人生は一度きり 後悔しない選択をしよう
—— まずは事業内容について教えていただけますでしょうか。
主に50歳以上を対象としたシニア層に特化した人材紹介・人材派遣のサービス提供を行っています。やはり今の時代は50歳以上になると転職は格段に難しくなります。まだまだ動ける元気な50歳以上の方も多くいるなかで、働く機会が失われている現状を解決する事業を展開し続けています。
自社開発のシステムで紹介候補求人を自動抽出することが可能となっており、シニアと直接会わない支援方法によって、最大限の効率化を実現したサービスを提供しています。従来のシニアの転職サービスの場合、なかなか内定まで至ることが難しかったのですが、弊社のシステムによって、面談その日に応募企業を確定し、それから1週間以内に面接実施となるスピード感を実現できているのです。その点は、実際に利用していただいたシニアの方から感謝の声をいただいています。
シニアの方にとって現代の転職システムや制度が不向きなのもありますが、そこに加え精神面を見ても転職がうまくいかない問題点があります。実際にシニアの方が過去に転職活動をしていた時期を遡ると、20年、30年前程昔です。その当時の記憶のもと転職に取り組んでいると、今の実力を把握しきれていなかったり、今の転職市場についての情報不足であったりすることが原因で、現代の転職の難しさとのギャップを感じてしまう人が多いという問題があったのです。
――なぜ学生のうちに起業しようと思ったのでしょうか。
これからの人生を考えたときに、本当に自分がやりたいと思わないことに時間を割くのはどうかと思ったのです。それなら、より熱中できるような、夢中になれるようなことに全力で取り掛かりたいなと思ったので、勢いに任せて起業を決心しました。
もちろん、学生ながら起業家となってビジネスに飛び込むことに対して怖さもあったのですが、その恐怖心よりも単純にやってみたいというワクワクする気持ちが勝りました。極論なのですが個人的な考え方として、人はいずれ亡くなってしまうのだから、最終的には自分自身が後悔しないような選択肢を取りたいなという考えを持って生きています。
僕の場合、少年時代からサッカー選手になるという夢がありました。その夢が破れてしまった後、何か夢中になれることを探していた結果、事業を開始することになったのです。いくつかの選択肢が目の前にあったときに、自分がワクワクする方を選んで挑戦することが後悔しない人生をつくると思います。
成功のカギは人間力 情熱を伝えることが大事
—— これまでの人生で挫折経験はあったのでしょうか。
学生起業なだけあって、創業のお金と仲間を集めることに苦労しました。スタートダッシュが何より大変でしたね。22歳の大学生が何千万という単位でお金を集めることがどれだけ大変なことか身をもって学びました。
具体的にその困難をどうやって乗り越えたかと言いますと、まずお金の調達は、戦略的に攻めるというよりは、熱量をアピールしたという感じです。最初は事業プランをいくつか作って社長さんのところへ持って行って、資金調達の交渉を行っていました。ただ、それを繰り返すなかで22歳の学生が語る事業計画というものは、ベテランの経営者からするとそこまで忠実なものではないものになってしまうことに気づいたのです。そのなかで、どこで自分に対して興味をもってもらえるかと考えた結果、人間力でアピールすることに決めました。
絶対上場させてやるという情熱をぶつける方が、若者らしさがあって、経営者の方からも頑張れよと期待してもらうことができたのでしょうね。経験が浅いのなら若者らしく、情熱を大事に攻める方法が、自分にとっては成功法だったのではないかと思います。
一方、一緒に働いてくれる仲間を集めることにもかなり苦戦しました。とにかく色々なコミュニティを訪ねて声をかけていったというシンプルな方法です。早稲田や慶應へ行き優秀な学生を集めてみたり、全く知らないビジネスのコミュニティに参加してみたり、様々な団体を訪ねました。
僕自身、人と話すのが好きな方だったので決して苦ではなかったですね。それを継続していくなかで僕の話に興味を持ってくれる人も現れてきました。おそらく、現代人のなかで真剣に夢を追っている人はほんの数%しかいないと思っています。そのなかで同じ志を持っている人に出会うと、この人は面白そうだと興味が自然と湧いてくるものです。
僕は夢に対するエネルギー量が大きかったと思うので、周りの人から面白がられて力を貸してあげると言ってもらえることが多かったのかもしれません。夢を追う力が原動力となっています。
資金調達も仲間集めも正直大変でしたが、心が折れそうなときは全くありませんでした。それよりも、事業がすべてうまくいかなくて残り20万しか手元になかったときや、創業メンバーが辞めていくときの方が僕にとってはつらかったです。やっぱり人が好きなので、これまで一緒にやってきた人との別れの方がよっぽど悲しかったですね。
ただ、大切な仲間との出会いは必ず訪れるものです。そのときに、ただつらいという気持ちで終わるのではなく、再会したときを楽しみに頑張ろうという考え方するようにしています。実際に、創業メンバーが抜けた後も会社は成長を続けています。かつてのメンバーが今のシニアジョブを見たときに、恥ずかしくないような姿でいたい、成長しているなと思ってもらえるよう堂々とした姿でいたいと思っているので、日々責務を感じながら仕事に励んでいます。
――会社設立当初、22歳の若さでそのマインドを保つのはすごいですね。
大学生の22歳となると自由な時間が多いこともあり、ひたすら遊びたいという思う人が多いと思います。自分の所持しているお金のなかで友達と旅行に行くなど、お金と目的地があることが大学生の言う遊びのイメージです。ただ僕にとってもその気持ちは同じで、その対象がビジネスだっただけです。
会社はアミューズメントみたいな場所に感じていました。仕事を楽しむという思考が当時からあったのです。経営することを苦に思ったことはなく、常に楽しもうというモチベーションで働いています。
目先の利益を追うのではなく、未来を創るマインドを大切に
—— 会社を経営しているなかで、教訓のようなものはあるのでしょうか。
相手の心をよく考えるということは常に意識しています。もともと何でも思ったことを言ってしまうタイプなので、尚更気を付ける必要があるのですが、相手がどういう思考でその言動をとったのかを考えて、行動することを心がけています。
また、社内で売り上げや近況の状況等の情報をすべてクリアにしています。それはたとえ新入社員であっても扱いは変わりません。不透明な情報はないような状態をつくっています。考えを共有するということは、社内全体が同じ意志を持って、同じ方向を向いて働くためにも重要だと思いますね。
そして、利益を追うのではなく、未来を創ろうという意思を持つことも大切にしています。未来を創ることができれば、必ず利益はついてくるものです。利益だけに目がいくと、どうしても小さい事業になってしまいがちです。
反対に、本当に世の中に影響のある未来を創造できる事業をつくると、必然的に大きな事業になっているはずです。目先だけの利益に捉われないことが大切ではないでしょうか。
――株式会社シニアジョブに求めている人材とはどのような人材でしょうか。
シニアに特化した変わったタイプの会社なので、新しい物事にチャレンジすることを素直に面白いと思ってもらえる人や、夢に向かって頑張ることが好きな人にはカルチャーフィットするかなと思います。
学歴は問いません。それよりも、エネルギー量の方を重視しています。実際に社内は20代が多い会社ですし、平均年齢も20代半ばですのでエネルギーのある雰囲気です。
会社の強みとしては、シニア転職という市場に特化して7年間やっているとう実績があります。いち早くこの業界に着席したという強みがあるうえに、もともとITの会社だったこともあり、IT×シニアの掛け合わせでやっていけるという強さも兼ね備えていると思います。
――最後に若者へのメッセージをお願いします。
若い子たちに伝えたいのは、自分が描いた夢や目標は大事にしてほしいということです。夢に向かって進んでいくともちろん苦労もたくさんあります。ただ、成功してから得られる幸せはそれまでの苦労も忘れられるほど大きなものです。
自分の夢は自分しか叶えてあげられません。なので、夢を大切に、夢に向かって進んでいくと必ずいいことがあると信じていてほしいです。
もしキャリアのなかで起業という選択肢があるのであれば、何もない状態からでも世の中を変えていくことはできるよと伝えたいです。夢に向かって一歩踏み出す勇気が、起業家にとって最も必要な力だと思います。