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【Fulfill株式会社 手島 康希】「ヒトの可能性を信じ切ること」行動することは誰でもできる

2022/04/27

Profile

手島 康希

Fulfill株式会社 代表取締役社長

大阪NSC35期生。経営者→吉本芸人→経営者という異色の経歴の持ち主。2015年にFulfill株式会社を設立し、社員の幸せと社会の発展に貢献するため日々邁進している。大の猫好きで、同氏のInstagramは愛猫の写真で溢れている。
「時代に適合した役割を果たす」ことをミッションとしている同社では、ITツールの導入支援やIoT推進サポートといったサービスを提供することで、超高齢化社会に向けて企業・労働者の生産性を向上し、社会を支えることを目指している。

お客様のニーズに合った提案をするための仕組みから作る

—— 御社の事業について、どのような事業なのか、他社との違いはなにかを教えてください

弊社ではいくつか事業を展開しています。そのうちのひとつがオフィスコンサルティングという、経営者様が抱える悩み・問題を解決する事業です。まず経営者様にアポイントを取って、ヒアリングから分析を行います。

その会社のバックグラウンド、働き方、扱う商品・サービス、顧客層。どういったマーケティング戦略なのか、今後のビジョン、何を実現していきたいか。

何よりも、「本音」を聞かせていただくことが重要です。

当社が扱う商品・サービスを単に売るのではなく、お客様が必要とするものを当てていくというイメージです。物売りではなく、事を解決する「事売り」だと考えています。

「お客様のニーズに合った提案をする」と良くいいますが、これは当たり前のことです。私たちは、お客様によって異なるニーズを把握するために「仕組み」から作っています。

私たちは専門家集団です。会社へ定期訪問したり、経営者や社員の方からコールセンターに問い合わせしていただき、困ったことがあれば相談してくださいとお伝えしています。

経営者だけでなく、一般社員やアルバイトの方からも問い合わせが入ります。全てデータベースに貯まっていき、それはサポート担当者に全て共有されます。集まったデータを分析していくと、組織全体から集まる情報ですから、経営者さんが気付き辛いような、組織の課題に気付くことができます。

すると、「アナログ作業が多いので、このサービスを活用すると業務効率が上がり、時間が削減され、生産性が上がります。」と、根拠に基づいた提案ができます。当たり前のことですが、原理があって原則があります。これが「仕組み」です。

理由を説明できないのに売ろうとすると、お客様が「ただ売りたいだけだろう」と感じたり、「とにかく売ってやろう」という社員が出てくるかもしれない。するとwin-winではありません。売り手からすると、売る理由。買い手からすると、買う理由が必要です。

三方良しという経営の軸がブレないように。お客様によって異なるニーズを知るために「仕組み」から作っているコト。それは、当社の強みです。

――無理な営業をさせない「事売り」という考えは、設立当初から持っていた考えなのでしょうか

そうですね。というよりも、そうしないと売れないですね。たとえば5年に1回しか買わないような、業務用のコピー機・セキュリティ機器を、「とにかく売ってこい」といっても売れないんです。無理なことをしているようでは疲弊してしまいます。

この商品が必要だとわかるような「根拠を伝えることができるか」ここ重要です。

私たちにできることは、生産性を上げること。

根拠に基づいた提案により、商品の本質的な価値を伝えること。

具体的には、ITツールの提案などを行い、業務改善を繰り返します。

「仕組み」を通して、お客様に価値が伝わることで、会社を詳しく分析してくれる「頼りになる専門家」として関係を築くことができます。

学生の方からすると、ITとかDX、コンサルティングなど聞くと「難しそうだな」と思うかもしれません。

社会に出て何十年と経っているプロと、社会人1年目の自分で比較したときに「自分で大丈夫かな」と感じると思いますが、ここはチームワーク、組織力でカバーします。

やはり「本音」を聞けるかどうかが鍵です。新人さんでも何に困っているのかをしっかりヒアリングしてもらえば、組織一丸となって解決できます。自社で解決できなければお客様同士を繋げて、問題解決します。

弊社以外の方たちのお力も借りて解決していく、全員で掛け算となるように意識しながら組織運営しています。

――営業担当者だけが頑張るのではなく、社内全体で協力してやっていくということですね

そうですね。営業というと「ものを売る」という印象が強いと思うんですけど、ただ売るだけであれば自動販売機とかECショップとかでいいじゃないですか。売った後が大切で、私たちの強みは分析、購入後のサポートです。サポートに関しては特にですが、全員で協力し合い、お客様の問題・課題解決をしていきます。

「Fulfillに出会えて良かったです。おかげで会社が良くなりました!」と、お客様が私たちのファンになってくれると嬉しいですよね。そんなことを言っていただいた頃には、私たちもお客様のファンになっています。良い関係ですね。

――広告・紹介などでやるわけではなく、営業担当者が営業を行うのが中心なのでしょうか

紹介もありますが、WEBマーケティングはこれからです。新卒採用を総合職で採用していますが、基本的にまずは新規営業からスタートします。自社で扱っている商品・サービス。どういうお客様に、どのようにアプローチをかけているのかなど理解できるので、私たちの会社でいうと、まず最初に通る道かなと思っています。

まずは自分のマネジメントから

—— 起業する前、起業した後のどちらでも良いのですが、失敗談や逆境体験などはありますか

会社設立3年目で人が増えてきたときに、それぞれのマネジメント、指導方法がバラバラで、チームビルディングで躓いた時期がありました。決して人間関係が良いと言える環境ではなく、社内はモヤモヤと重苦しい雰囲気だった記憶があります。

――人間関係が良くなかったというのは、どのような状態だったのでしょうか。また、解決のためにどのようなことに取り組まれましたか

例えば派閥ができたりとかですね。

解決のために取り組んだことは、チームビルディングとマネジメントの勉強です。マネジメントは部下など、他人に対してするものというイメージがあると思うのですが、それは次のステップで、まずは自分のマネジメントからスタートします。

でないと、人には言うのに自分はできてないという人が出てきてしまいます。まずは自分ができているか?自分のやってることと言ってることが違わないか、行動や時間の使い方、お金の使い方も含めて、自分をマネジメントできているか?皆で取り組みました。

これなら部下・上司なども関係なく、全員で勉強もできますしね。マネジメントは部下を持つ上司だけが学ぶものではないんです。

あとは会社で大切にしている理念・価値観を、体現しているかどうかですね。知っているコトとやっているコトの間には大きな壁があります。1つでもやっていることを増やしていこうと、まずは私から、次に幹部が続き、取り組み始めました。

こうした取り組みをするなか、やる気と覚悟があり、情熱的で成長意欲の高いメンバーが目を輝かせ、活躍し始めます。

どうしてもなかにはそういうベンチャー感が好きじゃない、自分のペースでゆっくりと働きたいというメンバーもいて、数名は離職しました。

――経営者として、逆境体験からの学びはありましたか

自分の在り方を明確にすることができました。押し付けることはないのですが、私たちの組織が大切にしている理念、価値観を改めて土台から固めていく良い機会になりました。

 

やる気と覚悟があるかを見ている

—— 新卒採用の選考ではどういうところを見ていますか

弊社では新卒採用で最低でも6次選考まであります。それは1期生のときから変わっていません。選考の内容は体験が多いのですが、言ってることとやってることが違わないか、私たちの価値観と合うかどうかを見ています。

何となく決めたというより、お互いに覚悟を持って決めたっていう方が美しいじゃないですか。曖昧だと、入社したあとにギャップが生まれ易いということは確かなことです。

結果オーライということもあるとは思いますが、基本的にはきちんとした理由があって、働く人達からも感じるものがあって、好きでこの会社を選んでほしいんです。

親御さんが手塩にかけ育て、学校の先生や多くの方に支えられて育ってきたお子さんをお預かりする訳ですから、会社側も相当な覚悟をもって採用活動をしなければならないと思っています。

お互いに覚悟があったほうが、100%良いと思うんですよね。どちらも覚悟がなくて、何となく良いと思ったからというのは、良い結果を生むことは少ないと思います。

ありがたいことに応募はたくさんいただいています。パソコンが得意・不得意など関係ありません。私たちが見ているところは、「やる気と覚悟があるか」です。

1人でやるより皆の力を借りる

—— サービスやユーザーを広げたい、いい人材を採用したいなど、今後の展望があれば教えてください

私は「ホールディングス」といって、何社も会社が繋がっているような組織で育った経験があるんですね。それを実現したいと思っています。

1人でやるよりも、皆の力を借りながら進めていったほうが、より良いものができたり、スピード感をもってできたり、良いアイデアが生まれ、成功率が上がったり。

大好きな仲間たちと作っていけたら最高ですよね。トップになって牛耳りたいなど、一切ありません。上層部がちゃんと引っ張っていく、ひとりひとりが、自分がいるから大丈夫だと、力強く仲間に伝えることができる。そんな組織にしたいです。

社員が自己実現できる、ホールディングスカンパニーにします。

責任者を育て、必ず実現させます。設立時からブレることなく変わっていません。

――バックオフィス系の事業を増やしていきたいなど展望はありますか

今、興味があることは、働き方改革ですね。

私たちのスローガンといいますか、英語で「fulfill a role appropriate for this era」とあるんですが、「時代に適合した役割りを果たす」という意味でして、形が変わっていくんですね。変化を繰り返し、進化し続けます。

――将来の展望から考えたときの、現時点の課題があれば教えてください

「採用」と「育成」がうまくいくと組織は発展していくと聞いたことがあります。

その2つのうち、どちらかであるならば、「育成」です。

当たり前のことですが、主体性ってすごく大事じゃないですか。成果を上げるメンバーに共通している価値観ですが、主体性があり、ポジティブで、仕事に情熱的です。

私たちが大切にしている価値観をもっともっと伝えて「育成」していきます。

身近な人から本当の幸せが伝わっていく

—— 最後に1歩踏み出したいけど踏み出せない学生や若者に向けて、背中を押すメッセージをお願いします

私の父と母は自衛隊だったんですが、父親はレンジャーで、震災や災害が起こると父親がいなくなるんですよ。ニュースを見ながら、母は私に「お父さんは危ないところに、人の命を守りに行ってるのよ」と言い聞かせました。

私は「ヒトの命を守る為に産まれてきた」と思い、防衛医大に行こうと思いました。

中学の頃、防衛医大の進路に進む高校受験があり、スムーズに最終選考まで残ることができました。私は最終選考で、「父の勧めでここまで来ましたが、入る気はありません」といって帰っちゃったんですね。ギリギリになって覚悟が決まっていなかったんです。

家に帰って母親に伝えるとがっくりしていましたが、父親は「お前の人生だ。お前の好きなように生きなさい。」って笑顔で言ってくれたんです。

それまで私は、周りの人の目を気にし過ぎていたのかも知れません。お父さんお母さんが 良い子だと思えるようにスポーツも勉強も頑張って、必要以上に友達の目も気にしながら生きてました。父からの一言で、自分のフタがパーンとはじけ飛んだんですね。

実は中学校のころから経営者になりたいと思っていました。母の兄である、横浜の伯父が日本一多くフットサル場を作っている経営者で、そんな伯父に憧れを持っていました。

実際に伯父の会社にいくと。すごく厳しくて、理想と現実のギャップに苦しみ毎日のように泣いていました。社会で生きていく、お金を稼ぐ、すごく大変だなと思いました。

伯父は厳しく、結局は辞めてしまうのですが、次に就職した東京のホールディングスカンパニーでは、イチ営業から、一つの会社を任されるまで成長できました。

苦い想い出もありますが、伯父の会社での経験は、私にとって全て必要な経験でした。

順調で幸せでしたが、2011年に東日本大震災が起きました。その後も暫く、日本が暗かった記憶は今でも残っています。当時可愛がってもらっていた会長に「日本を明るくしたいと思います。息子が旅立つと思って吉本に行かせてください。」って言ったんです。

私の選択に周囲は驚いていました。当時日本全体がとても暗くて、私は人を笑顔にするって本当に素晴らしい仕事だと思い、真剣でした。人生一度きりだと思い、翌年2012年、大阪NSCに入りました。

数年経ち、今の会社を設立する訳ですが、きっかけは今の奥さんと出会ったこと。現No.2である岡田さんから「一緒に会社をやらないか?」と私に声をかけてくれたことなどが重なり、まずは身近な人から幸せにしようと決めました。それまではTV越しで多くの人達を笑顔にしたいという考えが強かったのですが、身近な人から順々に大切にすることで、本当の幸せが伝わっていくというインサイドアウトの考えに変わりました。

社会の出初めは、まだ経験も不足していますし、何がやりたいとか、明確になっていない人がほとんどだと思います。ただ、親からの愛・友情・学校の先生から教えてもらったこと、大切なことは忘れてないと思うんですよね。

社会に出て、苦しいことがあってもそれは自分にとって必要な経験「通る道」です。

自分には可能性があると信じていれば、社会の素晴らしさにも気づくことができます。

どんな社会人になって、どんな大人になって、おじいちゃんおばあちゃんになってという理想があると思うのですが、他人と比較することなく、自分の人生を歩んでください。

私たちは幸せになるために生まれてきたんです。

生まれてきたからには、全力で人生を謳歌すること。

最高の人生にしてください。

Fulfill株式会社

設立 2015年4月2日
資本金 6,000万円
売上高 非公開
従業員数 70名
事業内容 ソリューション事業 コンサルティング事業 ブロードバンド事業
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