リファラル採用とは
リファラル採用とは、社員から応募者を紹介してもらい選考につなげる方法です。そのように聞くと日本に古くからある「縁故採用」と同じようなものとイメージされる方も多いかもしれません。
ですが、リファラル採用はいわゆる「コネ入社」ではなく、社員から紹介された候補者をしっかり選考したうえで採用していく立派な採用手法です。
近年、それまで主流だった就活ナビサイトや人材紹介だけでは採用が難しくなってきていることもあり、新卒採用においてもこの「リファラル採用」への注目度が上がっています。
昨今の超売り手市場という市況観を踏まえると、新たな母集団形成チャネルとして取り入れたいという企業が増えていることにも納得がいくでしょう。
実際、エン・ジャパンの調査によれば、リファラル採用をすでに導入している企業は日本でも6割以上にのぼると言います。身近な人からその会社のリアルな部分を聞いたうえで選考に臨むリファラル採用は、入社後の定着率向上にもつながりやすくなります。
ぜひ、リファラル採用のメリット・デメリットを理解したうえで導入してみてください。
新卒採用におけるリファラル採用のメリット・デメリット
では、リファラル採用を新卒採用で取り入れる場合にはどのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。いかなる施策にも良い点と注意すべき点はあります。それぞれをしっかりと理解したうえで、自社に合う施策なのかどうかを見極めることが大切です。
一般的に、リファラル採用は社内の協力を得て進める手法のため、自社の採用方針を明確にしたうえで社員に賛同してもらうことが大前提です。
どのような新卒採用選考フローで実施をするのか、紹介してもらう社員にどこまでをお願いするのかを明確にしたうえで協力依頼ができるようにしましょう。
メリット
新卒採用でリファラル採用を行うメリットとして挙げられるのは、「社員や内定承諾者から候補学生を紹介してもらうため、母集団形成にかかわるコストを削減できる」「入社前後のギャップが少ないため、採用した人が定着しやすい」「社員の推薦で応募となるため、低レベルな応募やライトなエントリーが減る」といった点です。
リファラル採用は基本的に信頼できる先輩からの紹介となるため、その企業の知名度によらないPRができるということも魅力です。つまり、会社の規模や事業よりも人で惹きつける採用が可能です。
知名度の高い企業やBtoCの大手に人が流れやすい新卒採用市場においても、口コミ効果で有効にターゲット学生の認知・興味向上ができるため、BtoBの企業や中小企業にもおすすめの手法です。
デメリット
一方、デメリットとなるのは、「とにかく人数をたくさん採用したい場合は不向き」「社員に事前面談や惹きつけをお願いするため、メイン業務以外の負荷がかかる」「紹介元の社員のタイプにより、応募者の学生のタイプも偏る可能性がある」という部分です。
社員のつながりでおすすめの学生を紹介してもらうということは、つまりその社員(もしくはその社員が良いと思っている人物)のタイプに近い人が推薦されてくる可能性が高いということです。
このため、さまざまなタイプの人物を採用したい場合には向かないこともあるので注意が必要です。
また、協力してもらいたい社員メンバーが多忙すぎる場合も紹介に至らないため、どのタイミングでどこまでをお願いするかは慎重に見極めたほうがよいでしょう。
場合によってはリファラル採用への貢献度も評価に反映したり、インセンティブを付与するなどの工夫も必要になってきます。
リファラル採用を新卒に取り入れる方法とコツ
実際に自社の新卒採用でリファラル採用を導入する場合、どのような方法で進めるのがよいでしょうか。
一口に「社員からの紹介」といっても、新卒の場合は年の離れた社員からの紹介を期待するより、年代の近い学生とのつながりがある若手社員をメインに協力してもらったほうが効果的です。
ここからは、新卒採用施策としてリファラル採用を取り入れる場合の方法とコツについてお伝えしていきます。
リファラル採用の方法
まずは、リファラル採用の制度内容を策定しましょう。後輩に自社を紹介してもらうためのツール(パンフレットやサイト、動画コンテンツなど)を準備します。
最低限伝えてもらいたいこと・ヒアリングしてもらいたいことを明示し、紹介してもらったときの特典(インセンティブなど)や応募につなげる流れ、問い合わせ先を選定するなど、社員が積極的に紹介しやすい制度にすることを心がけてください。
実際にスタートさせるときには、制度の設計ももちろん大切ですが、決めたことを運用・検証し続けることも同じくらい重要になってきます。
最初の計画から、社内への周知、さらに定期的な検証と意見の吸い上げ、そして改善といったようなPDCAサイクルを回すことで採用につなげていきましょう。
ここでは新卒採用の母集団形成施策としてリファラル採用を実践するときにおすすめの具体的手法を2つご紹介します。
【内定者に紹介してもらう】
自社に本当に向いているかどうかは内定者には判別できないため、その点を期待するよりも年代の近い後輩に直接自社の良い点を話してもらえる口コミ効果を重視して活動するのがよいでしょう。
内定者が大学の後輩などを呼んで一緒に参加できる企業研究セミナーや座談会を企画し、OB・OGの若手社員がファシリテーションを行うなど、プレ期から積極的に活動する企業もあります。
内定者を巻き込んで活動する場合は、内定者本人たちも入社意欲が高まるような、楽しめるコンテンツにすることが成功のポイントです。
【新入社員に紹介してもらう】
入社1~3年目の若手社員であれば、大学に直属の後輩がいることもかなり多いため、そのつながりを生かす手法です。先に触れた内定者からの紹介よりも、実際入社してわかった良い点をリアルに伝えられることもメリットです。
ただ、往々にして若手社員は目の前の仕事に忙しいことも多いため、新入社員へリファラル採用への協力依頼をする場合には、本人だけでなく部署の上司の理解も得たうえで必要な時間を確保できる体制をつくることが大切です。
さらに、リファラル採用の協力依頼を人事採用担当からではなく、あえて社内の重要人物(マネジャー職や部長など)からしてもらうことも効果的です。
自社にとってリファラル採用がとても重要なものということが伝われば、その分部署のメンバーの理解も得られやすくなり、若手社員も協力しやすくなります。
人事担当だけでなく「社員全員で新卒採用をする」というコンセプトを根気よく伝えていくことで、社内全体を採用に前向きな雰囲気に変えることもできます。
リファラル採用したい企業を目指す
このように、リファラル採用は中途採用だけでなく新卒採用でも活用できることがわかります。
ただ、社員に学生を紹介してもらううえで重要なのが「自社が後輩に自信をもって紹介したい会社である」という前提です。本人が仕事や会社に不満を持っていれば、後輩を推薦してくれることもないでしょう。
リファラル採用を成功させるためには、まずその前段で社員が自分の仕事内容やキャリアに満足して意欲的に働くことができる環境を整えることが大切です。
今一度、自社がリファラル採用を活用できる環境にあるかどうかを見定め、働き方改革など、社員一人ひとりの意欲を向上させる仕組みのブラッシュアップも同時に検討してみてはいかがでしょうか。