ビジネスチャンスは逃さない
—— 事業についてお伺いしたいです。
ライトアーム株式会社には、事業が4つあります。1つはコンサルティング事業です。ITコンサルティングと、HRコンサルティングに分かれています。2つ目の事業が、システム開発です。システム開発は、エンジニアが常駐してシステム開発を手伝うものと、持ち帰ってきて開発をするものの2パターンあります。
3つ目の事業が販売代理事業です。お客様のサービスを、ライトアーム株式会社で代理販売させていただくという事業になっています。4つ目の事業が、結婚相談所になっています。結婚相談所の事業は、ライトアーム株式会社で初めてのBtoC事業であり、あと数日でスタートする予定になっています。
結婚相談所の事業を始めた理由の1つとして、IT業界にコロナの影響が遅れてやってくるからです。コロナ禍において様々な業界がダメージを受けた中、IT業界はダメージが少ないイメージがあると思うのですが、元々ITを活用されるお客様は様々な業界の方々であるため、遅れてIT業界にも不景気がやってきます。
そんな状況で、システム投資はしないと思います。つまり、IT企業には、コロナショックのダメージが後から来るようになっています。 なので、IT業界はこれから不景気になります。お客様のお金がなければサービスを利用していただけないのは当たり前です。
ライトアーム株式会社は、ITを軸に事業をしているので、これから売り上げが下がります。しかし、結婚相談所の事業は比較的コロナの影響を受けにくいです。ライトアーム株式会社は、新しく事業を展開していく方針であり、常にビジネスチャンスにはアンテナを張っています。
自分の感覚を信じる大切さ
—— なぜ航空自衛隊から、IT業界に踏み込まれたのですか?
僕は、高校生の時、勉強も就職も嫌だなと考えていました。その時、偶然自衛隊のポスターを見つけ、勉強も仕事もしなくていいという思いから、航空自衛隊に入ることにしました。しかし、航空自衛隊に入るとかなり勉強をさせられ、さらに体力面も辛いものがありました。
僕は航空自衛隊の中で天気予報の仕事をしていました。天気予報は統計学なので、いかにコンピューターで演算するかというものです。たまたま僕が天気予報をして働いている時、システムが新しいものになり、僕の仕事が7割ほどなくなりました。
今ではインターネットが普及して、便利な世の中になっていますが、当時はホームページすらほとんど世の中に存在しないような時代でした。そのような時代なのですが、航空自衛隊のシステムは高度なものが用いられており、世の中の人たちよりも少し未来を先取りしている状態でした。
そこで僕は、今後世の中に高度なシステムが普及していき、あらゆる仕事が減っていくだろうと考えていました。僕は仕事を取られる側ではなく取る側になろうと考え、航空自衛隊で働きながら2年間通信教育でプログラミングを学び、5年満期の時に航空自衛隊を辞めました。その後、IT業界に入りました。
当時はプログラミングすら世の中に馴染みない時代でしたので、周りの人達から止められることは多々ありました。航空自衛隊に入り、長時間勉強をさせられ、IT業界に入ってからもしんどいことが多々ありましたが、折れずに頑張りました。
心の底から人のために
—— 起業の経緯をお伺いしたいです。
39歳の時に転職をしようと思い、3社の転職エージェントに話をすると、3社目のエージェントの方が凄まじい方で、僕のキャリアプランに対してかなり否定的でした。2社の転職エージェントの方は、僕のキャリアプランに対して肯定的でしたが、3社目の転職エージェントの方は否定的であり、また、その方の否定の言葉に一切反論することができませんでした。
3社目の転職エージェントの方からは、もう一度大きな会社に入り、さらにステップアップすることをオススメされました。ただ、転職エージェントの方は、「僕ならやりません」と言いました。今まで40年で培ってきた能力と知識があれば起業できる、と言いました。
僕に能力がなければ3年程で潰れ、43歳で経営経験のある方を採用したい会社はいくらでもあると言われ、納得しました。人材業界にはひどい人もたくさんいるため、僕は転職エージェントを舐めている部分もありました。
そこそこの経験を積んでいる人間が1000~1500万の年収を希望しており、転職エージェント側は紹介料として30%~50%もらえるので、普通の転職エージェントなら紹介料のことしか考えないと思います。
1社目と2社目の転職エージェントからは、僕の人生はどうでもいい、という内容のオファーばかりでした。今上がってきている企業や有名な企業をたくさんオファーし、その中から自分に合う会社を判断してくださいと言わんばかりのオファーでした。
しかし、3社目の転職エージェントの方は、1円も自分の利益にもならない提案をしてくれました。相手のために本気で仕事をしているエージェントの凄さを実感し、そのエージェントへの憧れから、紹介業を起業すると決意しました。
その時には、みんなの右腕になるという意思表示から、ライトアーム株式会社という社名を決めていました。帰ってからはすぐに起業の準備を始め、1ヶ月(12月中)で準備が終わり、2016年1月4日に会社を立ち上げることができました。
関わる人全てを幸せに
—— 困難だった経験をお伺いしたいです。
紹介業は全部で18000社あるので、他の紹介業とは違うことをしようと考えていました。普通の紹介業だと、上手くいかなければお金を返金するシステムになっており、ダメだったらお金を返せばいい、という考えが見えるシステムに、僕は嫌気がさしていました。
紹介業を介して入社したが、上手くいかなかったケースはあると思います。例えば、リーダー経験のない子がいきなりリーダーをすると、上手くいかないことがあります。そこで、教育と紹介業を1つにしようと考えました。入社するにあたって、自分に何が求められているか、どうすべきなのかがわかるようにすれば、入社後も上手くいくと思いました。
紹介業というのは、いい人材を探してきて企業に提案するものなので、18000社で人材を取り合うことになります。そうなると、中々人材を獲得できません。なので、優れていない人材を、よく見せて紹介するようになります。
良い人材を獲得できずに優れていない人材しか獲得できなかった場合、嘘ギリギリの履歴書を書き、1時間の面接でバレないように練習をたくさん積ませ、どこかの会社に入れようとします。
ライトアーム株式会社はみんなの右腕になるため、それを絶対にやらないと決めています。優れていない人材を良い人材に見せ、企業に入れてしまうと、企業からの評判も悪くなり、企業に入った方も苦労すると思います。自分たちのメリットだけを追い求めるのは誰も幸せにしないので、紹介業をやめました。
1本の矢では折れてしまう、矢は多いほうがいい
—— 困難を乗り越え、得た教訓をお伺いしたいです。
1本の矢だと折れてしまうが、3本の矢であれば折れないという例えがあります。もし矢が100本あれば絶対に折れないと思います。会社も同じで、事業が多ければ収入源が安定し、さらに新しく事業を展開することが可能です。もし1つの事業で会社を経営しており、その事業が失敗したとき、その会社はたたむことになってしまうと思います。
思いついたものが全て上手くいくわけではないので、いくつもの手を打っておくことが大切だと改めて再認識しました。僕は経営をしていく上で、新規事業を展開し、その事業が失敗しても後悔はしません。失敗をする可能性を踏まえた上で新規事業を立ち上げているからです。
例えるなら、ハズレくじと当たりくじが入ったくじ引きを引いているようなイメージです。みんなは、当たりくじしか入ってないという考えでくじ引くから失敗するのであり、ハズレくじも入っていることを認識するべきです。
人生のゴールを決める
—— 最後に、若者へのメッセージをお願いいたします。
後悔しないように、好きなように生きていけばいいと思います。人は価値観が違うので、僕はこうした方がいいと思っているが、その子自身が後悔しない道を選択していれば、いい選択だと思います。お金がなかろうが、いい選択だと思います。社会的地位が高いような会社に入ることが全てはないです。
今の生き方をしていくと、将来どうなるのかを想像することが大切です。例えば大学生ならば、自分はこの先どういうスキルを身に付けて、どのような企業に入り、何を成し遂げていくと、どのような最後になるのかを想像します。僕は、縁側でお茶を飲みながら人生を振り返り、自分の人生は素晴らしいものだった、と思える人生がいいと思います。
全てはゴールからの逆算です。僕は、ゴールから逆算しかしないです。例えば、3年後に富士山に登りたいのか、またはエベレストに登りたいのか、それによってすべきことは変わってきます。
まずは、自分が死ぬ間際にどうなっていたいかを意識し、そのためには何をすべきかを逆算して計画を立てることが大切だと思います。ただ、まっすぐ計画通りに行けるとは限りません。何か障害物が現れた時にも、人生のゴールから逆算をし、最適な選択肢をして人生の道を歩むべきだと思います。