってくれる人が出てきたんです。そこで創業するかしないか、という選択を迫られました。
同期には今じゃなくてもいいと言われたし、上司には嫌われましたけど、そう言われたら余計にやりたくなっちゃうんですよね。逆境に負けちゃいけないと思って、有休も使わずに大手を振って会社を辞めました。
仕事がないつらさと、仕事がある感謝
—— 独立されてから、特に苦労したことはなんですか?
会社を辞めて独立したのは良かったんですけど、仕事があんまりなかったんですね。先月まであった稼ぎも無くなって、知り合いの社長から安い仕事を請け負って何とかしていました。
自分の仕事もうまく取れなくて、先が見えなくてお金が入ってこなくて、非常につらかったですね。大きめの仕事にたどり着くまで3か月くらいかかったんですが、もちろん無理して取ってる仕事なのでトラブルが多かったです。でもお金をもらうと決めてることなので、やるしかないと乗り切りました。
——では、YAZを創業されたきっかけは何でしょうか。
1人で丸2年くらい仕事をやって、その後に会社を設立しました。この仕事で生涯ご飯を食べていける確信が持てましたし、当時の20代の平均年収くらいならフリーランスで稼げる自信もありました。もし会社がダメでも、またフリーランスに戻ればいいと思えたのも、自分のセーフティーネットでしたね。
——創業の際に苦労されたことは?
会社の経営とか営業に注力したり、社員を雇っていくと、また自分の収入がゼロになりました。収入がない中で仲間を増やすチャレンジでしたが、ダメだった時のセーフティーネットもありましたし、最初に独立したころよりは大変ではなかったです。
——苦労した経験から得た教訓などはありますか?
一番つらいのって、仕事がなくて暇なことだと思ってます。仕事があるのは当たり前じゃないですし、無くて暇な時間がとにかくつらかったです。でもそんな思いをして、仕事があることのありがたさを感じられるようになりました。
あと独立とか創業とかするなら、20代の若いうちの方が良いんじゃないでしょうか。
30歳や40歳で同じことを始めるのは勇気がいることでしょうし、やると決めたからやるっていう選択ができるのは20代の強みだと思います。
企業とか創業とかにチャレンジする人には、体力も必要ですね。社長ってわけわからないような体力や生命力を持っている人が多いです。自分は自分のことを普通だと思っているんですけど、人からは自分もそんな風に見えるみたいですね。
未来のリーダーを生み出す環境
—— 事業の内容について詳しく教えてください。
主にコンシューマ向けのスマホアプリをお持ちの会社さんから依頼を受けて、媒体ものや店舗のアプリを開発するのがメインです。特にスマホアプリを使った課題解決を得意としていて、顧客集客や顧客情報をどう管理していくか考え、解決策を提示していくことを得意としています。
他にもIoTのようなスマホと他のものの連動やAWS環境の構築、PHPを使ったWebシステムも得意としています。他社でストップしたアプリの開発を引き継いだり、アプリ開発会社のメンターになって教育活動を行ったりするのも事業の一部です。
——同業の他社様と比べたときの強み
まず単純に、開発経験とエンジニアの数が違います。スマホアプリの開発を始めてから10年以上になりますし、ノウハウも蓄積しています。エンジニアの数は75名ほどで、そのうちスマホ関係のエンジニアは30名くらいと多いのも特徴です。
新卒で入社した社員を教育して、エンジニアとして活躍できるモデルが完成しているのも強みです。入社から半年間研修をするんですけど、その間は全く利益を出せないので、一からエンジニアを育てる会社さんはあまりないと思っています。
——社内の雰囲気や、大事にしていることについて教えてください。
社内コミュニティを大切にしています。エンジニアの会社ですけど健康はやっぱり大事ということで、2か月に1回くらい部活動で汗を流しています。内容も野球やフットサル、トレッキングなど色々です。お陰様で「健康経営優良法人」を取得しました。
毎年恒例なのが、普段会わない地方在住社員やリモートしている全社員を集めたYAZFes(全社運動会)です。普段顔を合わせないメンバーと顔を合わせて社内をまとめるために、運動を通じてコミュニケーションをとったり、運動を始める機会を作ったりするために企画しています。
もちろんエンジニアとしての技術を高めるために、ライトニングトーク(5分間プレゼン)やもくもく会(集まって、黙々と勉強する会)も実施しています。
実は運動も勉強会も、企画は全て新卒がやっています。研修の一環として企画や運営を経験させて、自分から人を巻き込んでいける小さなリーダーを生み出すことを大切にしています。
ビジネスとエンジニアの可能性を広げるために
—— 現在、将来に向けて注力されているのはどんな部分ですか?
ユーザー企業のニーズに応えられるエンジニアを、どこまで生み出せるかという点ですね。プログラマー業界は誰かの指示によって働くというワーカー視点の人が多いので、視座を上げていくことを大事にしています。
そのための社内研修も多いですし、合宿も年に4〜5回やっています。エンジニアとしての技術だけじゃなく、ビジネススキルや新卒のためのキャリアアップ、マネージャーや部長、役員としての合宿もしています。
——今後の展望や、ビジョンについて教えてください。大前提として、エンジニアって実は無限に収入を上げられる職業だと思ってます。自分の技術が活かせるビジネスが出てくる限り無限に稼げるので、ビジネスの可能性にエンジニアがどこまで寄り添って行けるかがカギになってきます。エンジニアが相手のビジネスに貢献できる方法を考えると、エンドユーザーのビジネスの部分から伴走するのが重要です。
そういうことができるエンジニアを生み出していくのが、僕らの課題だと思っています。エンジニアとビジネスの可能性を、もっと広げていきたいですね。
もっと安く、もっと低コストで開発したいという会社さんが多いんですけど、逆なんですね。より高い報酬でより優秀なエンジニアに依頼するからこそ、お客様の役に立てるものが提供でき、お客様が稼げるビジネスが展開できると思っています。
加えるのであれば、うちのエンジニアは7割くらいリモートワークなんですね。拠点を増やしていくのも目標の1つですけど、全国どこでも仕事ができる環境をつくれる、ビジネスができるのもエンジニアの強みだと思います。そういった可能性をもっと追及していきたいです。