目指すのは事業家創造プラットホーム
—— 会社の事業内容を教えてください
事業をやりたい人たちの事業立ち上げの応援を行う事業家創造プラットホームの運営が私たちの事業です。
そして、この成長過程にある事業家創造プラットホームの運営を最終的にはコア事業に育て上げなければならないのですが、今はまだそこまで至っていません。現在のコア事業は携帯電話販売ショップへの人材派遣業務(モバイル販売支援事業)です。通常の販売店への派遣業務とは違い、当社の事業ではアドバンサーの正社員を派遣して対価を得ています。
現在このモバイル販売支援事業が全社の売上の8割となります。アドバンサーで行っている各新規事業のすべての事業用資金は借り入れに頼ることなく自己資金で賄っています。
追求するのはミッション・ビジョン・バリュー
—— コア事業以外で二番目、三番目に育っている事業を教えてください
コア事業にに付随している事業が育ちやすいです。
・モバイルイベント支援事業(集客イベントの支援事業です)女性のモデルを起用したりしてイベントの集客をお手伝いしています。
・エンタメ支援事業
アドバンサー350名の社員の中から出てきた事業です。ライバーの支援事業としてマネジメントやタレント事務所としての機能を持った事業です。
社内で事業の立ち上げを行い、入社して早ければ半年で起業する者もいます。そして、社内で同じ事業内容の起業を認めています。これは私自身の起業を振り返って考えても、新規事業といっても全くの新規ではなく、自身の経験のある事業からスタートすることがほとんどであり、スタートしやすいという理由からです。
まずは事業を興して運営を経験することが大事です。まだ、一からこれをやりたいと目標を持って入社してきた人間はいません。余談とはなりますが、当社の最終目標として掲げるミッションが『事業立ち上げ』をすることが出来る会社なのですが、このブランディングは上手に発信できていません。
事業を始めるにあたって大事にしていることがあります。事業部ごとのミッション・ビジョン・バリューはもちろんのこと個人のミッション・ビジョン・バリューを大事にしていることです。
これが明確であって、初めて自分のエネルギーを出すことが出来るからです。そして、これがないと外的エネルギー(他者からの評価や収入)に頼ってしまうからです。このミッション・ビジョン・バリューをしっかり持って目標設定できなければ事業のスタートは認めていません。
——社内の雰囲気を教えてください
ミッション・ビジョン・バリューを大事にしている会社。自分の主体性、やりたいことを大事にしている。
目標、計画値はもちろんありますがノルマはない。みんなで成し遂げたいビジョン・未来があってそこに向かって走り、そのためには何をどこまでやらなければならないかを自ら考え、未来を実現するために動く気持ちを皆さん持ってくれていて、自主的に動く組織となっています。
しかしながら、350名のうち大半は現場で働く社員、そして社歴の浅い社員も多く、20名のボードメンバーの雰囲気とは少し違い、オフィスの社風と現場の社風は若干の相違があるかも知れません。
現在はこの350名が一堂に集まる機会は無く、社員数が増えたこと、コロナの流行もあって、今は事業部ごとでの集まりにとどまってます。どの事業部も人を大事にする方針を持っている事には変わりはありません。
アドバンサーで気付いた自身のミッション・ビジョン・バリュー
—— 携帯販売の派遣(モバイル販売支援事業)からライバー事業(エンタメ支援事業)を立ち上げた女性の話をお聞かせください
彼女には最初からそんな目標があったわけではありません。歌手を目指していた彼女は挫折を経験し、夢を見失っていました。たまたま入った当社で成績をあげ日々の業務に前向きに取り組んでくれていました。
ある日私がミッション・ビジョン・バリューの話をした際になぜ歌手になりたかったかを聞くと、夢を追いかけている人に輝きとかきっかけを提供出来るような事がしたいと気づきました。
そして、それが自身のミッションであり人生でやりたいことであるというところに行き着き、それから試行錯誤の末にライバー事業にたどり着いたのです。
「夢は何ですか」に明確に答えられる人は少ないです。答えることが出来ても社長、職業名などの名詞を答えることは出来るが、どうしてやりたいのかその理由、気持ちを明確に答えることの出来る人間は極めて少ないです。
これは日本の教育が作り上げた問題で、日本が持っている課題でもあると思っています。当社ではミッション・ビジョン・バリューを共に追求することを大切にしています。
『関わる人々の人生が180度変化するきっかけを創造する』ことが自身のミッション・ビジョンと気づいた藤田CEO
—— この問題点にどうして気づけたのか、ターニングポイントは何だったのでしょうか。
私はもともとは音楽をやっていきたかったのですが、気がつけば普通に就活をし、ネームバリューのあるそこそこの会社に入社して、そこそこの成績を上げながら数年の時間が過ぎていました。
そして、ある時に自分が起業家を目指していたことを思い出しました。それまで漠然と考えていたその起業の理由の原点は『音楽』にあったのです。人の気持ちを変えることの出来る音楽、音楽に携わることで人の気持ちを変える瞬間に立ち会えることが出来ます。
それと同じで『関わる人々の人生が180度変化するきっかけを創造する』ことが一番楽しく、自分が一番好きでやりたいことなのだとたどり着きました。
そして、それを自分の船でやっていこうと思ったのです。ちょうどその頃、祖父の興した当時父が経営していた稼業を継ぐ話も出ており、継がないのであれば、男としてそれ以上のことをやってやろうって、気持ちがありました。
逆境を逆境と考えない、そして求める会社の新しい形
—— 逆境経験を教えてください
逆境を逆境と考えることはありませんでした。起業してしばらくの間、一人で何でもやってました。
忙しくなったら採用を考えればいいと思っていたのですが、先輩経営者との話のなかで、採用は投資であって、人を採用して自ら忙しくしていかなければならないんだよ、と教えられ気付きました。
それから自分の過去を振り返って一番楽しく、かつ成績を上げていた時代の夢を託せる部下に声をかけて入社してもらった経緯があります。
私が理想とする会社像は共感できる仲間と共に目標に向かうことが出来ることであって、そこに代表がいなくてもいいと思っています。最終的に目指す形は代表取締役を無くすことです。
会社のような組織は必要無く、コミュニティーでいいと思っています。起業時には家内にも当然相談し、最低税金を払えるだけの収入、ほぼ無収入の状態でどれくらいやっていけるかと問いました。
「一年間」という返事をもらいました。二人目が産まれるタイミングでもありました。そんなタイミングでの起業を許してくれた家内には感謝しています。
自身のミッション・ビジョンを追求し、自身の夢・目標を持ち、自身の軸を知る大切さ
—— 若者達へのメッセージをお願いします
社会へ出れば仕事が中心で当然学びの機会が減ります。
今の若い時期に、特に高い志しを持っている年齢のうちに自身のミッション・ビジョンを追求し、自身の夢・目標を持ち、自身の軸を知ってください。そうすれば就活もうまくいくでしょうし、起業を考えるのにも役に立つと思います。