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【Future’I’Mark株式会社 脇田 龍太郎】共同創業からの経営危機・・・どのように窮地を乗り越えたのか?

2022/03/15

Profile

脇田 龍太郎

Future'I'Mark株式会社 代表取締役CEO

新卒入社で、光通信のグループ会社に勤務。半年でトップセールスへと駆け上がる。その後同僚と一緒に、現在のFuture'I'Mark株式会社を3人で共同創業する。

同社は主に2つの事業を主軸としている。1つは次世代型のBtoBマーケティングサービスの支援。もう一つは、「ダイバーシティ・インクルージョン」に特化した採用のプラットフォームの提供。

革新的なサービスを提供しようとして、大きな困難にぶつかった脇田氏に、これから起業を考えている方へのアドバイスを伺った。

差別が起きない社会を目指して、今私たちが取り組んでいること

—— 事業説明をお願いします。

弊社は、Sales Mark(セールスマーク)とJobNS(ジョブネス)という2つのサービスをメインに行っております。

Sales Markは、主にBtoB向けのコールセンターを使ったマーケティング支援を行っています。プロダクトを持つ企業様の最適な市場の選定やアプローチを、アウトバウンドで行っております。アウトバウンドで取得したデータをもとに、分析と改善を行い新規顧客単価の改善を行っております。

もう一つ、JobNSというサービスは、「ダイバーシティ・インクルージョン」に特化した採用のプラットフォームです。我々が掲げるダイバーシティとは、「LGBTs」「ジェンダー」「国籍」「年齢」この4つのセグメントで分けています。

我々はこのような方々がしっかりと働いていける企業だけを選別して企業の求人を掲載しています。掲載企業は完全審査制ですので、面接の際に差別が起きることなく、入社してからも差別が起こらない仕組みになっています。そうすることでユーザーの方々が安心して自分の働く場所や居場所を見つけることができる、そういったプラットフォームを提供しています。

共同創業のハードル

—— これまでの失敗談などあれば教えてください。

これまでに大きな試練が2つありました。1つ目は共同創業者との間で、会社の方向性の違いが出てきたことです。

この会社を立ち上げたのは私1人ではなく、元同僚と一緒に3人で立ち上げました。会社の持株の配分率もあまり深く考えず、そのまま3分割にして各々が均等に保有していました。そして社長は誰がするかということになり、ジャンケンで私が社長になりました。

当初はスキルアップと生活水準の引き上げ、起業してみたいという好奇心で起業したのですが、段々他のスタートアップ企業を見ていると、社会的意義のある企業がたくさんあり、私も単なる営利活動だけではなく、この会社を社会的意義のあるものにしたいと思うようになりました。

しかし株を3等分しているため、3人の権限が同じなので、私は社長という立場でも、決裁権がありませんでした。最終的には株を他の2人から全て買い戻して、私がすべての株を保有することになりました。

その後2人は会社を辞めることになりましたが、じっくりと話し合った結果、お互いが納得する形で退社してもらうことになりました。今でもその2人とも仲が良く、一緒にゴルフを行ったりしています。

 

 

キャッシュエンジンの重要性

—— もう一つの困難を教えてください。

2017-2018年頃に「フリーWi-Fi」に接続している人々のデータを活用して、SNSマーケティングが実施できるツール「Plain」を開発し、その事業に社運をかけて取り組んだことがありました。

ちょうどその頃、Instagramを活用したマーケティングが、店舗ビジネス領域でトレンドだったということもあり、そこにフリーWi-Fiのデータを活用できれば、店舗に来たことのある人、店舗近辺を通る人に、集客促進できるのではないか?と考えたことがきっかけです。

しかし、そのフリーWi-Fiの仕組みに「Cookie」という技術を使っており、その「Cookie」が今後使えなくなるという噂が回り始めたことから、なかなかベンチャー・キャピタルからの資金調達も認められず、開発体制の維持に苦戦を強いられました。また、創業時から続けてきていたソフトバンク社とのビジネスも、大幅に縮小していたので、撤退時に会社が倒産しかけるほどの大きなダメージを負うこととなりました。

新規事業をやるときは失敗時のリスクを踏まえて、そこに全てを費やすのではなく、しっかりと安定した収益源が別にある状態でチャレンジしないと、会社が潰れかねないということを痛感いたしました。

——経営が困難になった時はどんな心境だったんでしょうか?

自分を信じていたため、意外と冷静にい続けることができました。とはいえ、撤退後はこれまでの事業を元に戻そうとしても早々元に戻るようなものでもないですし、加えてコロナウィルスの社会的影響もありましたので、本当に苦しい状態が続いておりましたが、一部の事業をバイアウトしたり、創業時からの事業をピボットして、なんとか黒字化するとことまで戻すことができました。

——経営には運も大事なんでしょうか?

個人的に運というものは存在しないと思っています。運というものは、日頃の努力であったり、たまたま種蒔きをしていた芽が咲いただけという感覚です。

経営者は普段から色んな所で種まきをしています。具体的に、色々な人々と交流したり、情報を託したり、勉強したりといった、様々な行動をしています。種をまくということはいつか芽が育ちますよね。ただ、それだけのことなのです。

例えば、私が創業したての頃では、小さな商談がきっかけで、たまたまものすごく大きな商談につながったこともあり、それで倒産を逃れたことが何度もありました。

最初は単なるラッキーパンチだと思っていましたが、何度も何度も同じようなことが起きるため、これは自分で引き寄せているのではないかと思うようになりました。

このように、自分で引き寄せていくためには、まずは種まきをしていかないといけない。行動しないといけない。全ては自分の努力次第ということです。

 

2つの大きな困難を乗り越えた、今だからこそ言えること

—— ——この2つのことから学んだ教訓は何でしょうか?

一つは、共同創業をもしもするならば、きちんと創業者間株式契約を結んでおいたり、共同で株を持つにしても議決権についてしっかりと議論しておくことが重要だと思います。あとは友達同士でやるにしても、社長には敬語を使うとか。そういったガバナンスが重要だと思います。それができないなら、共同創業はやめておいた方がいいかもしれません。

もう一つの教訓は、背伸びをし過ぎないことです。新規事業をやるにしても、もしうまくいかなくなった時に、後戻りができない状況は非常に危険です。しっかりと地に足をつけて地盤を固める事業を整えてから、新しい分野にチャレンジしていくことが重要だと思います。

時には、同年代の経営者や後輩の経営者が、自身の会社よりも成長していると、劣等感に苛まれてしまい、すごく焦ってしまうこともあると思います。しかし、そこで焦ってしまうと簡単に足元をすくわれてしまい、窮地に陥るということはよくある話なので、焦らないように自分にしかできないやり方で、自分のペースで、着実に事業を進めていくことがとても重要です。

もし仮に利害関係のある人々から、経営の決断を急かされるようなことがあっても、絶対にあなたなりの信念や正義はブレることがあってはいけません。最終的に信じることができるのは自分だけです。自分を最後まで信じられる人。それこそが最重要なのだと考えます。

 

スキルや実績にとらわれることなく、未知の世界に飛び込んでいくという勇気

—— これから活躍する人材の特徴を教えてください。

「スキルや実績にとらわれない人」だと思います。最近の風潮ですと、プログラミングのスクールに通って、スキルを身に付けるという若者が多いかと思いますが、私はそれはちょっと違うなと思っています。まずはやったことのないことに飛び込んで、失敗をどれだけしてきたのかということの方がとても大事だと思います。

失敗経験の多い人は、そこからの学びが非常に豊富で、キレのある仮説を立てたりだとか、マーケットに関わる人々の動きや感情を先読みする力に長けている傾向があります。優秀な人や成功者の共通点はそういった失敗を恐れないで行動できることだと思います。

とはいえ、ただ行動だけして何も振り返らず考えないのではダメです。しっかりと行動した結果を振り返って反省し、学びに転換できるような人が今後も活躍すると思います。

——求める人材を教えてください。

起業したいという高い目標を持っている人や、仕事が大好きな人と一緒に働きたいです。仕事が好きで好きで、仕事とプライベートを分けたりしない、寝る間を惜しんで働いても苦にならないぐらい仕事が好きなのがいいですね。

私自身も新卒で入った会社では、本当に寝る間を惜しんで働いていても、全く苦にならなかったし、上司に休めと言われても、好きで働いているんだから、そんなこと言わないでほしいと生意気を言っていたこともありました。こういった仕事の価値観やビジョンが合う人と一緒に仕事がしたいと思っています。

——これから起業を目指す若者へのメッセージをお願いします。

世の中には勢いのあるスタートアップ・ベンチャー企業や、成功している経営者がたくさんいらっしゃいますし、自分もそういった企業の経営をしてみたいという野望を持って起業を目指している方もいらっしゃると思いますが、誰しも根底には「失敗したくない」という気持ちがあるかと思います。

そういった方への私からのアドバイスは、革新的なビジネスや、いきなり凄いことをやろうとはせず、まずはモノを作ってあげたり、営業を代行してあげたり、代わりにアイディアを出してあげたりなど、自分の体を使って、しっかりと収益を出せるようなビジネスを作りあげることがとても重要です。

それで取引が成立するのであれば少人数でいいので、人を雇って組織をつくり、その組織を任せられるマネージャーを教育すればある程度の充実した生活を送れるぐらいの収益はつくれると思っています。そうすれば、仮にリスキーな新ビジネスにチャレンジして、万がいち撤退するような事象が発生したとしても、会社自体が危険にさらされることはありませんし、心の余裕も違ってきます。ですので、まずは斬新なビジネスモデルにチャレンジするのではなく、自分の体を使って収益を得ることのできる、収益の柱をつくることに特化して起業することが、現代で成功するためには必要不可欠です。スポーツもビジネスもまずは基本が大事です。基本に忠実な人は変化に対応する力があります。時代は変化していくので、いま仮にビジネスがうまくいっても、10年後にそのビジネスが生きているかどうかはわかりません。そのような変化を生き抜くためにも、まずは基本です。そこを忘れずに、起業を目指してください。もしも質問等ございましたら、気軽にSNSでメッセージくださればお答えいたします。

 

Future'I'Mark株式会社

設立 2014年4月28日
資本金 不明
売上高 非公開
従業員数 90名(2021.09時点)
事業内容 マーケティング支援事業/WEBプラットフォーム開発事業
URL https://future-i-mark.co.jp/
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