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【株式会社Piece to Peace 大澤 亮】どん底でも「失敗を失敗と思わない」ことで窮地を乗り越えてきた

2022/03/14

Profile

大澤 亮

株式会社Piece to Peace  代表取締役

三菱商事を経て慶大大学院(MBA)入学と同時に起業、2度の事業売却を経験。ドリームインキュベータ勤務、土屋鞄製造所の役員を経て2009年に株式会社Piece to Peaceを創業。

同社の事業は、勤務時間ではなく成果や業務にコミットする、業務委託契約のプロ人材を紹介するプロ契約サービス。単なるプロ人材の紹介ではなく、「プロ人材で法人の課題を解決する」課題解決企業として事業を展開している。
そんな大澤氏に過去の挫折と、挫折から得られた教訓について伺った。

税務署に財産を差し押さえられ、腫瘍による体調不良も経験した

—— 創業時の失敗談がありましたらお伺いできますか

慢心があったことでの失敗があります。2つの事業を作って売却した後、経営コンサル会社に勤務し投資、スタートアップ育成、大企業向けのコンサルティングをしたり鞄のメーカー・ECで役員、COOをしていたので、事業を作ることにおいては自信がありました。

2009年に当社を創業し、当時は地球貢献をテーマに、有名ファッションブランドと組んで事業を展開していました。老舗の百貨店とも提携し、売上は成長しましたが、同時に在庫問題を始めとした様々な課題も抱えていたのです。そのため、ピボット(事業転換)を決めましたが、タイミング、在庫等の課題で、資金がキャッシュアウトしてしまいました。

当時は投資を望めそうな投資家は、身内も含め複数あったのですが、資金調達は甘い見込みでした。その結果、債務超過で預金残高が底を尽き、税務署に財産を差し押さえられてしまいました。また、良性ではありましたがストレスから腫瘍を患ってしまったり、帯状疱疹を煩ったり、大きく体調を崩してしまいました。

大事なことは「失敗を失敗と思わないこと」

—— そのような厳しい状況にもかかわらず、諦めずに頑張れた理由は何だったのでしょうか

 

「自分自身の哲学、ビジョンに真摯に向き合っている」という意識を持っていたからです。今一度、志を持って起業したときの初心を取り戻して、「何としてでも、社会に役立つ新規性のあるビジネスで、事業を成長させよう」と奮起しました。決して怪しいビジネスではなく真っ当な事業をしていたので、「絶対に何とかなる。何とかしなきゃいけない」という気持ちでした。

友人や業務委託で支えてくれた方々を含め、様々な形で支援をしてくれた方々に対して申し訳ない想いがありました。「絶対に潰れるわけにはいかない」という強い意志が、モチベーションを保てた要因でした。当時は、経済的に苦しい状況で何度も我慢をしてきましたが、強い意志を持っていたため乗り越えることができました。

さらにもう1つの大事なことは「失敗を失敗と思わないこと」です。これらを意識することで危機的状況を乗り越えられます。学生の頃から「失敗は失敗ではなく、うまくいかないことを学んだ」と捉えていました。例えば、当社では事業が二度破綻したことがありましたが、その際も大いに学びがありました。

同じ失敗を二度としないようにすれば、また、倒産するレベルの大きな失敗を回避できれば、次からは確実に前回よりはうまくいきます。つまり、失敗することで成功する確率が、どんどん上がっていくのです。そのため、これまで失敗はしてないと捉えています。苦い経験もたくさんしてきましたが、だからこそ今、順調な経営ができていると感じています。

 

事実に対して、ポジティブに解釈するマインドセットを持つ

—— ポジティブな方向に進めていくことが成功への近道なのでしょうか

失敗をしたときは、極めてポジティブに、前向きに物事を捉えると良いでしょう。事実に対して、ポジティブに解釈するマインドセットを持つのです。私は自分自身のことをとても運が良いと思っています。事業を二度も売却できた実績も、運が良いことの証です。運は物事をどのように解釈するかで左右されます。失敗を失敗であると、ネガティブに捉えてはいけません。

また、当たり前の話ですが人は物事をポジティブに考えると、表情が明るくなります。逆にネガティブに考えると表情に悲壮感が漂ってしまい、さらに同じように悲壮感を纏った人が集まりがちです。そうなってしまうと、運は良くない方へと向かうでしょう。

運の良い人は、同じように運の良い人と付き合う傾向があります。運が良い人同士のつながりやネットワークで、どんどん運は変わっていくでしょう。多少の債務超過の失敗を笑って過ごせるぐらいのポジティブさがあれば、運の良い人が集まってきます。そして、様々な方から支援を受けることもできます。その結果、さらに運が良い方向に働き、成功しやすくなるでしょう。

過去に学んだことに固執していると慢心が生まれる

—— 失敗から得られた教訓がありましたらお伺いできますか

アンラーニング(unlearning)を意識しています。英語の「Learn(学ぶ)」の逆で「学習棄却」という意味です。簡単に言うと、「過去に学んだことを捨てて、学びなおす」ということです。過去に学んだことに固執していると、「過去に成功したときのやり方でやれば大丈夫」と慢心が生まれてしまいます。しかし、社会の変化するスピードは早いため、過去の成功経験はすぐさま当てにならなくなります。

もちろん学ぶことは大切ですが、学んだことに依存しすぎないことが大事です。学んだことを一旦捨てて、例えば、「1年前はこうだった。だが、1年経った今ではどうだろうか?」と学び直すことが、転職や経営など全てのビジネススキルにおいて重要です。

学びを捨てるコツとして、失敗してみると良いと思います。過去、私もそうでしたが、人は痛い目に遭わないと分からないものです。失敗するためには、正しいリスクの取り方が重要です。私は事業が破綻した経験がありますが、会社が倒産するまでの失敗には至っていません。倒産しなかった理由は、リスクを把握していたからです。

投資の範囲を定め、リターンが望める範囲を考えながら事業を運営していました。結果的には債務超過になりましたが、そのときに正しい対応を取れていなければ倒産していたでしょう。少し感覚的な言い方をすると、「失敗を小さく住まわせる」のです。若い人であれば、いきなり大きな成功を目指さずに小さな成功を積み重ねると良いでしょう。

必ず誰かに支えられて、成果が得られていることを意識する

—— 御社が求める理想の人材像をお伺いできますか

トラブルに遭った時にポジティブに解釈できる人、そして、過去の成功体験に囚われずに謙虚な姿勢でいる人です。当社が掲げるバリューに、「謙虚に、分かち合う」という理念があります。謙虚さや素直さがとても重要で、言い方を変えると「手柄を1人独り占めしない」という意味もあります。

どうしても人は結果を出した時に、「高い評価を得たい」「自分の力でやりきった」などと思ってしまいます。しかし、実際は会社というチームで成しえたものです。仕事では必ず、誰かに支えられて成果が得られていることを意識するべきです。

現場で活躍されてるプロ人材の方から学ぶことは、とても貴重

—— 最後に新卒や若者へのメッセージをお願いします

学び直しのアンラーニング(unlearning)を含め、一生学び続けましょう。私も今年で49歳ですが、考え方や成果の出し方などは若手社員から学ぶことが非常に多いです。若手から学ぶことが多い半面、同世代の人だと価値観が似通ってしまうので気を付けています。

当社では正社員が11人、業務委託のプロ人材の方が約30人います。当社が様々な企業にプロ人材の活用を推し進めている理由は、売上や業績に直結することと、社員の方が学びを得られるからです。つまり、社員育成も見込めるというメリットがあるのです。社員育成と成果の両方を得られる方法が、プロ人材の活用であると当社は考えています。

同じように当社の社員も、プロ人材の方からかなり学んでいます。もちろん研修でも学べますが、現場で活躍されてるプロ人材の方から学ぶことは、とても貴重です。みなさんも常に学ぶ意識を持っていれば、きっと道は拓けます。ぜひ頑張ってください!

株式会社Piece to Peace

設立 2009年9月
資本金 非公開
売上高 非公開
従業員数 正社員 11名、プロ人材26名、アルバイト1名、インターン6名
事業内容 キャリーミー ビジネス界におけるプロ契約の支援事業
URL https://piecetopeace.co.jp/ https://carryme.jp/ https://carryme.jp/recruitment.html
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