なぜ熊本に本社を置いたのか
—— 本社を東京から熊本に移転したのはどういった理由からですか?
2017年10月の立ち上げ当初からフルリモートの会社ですが、メンバーは全国様々なところの業務に関わっていることが前提にあります。
私がフリーランスのとき、東京と鳥取の2拠点体制で活動していました。
また、起業当初からの付き合いであるメンバーが熊本で活動していました。
そこで鳥取か熊本のどちらかに本社を置こうと考えたのですが、スピード感のある対応と歓迎をして下さった熊本に本社を置くことになりました。
私たちの会社には「“誰と、どこで、何をするか”を、もっと自由に。」というミッションがあります。
本社移転は、このミッションを体現していてブランドアクションに近いと考えています。
事業の立ち上げと「“誰と、どこで、何をするか”を、もっと自由に。」
—— どのような思いで事業を立ち上げたのでしょうか?
2017年の起業後、最初に行ったのが「TEAMKIT」というサービスです。
それはフリーランス同士が自分の抱えているプロジェクトをシェアする、つまり仲間とチームを組むものでした。フリーランスや個人がより働きやすくするのが目的でしたが、私自身はクリエイターではないので、相談を受けた際、エンジニアやデザイナーを探す必要があり、そこに大変さを感じました。
プラットフォームがあっても個人が個人を探すのは大変です。
フリーランスの7~8割は自分のつながりから仕事を得ているという調査結果も出ているので、そこをスムーズにすればフリーランスはもっと活躍しやすく、チームを組むことで心理的安全性が高い状態で働けると思います。
その後、ぷろj単位での仕事の発注時に企業側のスキル感などの不足を感じたので「ATTEND biz」を始めました。
「“誰と、どこで、何をするか”を、もっと自由に。」というミッションは、働き方の選択肢を増やすことだと思っています。
自分のライフスタイルに合わせて働き方を選択できる状態を作るのが会社としてのミッションだと思っています。
サラリーマンという働き方が生まれてまだ50年と短いです。
にもかかわらず、多くの人にとってサラリーマンという選択肢しかないような社会の空気感を感じてしまいます。
鳥取などを見ても農家さんは個人事業主でクリエイターです。
新しい選択肢を作りたいというよりも、そもそも働き方には選択肢がある。
それに気づいた人もいるが、誰もが働き方に選択肢があるということを知っているのが普通になるといいと思っています。
「ATTEND biz」には、「TEAMKIT」やSNSでつながった人たちも
—— どの様にフリーランスの人などを集客していますか。
「TEAMKIT」の登録者が3,000名ほどいるので、そのつながりもネットワークの一つです。
創業からフリーランスや働き方について発信していますので、周囲やSNSのつながりなどからお願いすることも多いです。
プロジェクトごとにチームを作っているので、どんなプロジェクトがあるか発信し、興味のある方に来てもらっています。
フリーランスの方と仕事をしていますが、フローは採用と同じ感じです。
お仕事に関しては、フリーランスの方が持っている仕事を「ATTEND biz」で請け負うのでしょうか?
「ATTEND biz」に問い合わせのあった仕事をフリーランスの方と一緒にやるのでしょうか?
後者です。
もっとボリュームをあげるつもりですが、「ATTEND biz」への問合せは多いですし、クライアントさんからの紹介で案件はもらえているのが現状です。
今後はもっと多くの方法を用いていきたいと考えています。
事業を見直した時に見えてきた課題と、そこから生まれたもの
—— 印象的だったことや、すごく大変だったと思うエピソードはありますか。
大変というよりも難しかったと思っているのは「ATTEND biz」を始めるときです。
「TEAMKIT」は、1年ぐらいで3,000名ほどの登録者がいました。
プロジェクトは約400個抱えていて、チームの組成率は70%ほどありました。
TEAMKITを通じてのマネタイズを行おうとした時に、例えばフリーランスの紹介や人材募集メディアなどを考えて実際にたくさんの企業に営業を行いました。
そこで気付いたのは、フリーランスのチームに対して適切にプロジェクトを切り出してお願いする、そしてそれをマネジメントするというノウハウが、企業側に足りないということに気づいたんです。
結局フリーランスは、外注先扱いになってしまうというか…もちろん我々の営業が拙い部分も当時はあったとしても、企業からはとりあえず単価が安めに、稼働がしっかり確保できるエンジニアさんを紹介してもらえないか」という依頼も多かったんです。
そこで「これは自分たちの作りたい世界観ではない。」と思いました。
「もしマネタイズできても、これは違う。」と考えたんです。
そして「ATTEND biz」で、自分たちもマネジメントとして間に入ることで、企業にとってもフリーランスにとってもいい状態を作らないといけないという話になったんです。かなりの時間がかかりました。
そのあたりが難しいポイントでした。
ずっとマネタイズを意識していたわけではなく、求められるサービスを作ろうと考えていたので、マネタイズとの乖離のようなものは感じていました。
その出来事を通して数ヵ月チーム内で話し合ったり、企業に営業に伺ったりしたことは非常に良かったです。
こういう経験を経たからこそ、「ATTEND biz」の価値を企業に話せるんです。
フリーランスや中小企業のためにできること
—— フリーランスは安くて、こちらの言ったことをやってもらうというイメージが世の中にはびこっていると思うのですが。
「“誰と、どこで、何をするか”を、もっと自由に。」を一番実践しやすいのはフリーランスだと思っています。フリーランスに安い単価で作業をしてもらう、というのは私たちのやりたいことではありません。
一方で、フリーランスが企業と業務委託契約を結んだ際、企業から開示される情報は限られてきます。情報が少なければ、スキルに関係なくフリーランスから業務についての提案ができません。そういった問題をWEB上で解決させるのは難しいと判断し、自分たちが間に入る「ATTEND biz」が生まれました。
――企業側からすれば「とりあえずフリーランスに頼んでみよう」というケースが多いのでしょうか。中小企業が多いのでしょうか。
企業側からすれば「新規事業を立ち上げたいがノウハウもないし、外部に依頼するにしてもマネジメント方法が分からない」という方が多いですね。大企業でも非IT事業をドメインにしているところだと、そんな知識がある方はおられないことが多いです。
企業の規模に関わらず、非IT事業ドメインの企業さんはエンジニア組織をもっていないと思います。
その中でも自分たちのメインターゲットは中小企業さんだと思っています。
企業やフリーランスのための「ATTEND biz」
—— 事業展望を教えてください。やはりサービスを知ってもらうことが軸になりますか。サービスを増やすことは考えていらっしゃいますか。
開発業界のニーズを感じているので、それに応えていきます。
非ITの中小企業が新規でデジタルトランスフォーメーションやオンライン化をする際のサポートが中心になると思います。
開発業界のフリーランスには、同時に複数社で勤務するパラレルコミット型の働き方をしたいと思っている人が多いんです。
だから、そこに付随したプロダクトづくりは考えていますが、事業をそんなに増やすつもりはありません。
フリーランスに関することがベースにあるので、フリーランスに向けての環境整備や調査リリースのようなことをやっていくつもりです。
――事業をしていく上で一番必要と思っているのはなんでしょうか。御社を知ってもらう機会を増やすこと、「ATTEND biz」を知ってもらうこと、フリーランスなどの集客をもっと増やすこと、などがあるのかと思いますが…そのためにこれをしていかなければというものはありますか?
全部ですね(笑)
企業やフリーランスに向けて、「ATTEND biz」がどんな思想で、どんなものを目指して今の仕組みになったのかの認知は、広げていかないといけない思っています
柔軟性を大切に動いて下さい
—— 若者や学生へのメッセージ(意識してほしいことや、やっておいてほしいこと)をお願いします。
すごく考えたんですが、ありません(笑)
社会の形は5年や10年で変わります。
だから自分たち世代が言うことは全く当てはまらないと思うんです。
社会の流れは速いので、考えすぎたり「準備が整ってから」と、固まってしまうと負けな感じがしますね。
キーワード的に言えば柔軟性です。凝り固まって考えない方がいいです。
柔軟性を持って動いて自分なりに学んでいくのが大事です。