「身体を拡張すること」を実現したテクノスポーツHADO
—— 事業内容を教えてください。
身体を動かして技を発動させ、フィールドを自由に動き回り、味方と連携して楽しむテクノスポーツ『HADO』を展開しています。これは、ゴーグルを装着し、AR(拡張現実)の中で、実際にはあるはずのないエフェクトやプロジェクトを使ってゲームをします。わかりやすく言うとポケモンGOのようなイメージです。大きな違いとしては、HADOはかなり激しく動き、スポーツと同じくらいの運動量になることです。2016年にリリースしてから今では世界大会も行われるようになりました。
よくeスポーツと混同する方がいますが、実際は全然違います。指を使ってコントローラーを操作するeスポーツに対し、身体全体を使うのがHADOと言えば違いが分かると思います。もう一つの特徴として、誰でも始めやすいという点があげられます。HADOは最初、テーマパークやショッピングモールのアトラクションとしてスタートしました。こういった場所は子どもからお年寄りまで訪れるため、どの年代の人も1分で理解できるものにする必要がありました。そのため、誰でも楽しめますし、やり込むほどに戦略性やスキルが上がっていくものになっています。
――学生時代について教えてください。
大学3年の時に30人くらいのチームを組み、アートフェスを開催しました。学生が作った建築物やアート作品を大学のキャンパスに展示するという試みで、これまでにない、かなり革新的な出来事でした。初めての経験ばかりで、マネージメントも上手くできなかったし、トラブルもありました。
その要因は、私のスキル不足にあったと思います。私はとにかく、計画を立てるということが苦手でした。「〇月〇日までに完成させるためには、いつまでに何をしなければいけない…」ということ考えることができませんでした。そのため、フェス直前までみんなで徹夜三昧。毎日ひいひい言いながら作業をしました。
しかし仲間と必死になって準備し、開催を無事終えたときには大きな達成感がありました。チームを作りゼロから新しい価値を創造していくということが、とにかく楽しかったです。この経験から、自らアクションを起こし、物事や環境を変えていくことに楽しさを感じる自分に気付きました。
綿密な計画を立てなかったことできつい思いをしましたが、それはプロジェクトが楽しすぎたせいでした。ゲームをするときは計画を立てたりしませんよね。私にとってはそれと同じ感覚でした。
でも、チームで何かに取り組むときはある程度の計画は必須です。この経験で、そういった当たり前のことにも気づけたことも大きな財産だったと思います。
子どものころ夢見た「かめはめ波」実現に向けて
—— meleap創業までの過程を教えてください。
大学院卒業後はリクルートに入社しました。自分に足りないスキルを身に付けるために営業に従事しました。ヒアリングから課題を見つけ、解決策を考えるという課題解決型営業です。会社を辞めるまでの1年間でこの考え方を学ぶことができました。
もともと社会に大きなインパクトを与えたいという考えがあり、事業を起こしたいと思っていました。しかし自分自身、スキルもなければ経験もないので、立ち上げ当初はイベントでエンジニアに声をかけたり、紹介してもらうことで、仲間を増やしていきました。
「かめはめ波を打ちたい!」という子どもの頃からの夢をもとにHADOのアイデアを考えましたが、最初はどのようにして実現するのか分かりませんでした。実際に作ってみなければ何も進まないので、エンジニアの知り合いを集めながら取り組みました。作って、試して、課題を見つけてまた作る、をひたすら繰り返しました。最初の開発期間はアイデアの着想から1年半ほどでした。
――事業を進めるうえで、困難なことはありましたか。
創業当初は、全く売上が立っていなかったので、コストをギリギリまで切り詰めてやっていました。その頃も大変でしたが、何かを始めるときに大変なのは当然のことです。他にもたくさんの事がありましたが、今はコロナウイルスが大きな課題です。
営業自粛や海外渡航の制限により、今まで良い流れで進めてきた営業がスローダウンせざるを得なくなりました。そんな中でも、いかに事業を成長させ、強いチームを作るか考えながら奮闘しています。確かに大変ですが、大きな壁に直面し、それを乗り越えていく過程は楽しいです。課題をどう解決していこうかと考えるときが楽しいです。経営者には圧倒的なポジティブさが必須だと思います。
何でもいい。何か一つでもやり抜くことで未来は拓ける
—— これからどのような若者が伸びていくと思いますか。
どんなことでもいいので、「何かをしたい!」「これになりたい!」という溢れ出て止まらない強烈な思いを持っているかどうかが重要だと思います。周りに止められても振り切ってやれるだけの熱意があり、自分の意志を尖らせられるか。その領域に関しては誰よりも調べ、誰よりも理解していると確信をもって取り組めるものがあるのならそれを信じて、とにかくやりきることは大切でしょう。
自分が何をしたいかを考え、それを達成するために動ける人が成長すると思います。他人の意見は参考にすれば良いですが、いちいち真に受ける必要はありません。
――学生へのメッセージをお願いします。
やりたいことを明確にしてそれをとにかく貫いてください。やりたいことや興味のあることへの情熱を明確化し、最大化してそれに向かって行動を起こしましょう。大きな事でも小さなことでも、本当に何でもいいんです。ただ、やり抜いてください。やり抜かなければ何も成し遂げられません。その先に、誰も見たことがない、最高にワクワクする新境地を切り開いてほしいです。