4000社のネットワークを駆使しビジネスのマッチングを手がける
—— 事業内容の紹介をお願い致します。
新卒でリクルートの子会社に入り、その中で25年間人材紹介業をやってきました。2011年に東日本大震災があり、その時にリクルートの中だけのキャリアではなくもっと他に私自身にできることないかと考えました。そこからは講演などの副業をはじめて、結果的にはリクルートにいながら、このmorichという会社を立ち上げました。
そうしているうちに、だんだんと副業のウェイトが高くなってきました。時間の制約を受けないで自分のやりたいことをやりたいように選択していこうと決めて、ちょうど3年前に独立しました。
独立してからは、もともとのコア事業だった人材紹介業は継続し、今も私のライフワークになっています。
25年以上の人材エージェント業で得た私の財産というのが、人脈・ネットワークでした。特に企業側のネットワークが20数年の間で4000社くらいできたので、私のお客様が持っているプロダクト製品やソリューション、サービスなどを企業に繋げるビジネスマッチングをおこなっています。他には、書籍出版、連載の執筆活動などの想いを発信するミッションや、社外取締役や顧問・アドバイザーという形でNPOやスタートアップ支援も私のライフワークとなっています。
失敗の数だけ成功に近づいている
—— 今までどのような失敗をされてきたのですか?
よく聞かれるのですが、失敗という言葉があまり好きじゃないんです。失敗の字を見れば分かる通り、失うとか敗れるとかネガティブに聞こえますよね?
確かに何かにチャレンジしてそれが自分の思った通りにうまくできない事もあると思うのですが、「失敗は成功のもと」とよく言われるように、失敗の数だけ「次はこうすればよいんだ」と学べるわけです。それだけ成功に近づいているということだと思います。
何もしないで成功の道を行こうとするのは無理です。チャレンジして最初から上手くいくなんてことはない。転んでも失敗しても「ああ、こうすると転ぶんだ」、「これはもう少しこうすればよかったんだ」と学べる機会だと思ってるので、失うとか敗れるというネガティブな意味ではないと思っています。
やらないで後悔するぐらいなら、もしそれがうまくいかなかったとしても、やったこと、その経験自体が大事なんだという気持ちでずっといます。あまり失ったり敗れるというネガティブな感情で向き合うことではないのです。
もともと学生時代からそういう価値観は持っていました。楽天的というのかもしれませんが(笑)。過去に迷惑をかけたり、誰かを傷付けてしまった事は人並にあったと思いますが、そのことでくよくよしても仕方がないと思っています。落ち込んでいても相手がハッピーになるわけじゃないですし、どうやったら、その迷惑かけた人や傷付けてしまった人に対してもう1回信頼を回復できるかという事を考えるようにしていました。
スタートアップ起業家のメンターでありたい
—— 今後、描いている目標やビジョンはありますか?
基本的には今の転職エージェントという仕事はずっと継続して探求し続けたいです。その延長線で学生さんに対してもっとキャリアというものを考えてもらう機会を作ってあげたいというのが1つです。
また、私も今までいろいろな経験をしてきました。その経験を伝えると、「元気になった」「いい話を聞けた」「パワーをもらった」と言ってくださる方が多いので、そういったメッセージを伝えていけるような機会を大事にしたいと思っています。
それともう1つ、現在スタートアップ起業家たちの支援も行っています。企業経営で大事な経営資源は「人・物・金」です。経営支援をしていると、その中でも「人」で苦労している局面に出くわすことが多々あります。採用ができないとか、採用した後の組織作りでつまずくとか。ですのでメンタリングのような形でスタートアップの経営者に対して壁打ちしたりメンター支援をもっと増やしていきたいです。
みんなが行きたがらないところにこそチャンスがある
—— 大学時代はどのように過ごされていたのですか?
私はスチュワーデス物語というドラマを見て、あんなに素敵な教官と恋が出来るなら・・とTVの中の世界に憧れてスチュワーデス(キャビンアテンダント)になりたいと思いました。スチュワーデス(キャビンアテンダント)になって世界を飛び回れたらいいなと単純に考えていました。
そこで「スチュワーデス(キャビンアテンダント)になる為には英語が話せることが必須だ!」と単純な考えで英語学科に行きました。
ただ、よくよく調べてわかった事は、数多いるスチュワーデス(キャビンアテンダント)の中で、自分のブランディングをし、他者と差別化することは難しいということでした。全員がホスピタリティを持っていましたし、私よりも美人で、気立てがよく英語が上手な人は沢山いました。そういうみんなが行きたがる競合が沢山いる場所に行っても私は自分の強みが活きないなと思いました。それで私はとにかく逆張りでみんなが行きたがらないところに行こうと決めたのです。
そして皆が行きたがらない領域はどこかと考えました。行きついた答えは、女性がほとんど選ばなかった営業職でした。実際に見てみると男性ばかり。「営業職だったら女性というだけでマイノリティで珍しがられる。ここだ!」と思いました。
尚且つ、性別に関係なく実績でモノが言える世界です。他の職種、例えば企画職などは、なかなか実績が定量的に見えにくいです。営業職は実績で全てが評価される。そう思い、「営業」で勝負することに決めました。
競合がいない方が自分のブランドを作りやすいのは事実です。優秀な人が沢山いたら、よほど頑張らないと成果を出せない。多少優秀くらいでは厳しく、突出していないとブランドは作れません。
この事は大学生全員に言いたいのですが、もっと自分のブランドを作りやすい場所を選んで欲しいです。それは自分がヒトより優れたもの凄い能力を持っていなくてはいけないとか、ものすごい美人やイケメンでないといけないということではありません。
皆が選ばないところに行けばいいということです。そしてもう一つは掛け算です。例えば芸人さんは沢山いますが、その中には年収が数十万円という人が沢山いるわけです。
その中で芸人としてだけでなく司会が上手い、小説が書ける、絵が上手、キャンプだったら任せろ、 といった芸人の仕事(笑わせる)以外での特筆すべき特徴をもう1つ掛け算する事でブランドになっていくのです。そしてできれば、市場から求められているような領域、もしくは自分でそういったトレンドを創り出せるような掛け算も重要なポイントです。だとこのような理由で逆張りと掛け算というのが、私の中の希少性という意味でのキーワードなのです。
自分の命を大義の持てる仕事に使ってほしい
—— 最後に若者にメッセージをお願い致します。
皆さんは本当に可能性が無限大です。自分の将来や未来が閉じているわけではないので、いかようにでも広げていくことはできます。今の皆さんは如何にでも選べるのです。そういう意味で未来を自分で閉ざさないで欲しいです。
どうにでも自分の未来を切り拓くことができます。もう1つ言うと、せっかくこの世に生を受け、大事に育ててもらい、尚且つ今もいろんな人達に助けられ生きてるわけですから、自分の命を使って(使命感をもって)チャレンジしていく意志を持って欲しいです。
仕事というのは、自分の大事な命を使うわけです。命を使ってもこれだけは成し遂げたいとか、これは絶対自分がやりたいというWILLを、使命感を持ってチャレンジすることを見つけて欲しいです。そういうものがない中で命を使うのはすごくもったいないです。
いつ何時、何が起きるか分かりません。特に今回のコロナを含めて、誰も予測できない事は起きます。だからやりたいことがあるのなら、やらないと損です。すぐにアクションしてほしいです。
ですので、「私にはこれしかできない」、「これしか望んじゃダメ」という事は誰も決めていません。とにかく今可能性は無限大に広がってます。その中で命を使って何をやるかということを、意志を持ってしっかり考えて欲しいと思います。