実家の家が担保になっても、借金が数億円も残っていた。
—— 事業内容についてお伺いできますか。
主な事業として、フリーランス人材を扱うプラットフォームを運営しています。登録者が4,000名を超えており、フリーランスのWebエンジニア・デザイナーやディレクターなどの職種の方々から、毎月100〜200人ほど登録があります。ご登録いただいた方々向けに週1-2日ほどの案件からフルタイムの案件まで幅広くご紹介するエージェントサービスを展開しています。
また、最近では一般的になりつつあるプロシェアリングサービスも行っており、登録されているコンサルタントやマーケターのプロの方々をピックアップさせていただき、中小・中堅・地方の会社さんのDX化やマーケティング支援なども行っております。
他にも、一般社団法人ITフリーランス協会という社団も立ち上げて、フリーランス向けの福利厚生サービスやフリーランスでも入れる社会保険の仕組みをご提供したりして、フリーランスマーケットを中心とした事業を展開しています。
ーー起業のキッカケをお伺いできますか。
経営者の息子だったので昔からなんとなく起業志望があり、大学時代には将来起業をすると決めていました。しかし、新卒で銀行に入社した後に、リーマンショックで父の会社が倒産してしまいました。父は中小企業の社長で、連帯債務保証があったため、借金がかなりありました。実家の家が担保で競売にかけられた後も、借金が数億円も残ってしまい満足に生活できない状況でした。
借金が数億円もあり、そして家族の生活を守るためにも、起業しないとどうにもならなかったのです。その時に背水の陣の想いで起業を決意しました。その後、起業をする前の修行を目的に銀行から大手総合人材会社に転職しました。そこで人材市場に初めて携わった結果「スキルを身に付け磨いていかないと生きていけない社会が世界的に来る」ことを実感したのです。
日本を含めた先進国では少子高齢化が進んでいます。同時にグローバルな競争環境の中、企業の寿命は短命化しています。その状況で大手企業を退職されたシニアの方々が仕事を探すことに対して、苦労している状況を目の当たりにし、このままでは100年人生時代を生き抜いていけない危機感を覚えました。スキルを磨き、スキルを通じて仕事を得れる、会社に縛られずに生きていける仕組みをつくる必要性を強く感じ、今の事業を立ち上げました。
自信が無くなると何も行動することができない
—— 逆境体験をお伺いできますか。
一番きつかった体験は、自信が無くなった頃です。自信さえあれば、目の前に何かしらの困難があったとしても、それを課題と捉えれば解決できます。そして、前に進むことができます。しかし、自信が無くなると何も行動することができないのです。実は2,3年前ぐらいに、軽い鬱のような状態になったことがありました。その頃が一番精神的に厳しかったです。
精神的に厳しかった時の心境として、資金調達の話が頓挫してしまうなどのネガティブな出来事が重なって、何もやる気が起きない状態でした。当時は、「これはもう無理なのではないか」「自分にはセンスがないんじゃないか」というマイナス思考に陥ってました。
物事の本質が見えていれば、解決策を立てることができる
—— 今でも困難はありますでしょうか。
今でも様々な課題があります。しかし、課題は解決できるため、困難ではないのです。どちらかと言うと、本質が見えていない場合が困難です。本質が見えていないと、理想と現実のギャップを見誤るため、困難となるのです。
しっかりと物事の本質が見えていれば、解決策を立てることができます。本質を見る能力が低いと、何をしていくべきか分からないため、アクションを起こせません。本質を見る能力を高めるために、知識やノウハウなど様々なものを駆使しますが、それでも分からないこともあります。
例えば、会社上場を目指して準備を進めている中で、現状10億規模の会社が1,000億の事業へと成長する計画をつくるとします。この理想と現実の間のギャップが大きすぎると、ゴールイメージの解像度が低いため本質的な課題や仕組みがボヤけて見えてしまいます。PL(損益計算書)を書いて、採用方法やマーケティングの戦略を練って業績アップの道筋を立てることは適当に絵を描けばできます。しかし、本質的な部分が見えにくいので、想定通りになることはないと思っています。
100億の会社を1,000個作って社会課題を解決したい
—— 将来の展望をお伺いできますか。
計画を立てて実行していくことを続けて、過去3年間では業績を毎年2倍に延ばしています。そのため、堅実に計画通り実行して業績を伸ばすことが短期的な目標です。計画と実行の乖離をなくしていく作業ですね。また、中期的な目標として、当社は上場を3年以内に成し遂げようと計画しています。また、現在も当社では新規事業を積極的に行い、一つ一つ仕組みと組織を創って自走化させていってるのですが、上場後は育てた事業を会社化していきたいですし、事業を牽引できる有能な経営者も育てていきたいと考えています。
その先の長期的な目標としては、「100億の会社を1,000個作ること」を目標にしています。社会課題を解決する事業を数多く展開し、ビジネスを通じて現代社会の課題を解決していきたいです。よく「なぜ100億?」と聞かれますが、なるべくフットワークの軽い会社でありたいことと、100億ほどの規模がないと社会課題へのインパクトも小さいので、100億を一つの目安にしていますね。
思考と感情のコントロールを鍛えることができれば、思考を現実化することができる
—— 最後に新卒や若者へのメッセージをお願いします。
私が大好きな「思考は現実化する」という、ナポレオンヒルの言葉があります。この言葉の通り、世の中にあるものは思考さえできれば、現実化できると信じています。ただ、実は「思考する」という行為は非常に難しいです。思考は感情にも影響されるからです。うまく思考と感情を絡めて高めていくことで、全てのものは現実化ができると思います。
また思考と感情は、鍛えることができます。まるで氷山の一角のように目に見えているものが結果で、水の中に隠れている大きな氷山が思考と感情です。結果に結び付けるためには、思考と感情を鍛える必要があり、さらに思考と感情は意図的に鍛えることができます。だから、全ての結果は自分で意図的に達成することができるのです。
分かりやすく言うと、例えば「ランニングをしてダイエットをする」という目標を立てて朝に走るとします。朝起きた後に、走るか・走らないかの選択をするのですが、この選択は「走った後の爽快感」と「走らなかったことによる自責の念」のどちらを得るかという未来の感情の選択を迫られていると考えるのです。
人が選択を迫られる場合、大抵のケースは選択した結果どのような感情を得れるかを既に知っています。にも関わらず人は「後悔する」選択を自ら選びがちです。
思考と感情をコントロールして「ランニングした爽快感、達成感を得たい」という感情を合理的に選ぶと、正しい選択を行い、自信が育み、習慣化し、自然と走れるようになります。つまり、思考と感情は自らの意思で選択をすることができるのです。
このように選択をしていくと、思考と感情のコントロールを鍛えることができ、思考は現実化することができます。特に若い人たちなら、ポテンシャルを最大限に引き出すことができるので、ぜひ意識してみてください!