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採用コストは今後どうなる?推移から今後を予想しよう

2020/10/12

採用コストの推移は年々増加しており、労働力確保が極めて難しい状況にあるのが現状です。採用コストには面接などにかかる内部コストと求人広告費にかかる外部コストに分類されます。採用コストを抑制するには、それぞれの内訳を理解して量から質にこだわった母集団形成大切です。

採用は売り手市場が続いている

日本の採用市場は「売り手市場」が続いています。多くの採用担当者の一致した見解であることに変わりません。

1990年代のバブル崩壊、2008年のリーマンショックは日本経済に大きな打撃を与えました。その結果、大規模なリストラや新規採用数が著しく減少するなど、とりわけ「就職氷河期」と揶揄された採用市場は凍り付いていたといえるでしょう。

その後、日本経済は長い不況から脱出することに成功し、採用市場も売り手市場に転じたといえるでしょう。しかし、本当に全ての業種・職種において売り手市場だといえるのでしょうか。また、この状況は数年後も続いていくのでしょうか。

採用市場は年々変化しています。少子高齢化社会の加速は若年層の労働力不足を引き起こしていますが、明らかにバブル以前の売り手市場とは趣が異なると考えるべきでしょう。

またコロナウィルス感染症の拡大が及ぼす採用市場への影響も気になるところです。そこで、採用コストの面から今後の推移を予想してみましょう。

採用コストは今後どうなる?

採用市場の動向を把握するには、採用コストの推移を分析すると良いでしょう。採用コストとは求人広告費など募集活動にかかる外部コストと、面接や採用担当者にかかる人件費や内定者に対する研修費など内部コストの合計です。

労働力が不足すれば、人材確保を巡って競合他社との競争が厳しくなりますから、採用コストは必然的に大きくなります。反対に労働力が余剰していれば採用数自体が少なくなり、募集活動を行わなくても人は集まることから、採用コストが抑えられるのは必然の結果です。

つまり、採用コストが上昇傾向で推移していれば売り手市場が続いている状況だとはいえ、採用活動に綿密な戦略が必要となります。したがって、企業の採用担当者には、採用コストの推移を明確に分析することが求められているといえるでしょう。

現在の職種別採用コストは?

労働力不足を解消するため、多くの企業では新採だけでなく中途採用枠を拡大して人材確保に努めています。

人材を採用するには、当然のことながら採用コストがかかります。とりわけ、人材確保を巡っては競合他社との競争が激化している職種・業種では、年々採用コストが増えている状況です。

1年間にかかった求人広告費を職種別に比べてみると、一番高額なのは「販売・フード・アミューズメント」と言われています。続いて「美容・ブライダル・ホテル・交通」といったサービス業、「営業」と続いているのが実態です。

反対に採用コストが低い職種でいえば「公共サービス」、「技能工・設備・配送・農林水産」となっています。

つまり採用コストは職種や業種によって大きな差があり、とりわけ人材が定着しにくい、または非正規社員が多いものはコスト高になりやすい傾向にあるといえるでしょう。

採用コストの推移は?

前項では広告宣伝費、いわゆる外部コストに絞って業種別の採用コストについて解説しました。採用コストには、これとは別に面接や社内業務といった内部コストがあります。つまり、正確に採用市場の動向を把握するには両者の合計額で推移を見ていくことが必須です。

2014年~2018年の5年間における採用コストの推移をみてみると、2014年の平均が353万円であったのに対して2018年は774万円です。実に412万円、219.3%の伸び率であることがわかります。

もちろん、職種や業種によっても大きく異なりますが、採用市場においては「売り手市場」が続いていることがわかります。

また、特筆すべきはその伸び率です。5年間で2倍以上の伸び率で推移している実態は、それだけ労働力不足が顕著であることを示しているといえます。つまり、会社にとって有益な人材の確保が年々難しくなっているといえるでしょう。

採用コストを短縮するためには企業の情報発信を

採用コストの推移を分析すると、その額は高騰の一途を辿っており今後も数年間は続くことが予想されています。必要な労働力を確保するには、多額の採用コストが必要であることは言うまでもありません。しかし、無限に採用コストを捻出できるものではありません。

大卒新人の有効求人倍率はここ数年1.6倍以上で推移しており、依然として売り手市場が続いています。しかし、高い有効求人倍率を支えているのは従業員300人未満の中小企業です。つまり、従業員300人以上の大企業における有効求人倍率は思うように伸びていません。

いうまでもなく、中小企業の経営基盤は大企業と比較すると不安定です。

さらにコロナショックは企業経営に大きな打撃を与えており、採用コストをはじめとするコストコントロールが喫緊の課題となっています。そこで、採用コストを短縮する方策について考えてみましょう。

採用コストはなにで決まるのか

採用コストには面接や採用担当者にかかる人件費や内定者への研修にかかる内部コスト、求人広告費に代表される外部コストがあることは、これまで説明してきたとおりです。しかし採用コストを短縮するには、それぞれの内訳をさらに深掘りする必要があります。

内部コスト内訳としては面接や採用担当者、電話受付にかかる人件費、内定者に対する交通費や引越しにかかる経費、懇親会にかかる経費などが上げられます。さらに深掘りしてみると、内定までにかかる経費と内定から採用までにかかる経費に分類することもできます。

一方外部コストの内訳としては求人広告費や会社案内にかかるパンフレット制作費、採用ツールの開発・製作費、会社説明会にかかる会場使用料をはじめとする諸経費、内定者に対する外部研修費などが上げられます。

内部コストとは異なり、求人募集に係る経費が多くかかることがわかるでしょう。

内部コストの削減方法

採用にかかる内部コストの内訳は面接や採用担当者の人件費、内定者を他社に逃がさないために用いる経費が主です。したがって面接や内定を出す人数を抑えれば費用を抑えることができるといえるでしょう。

そこで大切なのが母集団形成の在り方を見直すことです。例えば学内セミナーに母集団を形成できれば、内定辞退者は激減しますから必然的に面接する人数は減少します。また、面接をWebで行えば面接官や採用担当者にかかる人件費は減少させることができるでしょう。

また自社社員に知人や友人を紹介してもらうリファラル採用も、内定辞退がほとんどないことから、面接にかかる経費の削減が期待できます。つまり、内部コストを減少させるには、内定辞退を限りなくゼロにできる母集団形成が重要だといえるでしょう。

外部コストの削減方法

採用にかかる外部コストの内訳は、求人広告費や採用サービス会社説明会にかかる諸経費など、広く求職者にアピールするためのものが主です。したがって、外注にかける経費を抑制するか、採用サービスを必要としない仕組みを構築することが大切だといえるでしょう。

例えば、ヒット商品を生み出して自社の知名度をあげれば、採用サービスを使わなくとも求職者を多く集めることができます。また、採用サービスに外注するのではなく、自社で採用オウンドメディアを立ち上げるのも外部コストの削減につながるでしょう。

さらにWebによる会社説明会は、コロナショックによる3密を避けるといった意味でも有効な方法です。もちろん外部コストの削減にもつながることから、今後さらなる拡大が予想されています。

いずれにしても、自社に興味を持っている求職者を効率よく発掘する手法を導入することが重要であり、経費削減の面からも量より質の募集活動が求められます。

 

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