見つめる父親の背中と、起業タイミングの重要さ
—— 起業したきっかけを教えてください。
大分県に住む父親が会社経営をしており、その背中を幼い頃から見て追いかけていました。その影響もあり、小さい頃から起業という選択肢をぼんやりと考えていました。起業するに当たり生きる勉学とは何だろう、と考えた時に法学を学びたいと思いました。会社で従業員はどう守られているのだろうということに興味がありました。大学生時代は、法律を学びながら社長直下の所でインターンをしていました。そしてピンと来たものがあったら、その際に起業をするつもりでした。就活はほとんどしていなかったのですが、縁あって株式会社パソナに入社しました。そこでは業務委託やフリーランスの人材紹介を主に行い、今に繋がっています。正社員・業務委託といった雇用形態関係なく、スキルのある人が1人入るだけで事業が大きく変わるということを痛感しました。しかし人材紹介の手数料が高いことや、直接人材にアプローチできない点が中小企業・ベンチャー企業では気軽に採用できないという課題に繋がっていました。そこで、複業クラウドの構想を考えつきました。成約手数料はゼロで、月額料金のみで自由に複業人材と出会えるものになっています。
起業の3原則は、①市場性(事業に対してその市場はどれくらい将来的に伸びるのか) ②権威性(その領域に対して自分が業界の第一任者である自信があるか)③覚悟(目の前の事業課題に関して本気で変えたいと思っているか)の3つが揃ったタイミングです。自分自身もそうでした。この3つが揃った、令和最初の営業日に起業しました。
「人生の選択肢としてのカードがみんなの手の中にあってほしい」
—— 苦難・困難を乗り越えたエピソードを教えてください。
日々困難の連続です。起業したての時、日本初のサービスを作ろうとしていたため、色んな人に意見を聞いてみました。複業・人材はHR領域という括りでは、レッドオーシャンと言われていたので、やることを周囲から止められました。その全員の発言をどう覆すか、応援してくれた人にどう恩返しするか、が自分の原動力になりました。弊社のビジョンは「挑戦する全ての人の機会を最大化する」です。挑戦することは悪いことではなくて、それを成功させるのが僕の使命です。
――乗り越えた先に見えた将来の展望はありますか?
複業の文化創造です。挑戦したい時に「複業」という選択肢を増やしたいと本気で思っています。いきなり挑戦するハードルの高い転職・起業・独立・移住などをせずとも、「複業」という形で、環境を大きく変えずにチャレンジする人が増えると嬉しいです。ひとつのキャリア、人生の選択肢としての複業というカードがみんなの手の中にあってほしい。挑戦したいけどあと一歩踏み出せない人たちにいかに届けられるのかが重要だと思っています。そのため今は、複業人材の受け入れ先を最大化することに尽力しています。
企業が外部人材を仲間にするのはここ数年で当たり前になっており、マーケットのプレイヤーも増えています。受け入れ先を企業だけではなく自治体やスポーツ業界、教育機関などに広げています。複業先のグラデーションを増やし、今後も受け入れ先を拡大していきます。
ここまで本気で複業の文化創造を目指しているのは、自分達しか居ないと思います。それくらいの覚悟をもってやっています。
――最後に読者へのメッセージをお願いします!
やりたいことがあるのは幸せなことです。幸福な状態は色々な選択肢がある中で、自分が選んでいる状態だと私は思っています。もしそれが無ければ決めるしかありません。やりたいことや自分に合った仕事が急に目の前に現れることはないので、充分体の動く10代〜20代のうちに、決めるべきです。自分もそうやって決めたので、決めることがまずは大切です。やりたいことや自分に合った仕事は、実は既に出会っていることがほとんどだったりもします。チャンスの神様は気付いた時には通り過ぎるので、それを捕まえて決めることですね。覚悟を決め続けること、最終的には覚悟の総和がものを言うと思います。