中途だからこそ必要な「大人のインターン」
—— まずは、御社の事業内容についてお伺いしたいと思います。
短期派遣やスポットバイトなどの事業は、C3と周りのグループ会社全体で取り組んでいます。C3の周りに人材関連のサービスを作っていって、人に関わるサービス全般を行えるようにしようという思いで展開しています。他には「Win Work」といって、職場体験型就職サービスなど「株式会社C3」は、人に関わる事業全般を手掛けています。新卒や中途採用の仲介事業のほか、外国人技能実習生の仲介、1日からの短期で働けるスポットバイトの紹介事業、ITエンジニアのプロジェクト単位の紹介なども手掛けています。さまざまな事業があるなかで特に力を入れているのが「新卒0円就活」という新卒全力応援サービスというもので、2021年の12年頃にスタートしました。このサービスが誕生したきっかけは、コロナ禍で学生さんたちがアルバイトができず困っている現状を知ったことです。飲食店が閉まり、アルバイトができなくなって金銭的な余裕も失い、スーツが買えない、就職活動の移動費が支払えない、友だちに相談できない、といった状況にあるという話を学生さんたちからたくさん聞いていました。そのような問題を解決できるサービスはないかと検討し、弊社のサービス全般を活かして「就活にかかるお金を0円にしよう」ということで「新卒0円就活」というサービスをリリースしました。提携企業様の協力も受けながら、スーツのレンタルや美容院でのカットやセットなども、無料で行えるようになっています。登録者は現在10万人にのぼり、就活中の学生の3人にひとりが利用している状況です。
――ほかの企業と比べて、御社の強みや違いなどはありますか。
弊社は「ライトグループ」という従業員600人ほどのグループ内企業のひとつです。私自身ライトグループの常務取締役も行っており、大手通信キャリアの代理店事業をメインにしている会社です。そこのクライアント様だけでも6万社にのぼり、個人のお客様もいます。ライトグループのクライアント様や取引先を活かせるうえに、グループが大きいことで動かせる資本もあるので、時間をかけずに新たな事業を進められるのは強みです。先ほどの「0円就活」も資金を投入しなければできないことですから。
賛否両論の中スタートした「人材事業」
—— これまでに苦労した経験はありますか。
人材事業は今後必要になると考えており、レッドオーシャンよりもブルーオーシャン(将来性が高い業界)だと感じ始めました。通信業がメインだったところから人材事業に着手したものの、最初の1年で1億円もの赤字になりました。何度も取締役会で「撤退すべきだ」との意見が挙がったほどです。この頃は苦労していましたね。賛否両論あるなかでしたが、近い将来に間違いなく日本を代表するサービスができるという気持ちで乗り越えてきました。
――そのような状況の中で、折れることなく乗り越えられたのはなぜですか。
グループに資本力があったことには助けられましたが、それ以外にも理由があります。着手しているサービスを利用している学生さんからプラスの声を聞くようになって、応援してくれる声も多く耳にするようになったことです。「私が就活していた頃にもこんなサービスがあったら良かったのに」といってくださる方や、アンバサダー企業さんからの応援の声もあったので、応援の力で乗り越えられたんだと思います。アンバサダー企業さんにもメリットが大きく、たとえばスーツレンタルであれば、レンタルの際にワイシャツやネクタイなどを購入しますよね。美容院の場合、約80%の人が眉カットやトリートメントなどの有料オプションをつけています。そういった影響によって賛同や応援の声をいただくようになり、ここまで続けてくることができました。
また、ほとんどの学生さんがナビ媒体だけでは就職先を選べないと思っているんです。相談したいからという思いでエージェントサービスを利用すると、ただ売り上げのために紹介されるようなことがある。弊社はエージェントサービスではありますが、学生にとって価値あるものにしたかったので「0円就活」というサービスを提供しています。もちろん、企業にも寄り添いながら、仲介は行っています。 クライアント様は、大小さまざまな企業様がいますね。新卒を採用しているところであれば、どのようなところでも対応させていただいています。
――岩井様ご自身は、幼少期から経営者を志していたのでしょうか。
私自身学生の頃は、リーダーシップを取るような性格ではなかったので、学級委員長や部活のキャプテンなどもまったくしていませんでしたね。両親や親戚がみんな教員をしていたため、教員になることが当たり前という環境でした。帝京大学の教育学部に入っていたのですが、アルバイトをし始めてから働く方が楽しくなってしまい、月120時間ほど働いていました。仕事が面白くなり、教員を辞めました。右も左も分からないまま営業職になり、競い合ったり結果を出すのが楽しいことに気付いて、結果を出すうちに経営者になったという流れです。人は変わりますね。
イノベーション的な発想を持った人材
—— 御社の今後の事業展望についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
新卒事業に関してはまだ新参者ですが、3年目には全国No.1になろうと思っています。今度は、企業向けにオールインワンの会員制プラットフォームサービスを展開する予定です。中小企業の経営者の方を採用の面で応援していけるような会社にしていきたいと思っています。
――今後力を入れていきたいことはありますか。
広報系ですね。学生に向けた広報事業はSNSも含めて、認知拡大にとても重要視されていると考えています。時間をかければできると考えていますが、いかに早くシェアを取るかということが重要だと考えているので、SNSの活用にも力を入れています。お金をかければ良いということではなく、社員も参加するようなブランディングにも力を入れていこうと考えています。
――最後に若者へメッセージをお願いします。
みんな可能性があって、社会人として成功する道はあると思っています。私自身教員になることが当たり前の環境で育ってきましたが、今ではまったく異なることをしていますしね。私自身は、経営者というよりもまだ教員をやっていると思っています。人を成長させる仕事が教員だと思っているので、部下の育成や今就活をしている学生さんを育てることも広い意味で教員の仕事のひとつですね。あとは、明るくポジティブに考えて、うまくいくイメージをするようにしています。明るく生きていれば、うまくいかなくても未来があるので大丈夫だと思いますよ。