デリバリーサービスを中心に画期的なサービスを全国展開
—— ――貴社の事業内容をお伺いできますか。
主に福祉と飲食の2事業を展開しています。福祉では、事業所向け宅配弁当を全国展開しています。軽度の障害者の方を雇用し、お弁当を作って販売・配達をするというものです。年間で100近くの事業所が立ち上がっており、今勢いが加速しているところです。障害者の方の職業訓練のような形になっているので、いずれは一般企業で就職できるようなサービスもできればと考えています。
飲食の事業では、事業所向けのデリバリーサービスを行っています。近年UberEatsや出前館が登場してきましたが、弊社では飲食店のデリバリーサービスを本格的にパッケージ化して全国展開しています。
他にも飲食店向け情報メディア「EATAS」の運営や、バーチャルレストランの展開なども行っております。
企業家や社長を輩出するには「強さ」がカギ
—— ――どのような人材を求められていますか。
中途採用と新卒採用で変わってくるのですが、中途ならマネジメント分野に強い人材を求めています。幹部人材を強化したいという思いがあるので、これまでに管理・マネジメントを通して事業を拡大してきたような人材が理想ですね。
「過去の実績にインパクトがあるか」「それを弊社で活かせそうか」「話はロジカルか」といったことをポイントに採用をしています。
新卒の場合だと、求める要素は6つあります。
① 生意気さ
② 意思の強さ
③ 気骨さ
④ 謙虚さ
⑤ 素直さ
⑥ 誠実さ
①から③と④から⑥は相反する性質ですが、これらを上手く融合させられる人材を強く求めています。中でも①から③の性質には重きを置いています。なぜなら④から⑥の謙虚さなどは後から身につけることができるのに対して、①から③はなかなか後から身につけることができない要素だからです。
私たちは、弊社から企業家や社長を輩出したいという思いがあります。成功する人物はどんな人物か考えた時に、真っ先に思い浮かぶのが①から③のような強い人格です。
なんでもイエスと答えるようなイエスマンではなく、自分の中にしっかりとした意思や信念、正義がありそれを誰にでも伝えられる。そのような人材がこれから起業し、成功していくだろうと考えています。
ただ上司に口答えすればいいという生意気さではなく、「自分で考える力があり、粘り強く食い下がる」ような生意気さといったイメージですね。
上手くいかなかった=向いてなかったと理解して他にできることを探す
—— ――これまでに逆境を経験したことはありますか。
人生で初めての挫折は、大学2年の時に留年したことですね。私は大学に入学してから燃え尽き症候群のような状態が続いていました。元々公認会計士になりたかったのでダブルスクールとして、公認会計士が学べる学校に通おうと決めていました。大学の勉強は、公認会計士のためには意味がないと思っていたんです。
そして秋か冬にその学校に入学したのですが、初回の授業がつまらなすぎて1日で辞めました。しかし大学の授業に戻ろうと思っても時すでに遅しで、授業に大幅に遅れてしまい留年したのです。
その時、自分の人生で初めて自信を失いました。
――そこからどのような教訓を得られましたか。
私の選択が間違っていたわけではなく、ただ「向いてなかっただけ」だと認識できたのです。始めはとにかく、ただただ凹んでいました。
その後私は「とにかく自信を取り戻さないと」と思い、アルバイトとして会社で営業の仕事をしました。2回目の2年生だったので、時間があったからできたことです。営業の仕事では、3ヶ月目には社員を含めてトップセールスになることができました。そこでようやく、「自分は社会で通用するんだ」と自信を取り戻すことができました。
それまでの人生では特に大きな挫折を経験してこなかったのですが、自分に自信を持てることは何においても重要だと感じます。挫折して、「何か他にできそうなことはないか」と考えた時に浮かんだのが営業でした。営業は社会人の象徴だと思ったし、そこで成果を上げられることは大事なことだと思いました。
その時「営業でも上手くいかなかったら?」という考えは、私にはありませんでした。自分が本気でやればできると思っていたからです。失敗したらどうしよう、とかはあまり考えないですね。仮に営業が上手くいかなかったとしても、ただ向いてなかったと理解するだけです。そして他にできそうなことを探していく。だめだったら、また考えたら良いんです。
日本でも起業しやすい流れを作りたい
—— ――企業家や社長を輩出したい理由をお伺いできますか。
理由は2つあります。まず1つは自分が楽しかったからです。大人になると、性格や考え方ってなかなか変わらないもの。でも起業することで、私は自分の根幹の部分が大きく変わりました。前よりも自分が好きになれたし、やりがいもあります。この楽しさをもっと多くの人に経験してほしいという思いがあります。
起業する前は悩みやすくて優柔不断で、自分のことばかり考えていました。しかし起業すると変化せざるを得ない状況になるので、ガラリと変わるのです。決めないといけないことが多いので決断が早くなったし、お客様や社員など周りのために力を発揮しようと思うように変化しました。自分でコントロールできるものとできないものがあることも学んだので、コントロールできるものに注力するようにもなりました。
そして2つ目は、日本を強い国にしたいからです。アメリカや中国はベンチャー企業がどんどん登場し、経済的に成長しています。でも日本は2019年に中国にGDPが抜かれて以来、ほとんど横ばいなのが現状です。
その原因は、実力のある人が起業していないことにあると私は考えています。日本の会社員といえば、日々会社の愚痴を言う人がほとんどではないでしょうか。やりがいを持っている会社員は少ない印象です。起業すればやりがいもあるし、優秀な人は何億も売り上げるような企業を展開できる可能性があると感じます。
優秀な人が一社員となって埋もれてしまうのは大変もったいないし、機会損失していると思います。このような思いから、日本で起業しやすい流れを作っていきたいと考えています。
事業を連鎖させて、新たな事業・社長を生み出す
—— ――将来の展望をお伺いできますか。
現在は上場を目指して動いています。3年後にはIPO(新規公開株式)を行う予定で、今年7月にはN-2期に入ります。上場に向けて、着々と準備を進めているところです。
他には、サンフランシスコに本社機能を置くことも視野に入れています。サンフランシスコは会社の本社が多いことでも知られています。自分の身をそこに置いて、企業家輩出を海外でもやっていきたいという思いがあります。
企業家や社長を輩出するために、事業を連鎖させていくこともビジョンの一つです。たとえば現在展開している福祉の事業では、オープン予定も含めると300ほどの事業所があります。計算すると1万6,000人ほどの障害者の方を雇用できるので、これもネットワークとして活用できるでしょう。具体的には一般企業就職への斡旋事業や、ビジネスマナー動画の研修を行うなど色々と発展させることができます。
――最後に若者へメッセージをお願いします。
周りがやっているからという理由ではなく、自分に向いていそうかという視点で意思決定した方が良いとお伝えしたいです。
もともと公認会計士になりたいと思っていたのも、大学の同じ学部の多くの人が目指していたからでした。やってみて上手くいかなかったら「向いてなかったんだな」と理解して他を探せばいいだけです。向いてなかったと分かるのも大きな財産なので、色々なことに挑戦していってください。