どうすればやりたがらない人が楽しくやってくれるかを徹底的に追及
—— チアトークのサービスや、会社説明をしていただいてもよろしいでしょうか?
もともと内科・総合診療科として医師をやっていて、特に私は生活習慣病を主に扱っている領域で働いていたのですが、患者さんを診察していると、糖尿病や高血圧、高コレステロール血症などの生活習慣病を持ち、その結果として最終的には腎不全や心不全などの大きな病気にいたり、非常に悪くなった状態の人たちをよく見かけます。ですが、ダイエットをみんな上手にできればこういう病気になる人は減ると想定されます。
僕は「どうすれば人間ってダイエットするだろうか」、「どうすればやりたがらない人が楽しくするだろうか」と考えた時に、何が1番大事かといったら、素敵なパートナーシップを組んだ上で声かけをしてもらうのが最も効果があるんじゃないかと思い浮かびました。
非常に分かりやすい例でいうと、男の人は素敵な可愛らしい女性から「今日もダイエットさぼってない?」とか「ラーメン我慢した?」という風に、継続的に声をかけてもらえると「もう少し頑張ろう」となるんじゃないかなと思いました。
女性も同じように、イケメンに「結構痩せてきて可愛くなったんじゃない?」と言われると大変頑張れるというような、そちらの方がむしろ面白いしかなり効果あるんじゃないかと思っており、そのようなプラットフォームを作りたいと考えたのがこのサービスをはじめたきっかけです。
最初の着眼点はダイエットだったのですが、ビジネスをブラッシュアップしていく過程で、ある種のメンタルの部分を下支えしてくれている、色んなメンタルサポートにも使えるなと思いました。
そこでダイエットに限らず「煙草をやめたい」時や「勉強を頑張りたい」という時に「もう少し頑張りたい」「おしりを叩いてもらいたい」という使い方もできるなと気づき、総合的なメンタルサポートとしてチアアップサービスを提供することになりました。
1年経っても人材が発掘できずに終わってしまうかもしれないという焦り
—— 起業されてからの逆境経験はありますか?
この時代にプログラマーやエンジニアさんは、肩書きとして持っている人というのは多く世の中にいるのですが、本当にこのような大掛かりなシステムを作れるフルスタックと呼ばれるエンジニアはまず一握りしかいないので探すだけで一苦労でした。
見つけても、完成されたエンジニアさんは報酬が非常に高いので資金体力がないベンチャーからすると結構大変です。例えば、1人のエンジニアの報酬が1000万円/年で、まだ資金調達もあまりないという状況ではあっという間に資本金が干上がってしまいます。
僕ら経営サイドとしては、これから優れたエンジニアになっていく成長株のような人が見つけられると良く、サービスを作ることで君も成長出来るしお金も徐々に上がっていくという感じの人を採用したいのですがこのような条件になると、全くいないですね。
開発も進まず1年間ずっと探し続けたという時が最も危なかったです。このまま見つからなくて終わってしまうかもしれないというのが本当に心配でした。
ーー結局エンジニアさんはどうやって見つけられたんでしょうか?
最終的には高校の頃の学校のFacebookや同窓会ページにダメ元で投稿してみたら、思いの外、皆さん親身に相談に乗ってくれて、これから駆け出しのエンジニアという人を何人か紹介してくれました。
実際面談すると本当に才覚溢れる子にめぐりあうことができました。実際エンジニアの学校を出たばかりで、これは伸びるぞという感じだったので、その子と契約をしてから一気に進むようになりました。困難を脱却した局面でした。
1ミリでも可能性があるならやる
—— 逆境経験からの教訓はございますか?
人に妥協するなということです。お金もすごい大事ですが、人に妥協してはいけないです。こういう人を探したいのであれば、本当に石ころにかじり付いてでも死ぬ気でそういう人を探し続けます。あらゆるチャネルを使って、1ミリでも可能性があるのなら探しにいってみる、という執念が大切です。
また人脈は大切になるので、「これは」という人脈は大切にした方がいいと思います。
それは今の友達や人脈だけではなく、僕の経験からいうと小学校時代からの友達を含めてですね。昔の友達を含めて「これは」という人脈に関しては、人間関係を大切にするのはいいと思いますね。人脈は質も大事なので、よく人を観察して自分が将来起業したいなと思っているのであれば、「こういう人には周りにすごい人がいるかもしれない」と可能性を感じさせる人に関しては、繋がりを大切に持っておいた方がいいと思います。

幅広く見識を深めることが思わぬことに繋がる
—— 今に繋がる学生時代の出来事はありますか?
学生時代から「何か面白い事はないかな」ということは考えるタイプでした。医師という仕事はそれなりに生活が保証されている仕事ですが、普通に大学卒業して研修医をへて、普通のお医者さんとして程々に幸せな家庭を築いて死んでいく・・・というような人生は、それだけではつまらないなというイメージは若い頃から持っていました。
また将来何が役に立つのかというのは、学生の間はあまり予測がつかないことがあります。
学生の間から起業のために動いている人もいると思うのですが、「そこは役に立つと思わなかった」ということが、後々になってから役に立ってくるということは、結構あります。幅広く見識を深めるということをするといいと思います。
理想の未来を夢見ている時は疲れを忘れられる
逆境がある時というのは、弱気になったりすることもありますが、最終的に理想の未来を夢見ている時というのは、疲れを忘れられるかなと感じられます。原点がドクターからの発想をしているので、それで病気になる人が減る、社会全体の健康度が増すということができれば素敵だとおもいます。
一般的な医者が考えるとなると「薬」とか「医療機器」といった話になるのですが、そうではなく大衆サービスとして、みんながみんなをチアアップしあい、社会が健康になっていく。それが本当に実現できなら、非常に凄いことを達成できたんじゃないかと考えるとワクワクします。
実際モニターで何人かに試してもらったのですが、ある一人の男性に1ヶ月ぶりに会ったら「大丈夫ですか?」と心配になるくらいの勢いで痩せた(効果を出した)方がいたのが、印象的でした。ダイエットの方法論というのは、みんな色々と言いますがとてもシンプルです。食べるべきのものは抑えてそれなりの運動をするだけなんです。
その、「頭ではわかりきっているのにできない」という部分にアプローチする。ワクワク楽しめるということが最も大事だとおもいます。
詰め込めるだけ詰め込み、何でもやれ
—— 若者へのメッセージをお願いします。
色々なことを詰め込んでやれるのは体力がある20代のうちだけだと思います。30代を超えてからはガクッと落ちました。まだそれなりに頑張っていますが、20代の頃ほど体力的に詰め込めないという実感があります。
就活や授業の単位をとるというのが学生の基本のロードマップだと思うのですが、それだけではなく20代前半の若干体力的に無茶がきき、かつ時間が有り余っているうちにどんどん見識を深めることをやっておいた方がいいと思います。
将来一旗揚げたいと考えているならば、時間を無駄にしないでなるべく詰め込めるだけ詰め込み、何でもやってみるのがいいと思います。