苦労と感じていたら経営はできない
—— 企業経営において苦労されたことはありますか?
おそらく周りから見れば苦労に見えると思うのですが、起業してからは毎日が初めてのことばかり。それを”苦労”と感じていたら、なかなか続けることは出来ないですね。とっくに会社を畳んでいると思います。
だから”苦労”を”苦労と思わず”にまた新しい経験ができるんだなってくらい、”楽観的に考える力”と、それとは逆にキャッシュフローに関してシビアに考える力とのバランスを取るのが最初は大変でした。お金の部分に関して楽観的だとすぐに会社って潰れてしまいますからね。
他には、苦労と言うよりは孤独を感じるようなことですが、社長と社員という立場が出来てしまうと、今まで友達だった関係性が少し変わっちゃったりするのが嫌でしたね。まぁ、それでも仕方がないなと考えるような、鈍感力も必要でメンタルが強くないとやっていけない仕事だなと思っています。
当たり前を疑い、すべての仕組みに逆張りをする
—— 「当たり前を疑い」すべての仕組みに逆張りをするといった理念を掲げていると思うのですが、この理念に至った経緯について詳しくをおしえてください
良く普通の会社さんで『弊社の離職率はとても低く、安心して長く働いてもらえる会社です』とか言ってませんか?離職率を低くしようとする企業が多いと思うのですが、なぜそれをしているのかというと採用自体にお金がかかっている、やめられると困るというのが一番の理由なんじゃないかと思っています。
私は、採用される側からすると別に離職とか自分の好きなタイミングでできたほうがメリットがあると思いますし、人が成長すれば新しいことにチャレンジしたくなるのも当然だと考えています。
ということは、離職率を下げたいのは会社の都合であって、働いてる従業員にとってはあまり関係のないことなんじゃないか?と考えるようになり、離職率100%を目指し成長して卒業していける企業にしようと決めました。
会社の制度としても色々な取り組みをしていまして、今は既存事業の収益をゼロにしたとしても会社が存続していく方法が何かないかなと考えています。最初は新しい取り組みをしていたとしても、長年それを続けていくと当たり前になってしまいます。それって面白みがなくなってつまんないんですよね。だから、全部捨てたらどうなる?って考える癖を付けています。
会社の意図よりも本人の意志でキャリアは伸ばすべき
—— 社員の方はキャリアアップを目指されてる方がおおいんですか?
はい、そうですね。入社前の採用面接の時に「次の企業どこいきたい?」と質問します。次に行きたい企業に合わせて、自分が伸ばしていくべきスキルセットが変わるからです。会社の意図よりも本人の意志でキャリアは伸ばすべきだと考えているので、次に行きたい企業を聞くのは重要なんですよ。中にはスタートアップを自分で立ち上げたいって人もいたりしますよ。
資格さえあれば弊社は100%採用
—— 社員の方はどういうタイプが多いですか?
真面目にコツコツと積み上げていくタイプの人が多いですね。特に未経験の採用に関しては新卒であっても中途であっても、必ずウチが指定している5つの資格を取ってこないと採用していないんです。
その5つの資格(OJC-P、LPIC、UMTP、Oracle、基本情報)をとるまでに早い人だと半年、遅い人で1年掛かる人もいるんですが、途中で飽きたりこんな事やって意味があるのだろうかみたいな人は通過できないですね。
その資格さえあれば弊社は100%採用しているので、実は弊社の入社難易度は高くないんですよ、資格取れば良いんだから。一度に何人も応募してくると辛いですが、年に1人、2人くらいしかいないんです。それくらいコツコツ続けることは難しいということですね。
市場評価で自分はどう見られるのか
—— どのような社風ですか
とても自由だと思います。自分のキャリアを考えたとき、いま使ってるスキルセットじゃなくて、新しいものにチャレンジしたいって事が良くあるんですが、それって普通の企業だとあまり許さないんですよ、売り上げ減っちゃうから。ウチでは好きにしたら?売り上げは減っても構わないからって感じで好きにしてもらってます。
弊社には人事がいないという魅力があります。例えば自分の給料だったら、一般的な企業では人事査定というものがありますが、弊社ではお客様からいくら稼いできたのかがそのまま自分の給料になるという給与テーブル制度になっています。先輩よりも後輩の方が給料が良いなんてザラにありますね、年功序列なんていう無駄なものがありません。
人が人を査定するなんておこがましいじゃないですか。社内での評価を気にして仕事するんじゃなく、市場評価で自分はどう見られるのかを給与に反映できる仕組みの方が、よっぽど正しい査定だと思っています。
友達と起業するのは辞めた方が良い
—— 若者へのメッセージ
もし起業を考えているのなら、友達と起業するのは辞めた方が良いと思います。方向性の違いなんて当然のように出てきます。株式を半分ずつ持つなんて特に辞めた方が良いです。意思決定は誰か1人がする。その意思には他はみんな従う。こう決めた方が良いわけですが、これが友達と起業するとなると中々上手くいかないことも多いのです。本当に大事な友達なら、たまにお酒飲んで悩みを話すくらいが良い距離感かもしれないですね。