「見つけよう!第2の故郷(ふるさと)」である日本をもっと元気にしたい
—— 起業のキッカケについてお伺いできますか。
私は10年間、越境ECやインバウンドのマーケティングの仕事をやってきて、日本の地方に対してとても魅力を感じました。地方に行けば行くほど楽しいのです。ところが、地方の生産者さんでは後継者がいなく、子供にも継がせるつもりがない人がいます。収入が不足していたり、収益を上げようにも販売するための方法が分からない、という理由です。特にコロナ禍は生産者さんの収入減を招いていました。
このままでは日本の地方から良いものがなくなってしまうと思い、どうすれば地方の経済が良くなり、地方にとっても良いサービスを作れるかをずっと考えました。その結果、ライブコマースのプラットフォームを作りました。
私自身、人生の半分をほぼ日本で過ごしています。今年で40歳になり19年も日本にいます。自分にとって「第2の故郷」である日本をもっと元気にしたいのです。ライブコマースを通じて、生産者と消費者が直接つながることは、日本の地方にとってメリットが多いと感じています。
私の信条は「仕事を楽しもう」
—— 逆境体験がありましたらお伺いできますか。
起業して10年経ちますが、経営者によくある資金のショートや社員に裏切られて会社のノウハウを外部に持ち出されたことは何度もありました。また、会社口座と自分のプライベートの口座を合わせても銀行口座に数十万円しかなかったことも何度もあります。友人に協力してもらったり、一時的に友人の事業をサポートすることで収入を得たりして乗り越えてきました。
ーー困難を前にしても諦めずに乗り越えられたのはなぜでしょうか
事業を辞めてしまうとそこで終わりですし、諦めるのは簡単です。自慢にはなりますが、私はいわゆる「敏腕COO」と呼ばれるに値する経験やスキルを持っています(笑)
そのため、どの会社に行っても歓迎される自信があります。実際に、事業が上手く行かなかった時に、複数の会社からオファーもありました。
でも、仕事を楽しみたいので、やらされる仕事ではなく、自分でやりたいと思える仕事が10年間ずっと胸の中にあります。私の信条は「仕事を楽しもう」です。これを経営者仲間に言うと「楽しいだけで上手く行かないぞ」と、よく叱られます(笑)
でも今年からは、本気に上場を目指しながら、楽しい仕事をやっています。
楽しいから仕事を続けられて、楽しいから苦難があっても乗り越えられる
—— 現在でも困難はあるのでしょうか。
もちろんあります。特に当社のようなベンチャー企業は、資金の兼ね合いと人材の確保が課題です。プラットフォームの成長途中は、すぐに収益へつなげることが難しいです。どうやってユーザーを増やすのか、毎日新しいチャレンジをしながら、考えないといけません。
日々、困難ばかりですが、困難を乗り越えることが楽しみでもあります。「仕事が楽しい」という気持ちは自分にとって根源的なものです。楽しいから仕事を続けられて、楽しいから苦難があっても乗り越えられています。
ーー御社の求める人材像についてお伺いできますか。
即戦力を求めていますが、現在はインターン生の採用も検討しています。「地方創生xライブコマース」が当社のキーワードですが、当社の社員の平均年齢は少々高めですが。そのため、もっと若い人の力を借りたいです。インターン生でも優秀な人材がいれば、上場を目指している状況の中で、一緒に働きたいと思っています。
新しいことに挑戦したり、会社をうまく活用して経験を積んだりして成長していく
—— 最後に新卒や起業志望の若者へメッセージをお願いします。
初めて会社に就職して仕事を始める時、みなさん悩まれると思います。「この仕事は、果たして自分がやりたい仕事か?」「何のためにこの仕事をやっているのか?」という気持ちが、あるはずです。この感覚は、絶対に忘れない方が良いです。
会社にもよりますが、半年くらいで任された仕事ができるようになると思います。すると、半年で会社の中で学ぶことが終わってしまうのです。その後、「この会社で同じ仕事を続けてやっていくのか」、それとも「自ら楽しい仕事を作るか」という、人生の分かれ道に立たされるでしょう。
例えば、安定した生活が欲しい人や仕事とプライベートを完全に切り分けたい人であれば、前者でもいいと思います。でも自分の人生で何かを成し遂げたいのならば、後者を選択するでしょう。何か新しいことに挑戦したり、会社をうまく活用して経験を積んで、仕事を楽しみながら成長するといいです。
人生の方針を決めて起業しましょう
私は起業したのが28歳で、実は後悔しています。起業したから後悔しているのではなく、もっと早く独立した方が良かったと思っています。しかも、今では新しく会社を興す方法はたくさんあります。
例えば、会社に勤めながらでも事業はできます。まだ世の中に大手企業への就職を希望する人が多いですが、ベンチャー企業に入って社長と一緒に会社を作っていくという働き方もあります。
他にも独立をしたい人は、会社を大きくするために重要な役職に就いて経験を積む。会社に入って社会の常識や学生では得られなかった経験を積みながら、副業で起業する。これらの中から、自分に合う起業の方法を選べばいいです。みなさんの人生の方針を決めて、起業しましょう。
全ての仕事が自分の糧になり、無駄な仕事は1つもない
若い時に起業すると、いくら失敗しても誰かしら協力してくれるからお勧めです。色々な仕事をやってきて、全ての仕事が自分の糧になっていると実感があります。無駄な仕事は1つもありません。どんな経験も今後に繋がるので、とりあえず全力にやって、楽しみましょう。考える前に手を動かすことをお勧めします。
補足として起業経験の有無は、採用されるときに有利に働きます。起業経験がある人は、組織が自分に何を求めているのかが、肌感覚で分かるからです。起業経験がない人だとそれが分からないため、出世したり成長することが難しいです。経験に大きな差ができるので、ぜひ様々なアクションを起こしていきましょう。
他にも起業していると、企業のあり方を肌感覚で覚えざるを得なくなります。例えば、会社の役員や部長クラスに就くと、社長が何を求めていて会社に何が足りてないのか、見えるようになります。すると、社長へ的確な進言ができるようにもなります。ぜひ若い人たちは経験を積むためにも、様々な行動をしてみてください!