人は平等だと信じていましたが、大企業では違いました。
—— 2度と体験したくない失敗談はありますか
6か月でやめた会社員時代は、人生で一番辛かったランキング1位に入れてもいいですね。 自分の信じていたことが間違っていたと感じた体験でした。
「天は人の上に人をつくらず」と教わりますよね。 幼い頃から素直な性格だったので、人は平等なのだと信じていたんですね。 しかし、実際の社会では、好き嫌いで判断されたり、その日の機嫌によって判断が変わったり、管理者や上司の個人の感情で組織は動いていました。 その時、ビックリしたと同時に「人はちゃんと平等じゃない」と挫折を味わったのです。
社会人になって初めて、それぞれの感情や個人的な見解によって評価がバラバラな判断基準で社会は動いていることを知りました。(笑)
大企業ほどこの傾向は強くなり、自分には会社員は向いていないと落胆し、会社を辞めてニートになりました。 しかし、会社員で落ちぶれても起業するという夢は諦め切れなかったのです。
グーグルの検索で「高収入 職業」と調べたら「年収1700万円 ボートレーサー募集」という文言が目に入ってきました。ボートレーサーを3年間位やって、起業資金を貯めようと考え、ボートレーサー試験に挑戦して、合格しました。しかし、自分のプラン通りに稼げないことを知り、合格方法のノウハウを使って予備校をやろうと考え、日本初となるボートレーサー予備校を立ち上げました。その後、IT業界に転身して経営学を学び、社内評価の整った現在のドットラインの創業へと繋げられました。
——紆余曲折を経て創業された中で、後悔された経験はありますか
やって後悔した経験は少ないですね。 どちらかと言うと、挑戦せずに終わってしまった未来の自分を見る方が怖いです。
僕は色んなことに挑戦をする反面、嫌なこともすぐに辞める性格だったので、時にはまわりからボロクソに言われるほど強い反対にあうこともあります。 ですが、僕自身のプランを常に持ち続けているので、前へ進むことに迷うことはありません。 30歳までに起業しないのはあり得ないと学生時代から考えていたので、24歳になる頃に起業に至りました。
プランを常に立て直すことを習慣としており、挑戦して後悔した経験はほとんどありません。
地域の「困った」を「ありがとう」に変えたい。
—— 今現在のプランや事業について教えてください
世間的には医療・介護・障がい福祉・保育の業界に属するのですが、業界慣習にこだわらずに本当に困った人に対しての課題を解決できるソリューションを提供する方針です。
当社の特徴は、医療・介護・福祉の在宅分野においてワンストップ(一貫して)でサービスが提供できることです。
病院から自宅、医療と介護、障がい福祉と介護、それぞれが国の制度上において縦割りに動いているので、当事者の都合ではない理由でたらい回しにあったり、制度からこぼれ落ちる多くの生きる上での「困った」が存在します。
当社の訪問診療、訪問看護、訪問介護、グループホーム、通所支援、就労支援事業等のサービスにより、住み慣れたご自宅や地域で最期(お看取り)まで、ワンストップで支援して、病気になっても、障がいになっても、介護状態になっても、シームレスに生活ができるような命を守る社会インフラを構築しています。
——なぜ医療福祉事業に力を入れているのですか
まず前提として、当社は医療福祉だけの企業ではありません。世の中 の困りごとの解決を主軸としている企業で、 その中で最も緊急かつ重要な課題が医療福祉分野にあると考えており、その課題を解決するためのサービスを中心に提供しています。 医療や福祉だけでなく、子育て、教育、女性の社会進出、後継者不足など、地域の課題は山ほどあります。
誰ひとり取り残されない世界を実現し、地域や日本の未来、幸せの循環を創造していく、ソーシャル 「志カンパニー」として社会的な役割を果たしていきたいと考えています。
知的障がいや発達障がいを抱える方のサポートをする教育支援の分野も展開していますし、2022年夏には地域メディア「千葉のミカタ」をリリースいたしました。 地域メディアが必要な理由は、行政の情報が地域の人にとって優しくないからです。 例えば、保育園の空き状況は今でもひとつひとつの保育園に電話連絡して、空き状況を確かめなければならないほど非効率なものです。 行政の情報を当社が集めることで分かりやすく伝え、そこに住む人たちの円滑な情報提供に繋げたいと思っています。 他にも、お金を出したかどうかで掲載誌順位の決まるグルメ情報やイベント情報などではなく、地域 の人にとって本当に必要な情報の提供をしたいと考えております。 地域の「困った」を「ありがとう」に変えるソリューションがドットラインの考え方です。また今年には学校法人を設立して、教育分野にもより力を入れていく予定です。
——会社の雰囲気はどうですか
若いメンバーが多いですね。 若い人だけの企業ではなく60歳を超えた方も活躍していますが、ボリュームゾーンは20代〜30代です。
キャリアアップを目指すかは社員それぞれのビジョンによって違いますが、成長意識の高いメンバーが揃っています。 特に上司や先輩の感情に支配された好き嫌いがあるような組織でなく、それぞれの能力や強みを活かせて成長できるキャリアアップ環境を作っています。
ただ、個人プレーではなく、チームとしての組織力を大切にしています。個々の役割を果たし、結果としてチームへの貢献と自分への成長を実感することができる会社です。当たり前のことかもしれませんが、挨拶などは全員が徹底して実践していますね。挨拶は仕事の基礎ですから、そういった当たり前なことを大事にしている人たちが多いのも強みだと思います。
また、時間外の飲み会を強要したり、新人に高圧的な態度で接したりするような、前時代的な社風ではないです。
働く女性の支援にも力を入れたい
—— 福利厚生にも力を入れているのですね
地域の困ったを解決するにも、まずは自分たちの困りごとを解決しなければいけません。
当社では、企業主導型保育園(自社で運営する保育園)を採用しており、働くために必要な子育て支援を社員のために用意しています。
全部で6園ある保育園は、社員なら無料で子どもを預けることができます。
有料にはなりますが、必要であれば地域の方も利用が可能です。 女性の育児参加の多い日本において、育児のサポート体制を整えることは、女性の社会進出にもつながります。 子育てで働けないといった困り事を支援するために、まずは自社の社員からサポートしています。
——今後のプランとしてどういったことをお考えですか
今、もっとも力を入れているのは採用と育成です。 Project10 (プロジェクトテン)という計画を進めており、令和10年までに社員数1万人を目指しています。
10Thousand HERO(テンサウザンドヒーロー)と名付け、ひとりひとりが地域のなかのヒーローとして活躍する場 を作り上げます。
上記プロジェクトを進めているので、特にマネジメント層の獲得は重要課題です。 今年の4月にはセブンイレブンジャパンの元常務取締役の方を顧問に入れて、新卒2年で年商10億円をマネジメントできる人材を育成するプロジェクトを開始しています。
目標は年商10億円をマネジメントできるメンバー100人の育成です。
面倒くさい、ダルいと思わない仕組みでコツコツやり続ける
—— 最後に、成功のための秘訣を若者に向けて頂きたく思います
基本的にはたくさんありますが、ひとつだけに絞るなら、地道にコツコツとやり続けることです。 当たり前のことを当たり前にやるだけだと僕は思っているのですが、それをちゃんと継続できる仕組みに作り変えなければなりません。
面倒くさい、ダルいと思ったことでも、面倒くさいと思わないやり方に作り上げたら継続できますよね。
大企業を見ても当たり前のことができていない企業はたくさんあります。
挨拶をするとか本当に当たり前のことをやりやすい形にしてただ続けていくだけです。
僕の座右の銘でもある『凡事徹底』が、成功に導く考え方だと感じています。