医学部を諦め、両親が離婚しシングル家庭で育った谷本がエースタイルを立ち上げるまで
—— 同社を設立するまで、どの様な事業をしていたか教えていただけますでしょうか。
もともと父親の影響で英才教育を受けていて、医者を目指し大阪府でも1,2番を争う偏差値の学校へ通っていました。ただ両親が離婚し母親に引き取られてからは、ある意味怖いものがなくなり、遊びに没頭していました。メンズファッション誌の大賞なども受賞しており、自然と周りにおしゃれな人が集まる環境でした。
現役で志望する医学部に入れないとなった時、浪人して医者を目指すか起業するかの二択で起業という選択肢を取りました。
まずは個人事業主として、周りに集まっていた友達や知人を人手が必要なところへ送り出すお手伝いなど、人材派遣業のようなことも行っており、そこで紹介料を得ていました。
そんな中知り合いの弁護士に相談し、「どうすれば法人化出来るか」と尋ねたところ、人に雇われた経験がないから一度社会人として働いてみるべきだとアドバイスをいただきました。社員を雇う立場として、社員の気持ちがわかるようにと管財不動産専門会社で3年働きつつ、人材紹介は副業で継続していました。ある日ヘッドハンティングのお話が来て、東京に本社を構える物流の会社が西日本支部を立ち上げるとのことで、そこの人材確保を任されました。
ビジネスモデルの変更 目指すは「日本の社会問題の根本を解決すること」
ーー福祉事業に力を入れてからは、どのようなビジョンを持っていたのですか?
まずは大阪でNo.1の会社を作ろうと思い、介護施設の設立を目指しました。営業力には定評があったものの「エースタイルは介護事業はできないでしょ」と判断され、銀行へ融資に行ったものの全滅。会社のそばにある地主さん全てに声をかけましたが答えはNO。そこでまず、これからオープン予定の介護施設の運営を行い、オープンまでの2ヶ月間で満室という結果を2件続けて作りました。
その頃には様々な銀行の営業マンから営業を受けていたため話を進め、短期間で立て続けに介護施設を設立。業界の先駆者と話をしたところ「業界全体に声を届かせるには、10棟の施設が必要」と言われたため、まずは12棟設立しました。
その後は他の介護施設とも連携を取り、人材や備品の確保を行っています。例えば当社はメーカーから直接備品を仕入れるため経費が抑えられます。しかし他の施設は商社を通すため、無駄なコストがかかってしまう現状がありました。そこで当社から備品を提供したりと、「大阪の介護業界と言えばエースタイル」と認知してもらうブランディングも行っています。
また現在本社から16km圏内のみに介護施設を設立しており、毎日役員2人が現場訪問を行っています。介護業界で最も多い退職理由となる「人間関係」の改善を考えると、日々メンタルケアが欠かせないため、直接訪問できる範囲にしか拠点を展開しておりません。
さらに常に給与の低さが指摘される業界ですが、当社で最も高い年収は900万円です。ここを1,000万円の大台に乗せ、若者からみて夢のある仕事だとイメージを持ってもらいたいと思っています。
他にも硬式実業団野球チームを作り、野球好きな女性からのエントリーも増えました。野球と仕事の両立が難しい現代、当社のように野球を続けられる環境が多くないため、遠方の女性のお父様から「あの会社野球が出来るらしいぞ、入社してみたらどうだ」と話が広がり、わざわざ当社を希望してくれる人もいます。
ただ意外なことに、人数が増えレギュラーが取れず野球部を辞めても、「介護の仕事は続けたい」という人ばかりで、退部者は出るものの野球をしに来た社員の中で退職者はいまだ出ていません。同時に新卒採用にも力を入れている当社では、平均年齢の高さが問題視される介護業界において、平均年齢30歳を切るか切らないかのラインにいます。
目指すは大阪No.1 介護業界にエースタイルありと認めさせる
—— 今後の会社全体で掲げているビジョンをお聞かせ下さい。
現在の課題は経営者の育成です。現在500人規模となっており、これ以上増えると社員の顔と名前、趣味などを把握することが難しいと思います。そこで現在エースタイルホールディングスには6つのグループ会社があるため、それぞれ6人の経営者を育てていく予定です。
さらに当社はエーダッシュプロジェクトという取り組みをしており、これから起業したい人を募集しています。そのプロジェクト経由で美容とリラクゼーション、それぞれ別の事業を行う2名の志願者に出資し、ビラクスという法人も設立しました。
また依然前澤社長が当選者に100万円プレゼントという形で、プロモーションを行っていましたが、実は私の弟がそれに当選。もらった100万円を500万円にして返しますと前澤さんに連絡したところ、そのお金で一緒にお金贈りをしようとご提案を受けました。そこで介護福祉、医療従事者に向けて前澤さんにツイートをしてもらい、私のTwitterをフォローすることを条件にお金配りも実施しています。
このように介護福祉領域において、少子高齢化を食い止めるべく社員の幸福度を上げ、大阪でNo.1の企業を目指しています。
最後に、この記事を読んでいる若者へ向けてメッセージをお願いします。
—— 最後に、この記事を読んでいる若者へ向けてメッセージをお願いします。
第一に、沢山経験を積んでほしいと思います。私はモテたいという不純な動機から色々と経験してきました。人と関わることが苦手でしたが、最終的に人と関わらないで生きていく事はできないため沢山ナンパもしました。ただ自分という商品をうまくお客様に伝えるということは、営業活動に通じることもあります。結局医学部には入れませんでしたが、そこに向けて勉強した経験は今も生きています。
また何か壁にぶつかった時はポジティブに、チャンスが来たと捉えてほしいです。壁が来るのではなく、自分が進んだぶん壁が近づいており、人生において乗り越えられる壁しか目の前に現れないと思っています。
この感覚に気付くのに私は結構時間がかかりましたが、若い方たちが今すぐにその事に気づけば、私よりも才能があって大きな成功を手にできると思います。当社でもTikTokの運用などをしていますが、基本的に若い人が作ったブームを真似ています。
むしろバズるコンテンツを生み出している現代の若者から、私自身「どうすればブームを生み出せるのか」教わりたいくらいです。