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【株式会社フラッグシップオーケストラ 大澤 穂高】「メンバーの最大キャリアは家族よりも語れます」働きがいのある会社1位CEOの哲学

2022/08/25

Profile

大澤 穂高

株式会社フラッグシップオーケストラ 代表取締役CEO

日本大学商学部を卒業。医療・福祉系ベンチャー企業に入社し、2年目には営業リーダーに就任。3年目には最年少で執行役員兼事業部長をつとめたのち、2014年に株式会社フラッグシップオーケストラを創業。
同社は、1本2万円〜つくれる格安動画制作サービス「ムビラボ」や、広告効果を測定できる動画広告ABテスト特化型制作・運用サービス「ムビラボアド」など、月間1,000本以上の動画制作を請け負う、動画のプラットフォームを提供している。
CEOとメンバーのキャリアビジョンの共有を重視しており、2021年にはGWPT運営の働きがいのある会社ランキング小規模部門1位を獲得した。
そんなオフィスの働きがいを最大化するフラッグシップオーケストラの大澤氏に、チームの意欲を高める大切な考え方や逆境を乗り越えるメンタリティについて伺った。

目指したのは動画のプラットフォームになれる会社

—— ーーまずは、事業内容について教えてください。

格安大量動画サービスを提供する動画の総合ソリューションサービスです。動画1本2万円〜、月1,500本まで作成する価格の安さと豊富な動画制作量を実現しています。

制作を土台とし、動画広告サービスや、動画配信・分析ツール、動画人材サービスなど動画に関する課題を多角的に展開するソリューションにて解決できることが強みです。

現在動画コンテンツ累計4万本を約2,000社に提供しております。

豊富な動画コンテンツ制作を武器に、動画マーケティングの運用やKPIを含めた効果検証までワンストップで請け負うソリューションが強みです。

ショートムービーを格安で大量に受注できるので、利用者は公告費用をおさえながら効果的な広告効果を得られます。

 

ーー動画は競争の激しいレッドオーシャンだと思いますが、なぜ事業化したのですか?

映像コンテンツの歴史を見ても、この業界はクリエイティブに特化しており、俗人性が高いのが特徴です。

しかし、動画元年と言われている2014年から、テレビやデクストップといった長尺の動画から、スマホのSNSを中心とした短尺の動画がニーズとして増えはじめました。

動画を使って宣伝してみたい、マーケティングしたいという企業のニーズに対して、動画は「高い」、「制作期間が時間がかかる」、「量産することが難しい」といった製作制作者側の課題が解決できていなかったのが現状なのです。

日本には動画を作る会社が約3,000社もあるにも関わらず、9割はTV関連となのでといわれており、Web関連の動画制作とは制作工程やノウハウが違います。

SNSなどで使われてる動画だとそこまでハイクオリティでなくてもいいショート動画でよかったり、大量に更新していくために動画を量産する必要があるニーズが多いのですが、今までの作り方では1本数十万〜数百万かかるケースがあるので予算も合いません。

そこにギャップが生まれています。

弊社では、動画の制作を「動画工場®」という独自で構築した動画制作工程をオペレーション化することで、誰が作っても同じ精度で安くハイクオリティに大量な動画が仕上がるようにしています。

人事採用の本質は、素直でいいヤツ

—— ーー御社で採用してみたいのはどんな人物ですか?

某メガベンチャー企業も言っているのですが、「素直ないいヤツ」というのが本質をついていると思います。

最近の学生は僕らの時代に比べて優秀な方が多いんです。SNSや動画広告など、無意識にビジネスに触れる機会の増えている学生も多いですよね。

インターンもやって当たり前、起業した方もいるほどです。

学生が今持っているスキルで採用しなくても、経験を積めばスキルは伸びてきますよね。

それよりも、性格だったり素直さだったり、本人でさえ意識していないような領域って僕らでも変えられないじゃないですか。

「素直ないいヤツ」というのは人事採用の本質をついていると思います。

もちろん、年齢ごとにペルソナは設定していて、ロジカルか?情熱的か?バランス型か?といった性格のタイプ、どの事業でどのスキルを伸ばしたいかまで具体的に分析して採用しています。

 

ーー採用は少数精鋭で選ぶ感じですか。

例年でも5,6人ですね。

倍率は高めというか、1年や2年で辞めてしまうようなミスマッチをなくそうとしています。

お互いが不幸になりますからね。

会社の哲学やビジョンと言ったものをなるべく言語化して面談者には説明しているんです。

よくないかもしれないけど、弊社のビジョンと方向性が違うと感じた時には別の会社を勧めることもありますね。

弊社がダメというわけではなくて、話を聞いているうちにもっとふさわしい会社が浮かぶこともあってそこを勧めてしまうんです。

たとえ採用に至らなくても、なぜうちじゃなくてもいいのか?といったところまで面談者には具体的に言語化して伝えるようにしています。

もし大量採用になったとしても、この考えは変わらないでしょう。

ネガティブを考えながらポジティブな人は逆境に強い

—— ーー過去の逆境について教えてください。

この手の話しは正直苦手です。もちろん捻り出すのですが、僕ってあまり落ち込むことがないんですよね。

いろんな経営者やヘビーな体験をした方の話しを聞いてしまうと、相対的に見てしまって自分なんてまだまだだと思ってしまいます。

キャッシュアウト(資金の流出)しそうになった経験こそ山ほどありますよ。

最初は2人で会社を立ち上げて、残りの2人は業界未経験のままでやる気のある人を口説きました

仕事もなくて一番大変な立ち上げの時に、人件費だけが出ていく感じですね。

会社が前に進むビジョンこそありましたが、今日食べるためのお金をどうやって作るのかひたすらに考えたこともあります。

ちょっと次のフェーズになって、仕事が増えてクライアントも増えたのに、資金がショートしそうになった経験もあります。

ただ、これも相対的に見てしまうのですが、落ち込むほどの話しではないんですよね。

経営者ってみんなハードな環境だったり悩んだりすることが多いんだと思います。

最悪のケースを考えることも多いのですが、それで落ち込むのはネガティブだと思うし、なんとかなると考えるのは楽観的ですよね。

逆境に強い人ってネガティブも考えながらポジティブでいられるタイプだと思うんです。

 

ーーバッドケースとか想定以上のことが起きたらどうしますか。

本当に想定外のことってあまり起きたことがないですね。

例えば新型コロナの流行も、不況は10年に一度は起きているし、感染症も歴史を見れば何度もある話です。

宇宙人が攻めてくるほどの想定外ではないですよね。

撮影ができずにPL(損益計算書)こそズレることはありましたが、ありがたいことにキャンセルは少なかったんです。

もちろん成果品を納入できずに、PLが得られないのはキツかったですけどね。

ほとんどのことは別に想定できる範囲ですし、それに対応していく感じだと思います。粛々と、です。

ビジョンで悩むのはイヤだ

—— ーー落ち込むこともないですか。

落ち込むことは少ないですね。

これは受け売りなのですが、経営者って「人」「金」「ビジョン」の3つで悩んでいるんです。

事業がうまく行って金に悩んでいないけど、人には悩んでいるとかパターンはありますが、ほとんどはこの3つのどれかに当てはまります。

この中でビジョンで悩むのがカッコ悪くて僕はイヤなんです。

足元ではお金の悩みもつきせんが、行動だったり打破する方法はあると思っています。

組織の中でアンコトローラブルアンコントローラブルなのは人なんですよね。感情的で左脳的でもあり右脳的でもあるからです。

僕なんかは仲間とか人に興味があるタイプなので、ドラスティック(極端)になれません。

だから、マイクロマネジメントと言われるような、組織的な会社にはならないようにしています。

メンバーとは1on1やキャリア相談を繰り返しており、今のメンバー50、60人なら一人ひとりの最大キャリアを語れるぐらいです。

これに関しては、第三者視点で見られる僕の方がみんなの親よりも語れる自信があります。

人と向き合うことが苦じゃないんですよ。

人にめちゃくちゃ力を入れて、投資している経営者だと思っています。

執行役員の肩書も外してフラットに組織改革をした

—— ーー現在の課題点はありますか?

課題だらけですね。

2015年に正式に稼働して丸7年経ちました。

まだ小さな会社ですが、人数も売り上げも過去に比べると伸びている状態です。

しかし、今までよかった組織の仕組みやメンバーがこのままうまくいくとは思っていません。

これからの目標や次のレイヤーに向かうための仕組みづくりが必要だと感じています。

これは3年ターム、5年タームで伸ばさなければならない課題です。

そこで、新たに3年でCXOを5人排出するというプロジェクトを開始しました。

2022年1月に組織改革を始めて、今までの執行役員の肩書もすべて外して組織をフラットにしたんです。

今までは役職だったり組織の体制だったりで統率をとっていましたが、これからは役割にコミットしなければいけません。

プロジェクトマネージャーはどうか?プレイヤーとして優れているけど裁量を持って最大限に動けるか?といったことまで考えると、邪魔だったのは役職だったんです。

これからは、新卒やルートや生え抜きメンバー、プロパー社員を問わずに肩書きを外して、CXOを5人排出するところを目指しています。

幸いにも組織改革ではまったくのノーハレーション(逆境やブレがない)だったんです。

ずっと組織に投資してきてよかったとメンバーに感謝しています。

自分のことだから自分で人生を決める

—— ーー最後に、学生の背中を押すメッセージをお願いします。

代表という立場になって、学生時代の僕がどうだったか聞かれることもよくあります。

間違いなく言えるのは、僕はめちゃくちゃ凡人だったということです。

スポーツでも勉強でも一番をとったような成功体験はありません。

客観視が得意なのでよく分かるのですが、僕よりもこの読者の学生時代の方がもっと優秀だったと思います。

そんな僕でも出来たのは「自分のことだから自分の人生を決める」、それだけで動き出せているということです。

物事はシンプルで、怖いと思うならその怖い感情はなんなのかを見るべきだし、やってる仕事がつまんないならやめたっていい、生き方ってシンプルなんです。

一番大事なのは、しっかりと言語化したうえで自分の人生軸を持つことだと思っています。

言語化できないこわさに悩んでいるのは時間のムダだし、自分自身に振り回されているってことだと思います。

例えば、プロダクト的にイケてて成長もできて人当たりのいい理想的なA社があって、でも初任給の高いB社をなんとなく選んでしまうとか、就活って言葉で自分の感情をごまかしちゃう人は多いんですよね。

「どう生きたい」か言語化できないってヤバいと思います。

起業というとカッコよく思われるかもしれませんが、大きい山を登らない人生は人間としてダメなのか?と問われるとそうは思いません。

大きいとか小さいとか人に決められることではないからです。

でも、ワクワクしている時って山の大きさに怖さなんて感じないし、気づいたらやってたって感じなんですよ。

自分が興味を持っていて一番近しいものに対して、ただ全力でやる、それだけだと思っています。

それ自体がチャレンジになっていたり人生の取捨選択になっていたりすると思うんですよね。

株式会社フラッグシップオーケストラ

設立 2014年4月
資本金 非公開
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 ■格安大量動画制作サービス「ムビラボ」 の運営 ■ABテスト動画広告サービス ■「ムビラボアド」の運営 動画配信、分析ツールサービス「ムビパス」の運営 ■その他動画事業
URL https://www.fragor.co.jp/
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