「好き」を会社にする経営者の学生時代
—— インタビューをお受けいただきありがとうございます。まずは山川さんの学生時代について聞かせてください。
すごく変わった学生だったと思います。(笑)
当時は不登校で学校には行かず、家でじっとするような日も多くありました。
時代の風潮として「決まったことしかやってはいけない、変なことはしていけない」というルールだったので、周りからは非常に変わった人だと思われていたと思います。
そういった世間と自分との間のギャップからなる違和感でいっぱいになってくると、
「これは違う」と物事に見切りをつけるようになりました。
見限りが早く次々に進み、新しいことへの挑戦を怖がらずに、前向きに実現していく努力をしていました。
ーー現代では、社会と自分との考え方のギャップに悩む若者は多いと思いますが、当時ではかなり異端な存在だったんですね。(笑)
そうですね。(笑)
それでも、フリーになったり、起業してからは粘り強い人間になったと思います。
早々にダメなんだと諦めるようなことはしなくなりました。
当時は今のようなVCも発信ツールもなかったので、信用やお金がなければオフィス1つ借りられませんでしたし、女性雇用均等法が施行される前でしたので、
女性活躍なんて時代でもありませんでした。
「女性は子供を産んで家庭に入る。」という考え方が主流でしたし、
働いたとしても男性ほどの給料はもらえず、女性としてのキャリア形成の限界が見えていました。
当時はCAや学校の先生、アナウンサーなどが女性の花形となる職業と言われていましたが、それでも活躍できるのは若いうちだけでした。
――かなりの逆風状態だったんですね。
逆風の中の逆風でした。(笑)
それでも、人は生きているうちに周りの世界が変わっていくもので、10年ほど前に昔の学校関係の集まりに呼ばれた際には、自分の周りの世界の変化に驚かされました。
昔は「不良」や、「変な子」だと周りに思われていましたが、自分の中で「こんな自分になりたい」と強い想いを持って生きていくことで、そうなるための世界や、人に出会えていくんだと思います。
ーー自身を変えたきっかけはありましたか?
やはりビジネスによって鍛えられてきたと思います。
今インターンなどをする学生が多いように、「学校では学べない」実地体験として学ぶことってありますよね。
ドイツではマイスター制度という優れた技術を後年に残すことを目的とした制度があり、技術を身に付けるためのプログラムを修了した際に大学卒業と同等の優位性を与えられますが、日本にはそうした制度はありません。
料理人や、技術者、アイドルになるためには若くからその道に進むプロセスや、それぞれの社会で活躍するためのピークがありますよね。
業界や自分の立ち位置によって自分が活躍できる年齢や、
やるべきことは大きく変わってくるので、やはり、自分が「どこに向かって歩いていくのか」を決めるのが重要だと思います。
「なりたい自分」を見つけるための秘訣
―― 自分の好む世界や、なりたい自分になるためには、セルフプロデュース力が鍵になるんでしょうか?
そうでもありません。
人って「こうなりたい!」と思っていても、そうなれることはなかなかありません。
思いもよらない波に乗って成功する例も多いです。
簡単なこととして目標設定は大事だと思いますが、時代が目まぐるしく変わる中で、目標達成したときに時代の方が先に変わってしまっているなんてこともあります。
例えば、2年前に念願の飲食店をスタートしたとして、
ようやく夢が叶ったにもかかわらず開業した途端休業要請をかけられたり、
外国人旅行者向けの宿泊施設も多数建設されたビジネストレンドがありましたが、今となっては潰れてしまった企業も少なくありません。
しかし、それで終わりではなくて、変化し続ける世の中だからこそ、自分の目標も1年おきに変えても良いと思うんです。
人生100年時代と言われる中で、20代の方はその1/5しか経ってないわけです。
一つの目標や子育てにこの時間をかけたとしても、全く問題はなくて、むしろマインドストレッチや、行動ストレッチをかけることで、人間力が高まると私は考えています。
――短期目標を目指しながら「体験を積み重ねる」ことが重要であるということですね。
そうですね。
弊社は昨年に上場しておりますので、余計に年々の目標実績の必達が大切になっています。
目標として常に具体的な数値を挙げる。それを達成するためにどのように行動するのかが議論されています。
「フワッとした自分なりたい像」ではなく「具体的な実績数字」をつくっているわけですが、これもどこかのタイミングを基軸として変わっていくものだと思います。
まだ、「こうなりたい」という明確な目標が無くても、
まずは自分の今想像できる目標に集中することが重要だと思います。
「好き」を仕事にするための一貫性
—— 学生時代の山川さんの様に、どんどん次のことにチャレンジする人もいると思いますが、周りから飽きが早い人と受け取られることもあるかと思います。
一貫しておくべき行動や考え方はありますか?
まず一つは「波長」です。
人には誰しも好き嫌いがあります。
その中で、「合わない」と思う人と一緒に仕事をしても良い結果が出ません。
お互いにいい影響を与え合える人と一緒にいることは、
自分が成長していくという意味でもとても重要です。
そしてもう1つは、目の前の事を必死にやり切ることです。
結果を出す前にコロコロやることを変えていると、いつまで経っても信用は得られません。
子育てをしている中で、忘れられない出来事があります。
長男の受験期に、当時子どもが通っていた塾の大晦日の決起集会で学園長が受験生にむけて成功哲学を説いておられました。
『君ができないと思ったら「それはできない」しかし、できると思ったら「それはできる!」』という強烈な言葉がありました。まだ12才の受験生に向けて放たれた言葉でしたが、それをきっかけに私が変わりました(笑)
「君は誰よりも努力してきたのだから、君が解けない問題なら隣の人はもっと苦戦しているだろう。何故なら君は誰よりも頑張ってきたからだ。」というもので、その講義を聞いてから「そう言い切れるくらい私は仕事を頑張ってこれたか?」と自分に問うようになりました。
いつどこで「誰よりも頑張れていますか?」と聞かれても、「微力ではあるが、誰よりも頑張っている」と答えられるよう、猛烈に頑張るようになりました。
――最後に若者へのメッセージをお願いします。
まずは、フワッとで良いので自分がどんな人になりたいのかを考えてみてください。
難しく考えることはありません。
エンターテイメントで活躍する「あの人」や、「この考え方が素敵だ」などといった、
今思いつくもので良いんです。
まずは自分の目の前のことに全力で取り組んでみてください。
その中で、自分の一歩先の目標や興味を達成していく。
次の世界がきっと見えてくるはずです。