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【プロビティ・グローバルリサーチ株式会社 高藤 悠子】リスクを面白がれ! 人の才能を輝かせる道を切り開いた原動力とは

2020/10/03

Profile

高藤 悠子

プロビティ・グローバルリサーチ株式会社 代表取締役

慶応義塾大学卒業後、新卒にてメーカーへ入社し海外営業部に所属。コンサルティング業界やMBAホルダーに特化した紹介会社へ転職し、外資系戦略コンサルティングファームや世界的IT企業、ベンチャー企業などへ若手からエグゼクティブレベルの人材を紹介。未経験・社内最年少ながら月間売上社内トップの成績を連続して達成する。出産を機に退社したのち、子育てをしながらわずか1年で起業。転職エージェントとして人と企業を繋ぐ仕事を心から楽しみ、生きている充実感を感じているという女性経営者、高藤悠子氏にお話を伺った。

‘想い‘を繋ぐサービスで、より多くの人をハッピーに。

—— 事業内容を教えてください。

人材紹介をやっておりますが、その中でも転職エージェントをやっています。主に「社会をこうしたい!」という“想い“があり、しっかりとしたビジョンを持っている会社と、また同じように「社会をこうしたい!」という”想い“のある人を繋いで、より良い社会づくりに貢献する人材エージェントです。能力や技術というスキル面ももちろん大切ではありますが、私たちは人柄や“想い”を重視しています!

最近は、20~30歳前後の優秀な方の転職や40代のエグゼクティブの方の転職のお手伝いを主に行っています。大手企業に就職している方でも、自分なりのビジョンを掲げ、もっと裁量権を持ちたいという人が増えているように感じます。

――転職・人材業界で事業をしていこうと決めたきっかけを教えてください。

幼稚園生のころから、人は誰しも才能を持っていていずれはそれを開花させるものだと考えていました。また、偉人の伝記を読んだり、他人の人生を勝手に想像したりするような子どもだったと思います。そのため、人が自分に合った仕事をすることが当然だと思っていました。

その考えが覆されたのが、ある少女との出会いでした。もともと貧困問題や発展途上国の支援に興味があったことから、大学時代に海外ボランティアでネパールに行きました。首都カトマンズから3時間ほどの電気もトイレもない村で植林活動や識字調査を行いました。そこで、同い年くらいの少女と仲良くなりました。

彼女との何気ない会話の中で「将来は何になりたいの?」と尋ねると、彼女は「母親か教師になるしかない。何をしたいかなんて考えたことがない。」と答えました。日本では仕事を選ぶのが当たり前であることに対し、彼女たちにとって将来は自分で自由に思い描けるものではなかったのです。

私はとても驚きました。私と同年代の人が、生まれた国が違うというだけでこんなにも差があるということがとてもショックでした。同時に、自分の恵まれた環境に気付かされました。転職活動をしながら、仕事が選べる幸せを再度実感し、多くの人の仕事選びのサポートが出来たらという思いから人材会社を選びました。

――タイへの奨学金支援を行っているとお聞きしました。

一人の転職が決まると、タイの子供に奨学金を送ってその子供が3年間中学校に行けるというプログラムを展開しています。私がかつてタイで仕事をしていた頃に、ストリートチルドレンの子ども達をたくさん見ました。そこで、「生まれた国によって教育を受けることができなかったり、他の恩恵を受ける機会がなかったりすること」に対して、ネパールで感じたものと同じ気持ちを感じたため、奨学金支援を行うことを決めました。

転職サービスとして各個人にあった仕事を紹介することにも意義がありますし、そのことで得た利益の一部を奨学金として送ることで、一人の子どもの将来の選択肢を広げることができるという意義もあります。より多くの人の幸せに貢献ができる意義のあるものだと感じています。今日までに、50人ほどの支援を行ってきました。

私は貧困問題や途上国支援への興味から国連職員を目指していたこともありますが、メーカー勤務を経験し、自分には大きな組織は合わないと感じ方向転換をしました。しかし、あの頃に感じていた問題意識を持ち続け、今現在貧困地域を支えるという思いが果たせていることを光栄に思います。

妻として、母親として、そして女性経営者として。

—— 結婚で仕事を辞め、タイに渡ることに抵抗はありませんでしたか。

抵抗は特にありませんでした。27歳の時に旦那についてタイに行くことになりましたが、途上国に行きたい気持ちがありましたので、まさに渡りに船という感じでした。しかし、やはり仕事は辞めたくないという気持ちもあったため、当時勤めていた人材会社の社長にタイ支社創設を働きかけました。残念ながら人材業界の海外進出はポピュラーではなかったため、叶いませんでした。

タイに行った直後は専業主婦として生活しました。いっそプロの専業主婦を目指そう!と頑張っていましたが、全く上手にできませんでした。(笑)主人の方がきれい好きで、私よりも家事が上手でした。人材会社で適材適所を紹介する仕事をしていたのに自分が自分に向いていない仕事をしてはいけないと思い、再び仕事をすることを決意しました。

その頃、日本のJACというエージェントがちょうど海外に出てきたタイミングでした。そこに就職して仕事を進めていくうちに、どんどん昇進していきました。自分たちの会社についてほとんどの人が知らない状況だったため、アクションを起こすと反応がビビットに出ました。それがとてもおもしろく、やればやるほど知名度も売り上げも上がっていきました。その時は夢中になって仕事にのめり込んでいましたね。

――育児と仕事の両立は大変だったと思います。当時のお話を聞かせてください。

子ども生む前は仕事も子育ても両立しようと考えていました。ですが、子どもが生まれた後は価値観が大きく変わり、子どもが可愛くてたまらずに、次第に仕事を辞めてしまおうと考えるようになりました。仕事よりも子どもと一緒にいたいという気持ちが大きかったです。

特に私の場合は男の子だったので、その気持ちは大きかったように思います。男の子が母親に甘えて一緒にいてくれる時間は長くないですよね。それで、仕事中に無駄な時間があると感じると、その時間分を子どもと過ごせないことが嫌になり、仕事を辞めてしまいました。この決断は自分でもびっくりしました。

仕事をやめた3日後に、やりたいことリストを作りながらふと、「いつか自分で会社やってみるのもいいかも」と思いました。そこで、知人の勧めもあり人材紹介という分野で起業することを決め、すぐ書類などの準備を始め、1年足らずで起業しました。

起業・経営と子育ての両立は大変だろうと言われるのですが、私はむしろ会社勤めの方が両立は難しかったと思います。会社勤めだと、子どもが風邪を引いて休まなければならない時も、色んな人に気を遣わなければなりません。ですが、自分の会社であれば自由に時間を使うことができます。それが私にとって大変良く、子育てと仕事のバランスを取りやすかったです。

何より、子どもと一緒にいる時間がしっかり取れたのが良かったです。フルタイムで忙しく働くよりも、子どもとの時間を確保しながら緩く仕事に取り組めました。それができたのも、働いている夫が金銭的にも精神的にも支えてくれたからだと思います。

――仕事を辞めてからわずか1年で起業した原動力を教えてください。

原動力・・・。何でしょう(笑)自分でも何かわからない力に突き動かされていたのでしょうか。見えない何かに背中を押されて動いてしまう感じです。人材エージェントは法律的な手続きなどやるべきことが多かったのですが、今考えると自分でも驚くほど速いスピードで物事をこなしてきたと思います。本当に、何かの力が働いていたとしか考えられません。まるで上りのエスカレーターに乗っていたような感覚で、ゾーンに入っていたと言えるかもしれません。自分でも面白いと思います。

一つ挙げるとすれば、好奇心に忠実に、楽しいという気持ちでやっていたからこそ成し遂げられたと思います。起業をする前、様々なオフィスからオファーを貰いましたが、そこに就職して会社員として成功していくのはどうやっていけばいいのか想像がつきました。でも、起業して自分の看板で成功していくことは想像がつきませんでした。だからこそワクワクしましたし、楽しそうだ!やってみたい!と思って前向きに取り組むことができました。

心から仕事を楽しみ、「生きている充実感」を。

—— 起業してから大変だったことは何ですか。

あらゆることに決断を下さなければならず、その全てに責任が伴うことです。小さなトラブル対応から、会社組織をどうしていくかという将来のビジョンまで何もかも自分で意思決定しなければいけません。なかでも、取引先企業など他者が関わるときの重大な意思決定が大変でした。その時は、その決定が誰にでも胸を張って言えるような恥ずかしくない決定であるかどうかを意識していました。独りよがりにならずに、少し引いた視点から客観的に判断し、自分だけのためではなく、多くの人のためと言える決定かどうかを気を付けました。

様々な場面で意思決定をして自分で責任を取らなければいけない状況の中で、たくさん悩みながらちょっと引いて、多角的に考えることができるようになりました。東洋哲学など哲学的な勉強をしたり心理学を学んだりしたことにより、メタ認知ができるようになったと思います。

会社員の時の私はとても狭い視野の中で動いていました。しかし、起業したことで視野が広くなりました。最初は人材リストが0だったため、外に繋がりを求めるしかなく、人事の勉強会などに足繁く通いました。その事により、広い視野が持てるようになったと思います。

――若者へのメッセージをお願いします。

勉強と旅をしましょう!社会人になると、学生時代の勉強の大切さがわかります。学生の間に真剣に勉強に取り組んでほしいです。そして世界中を旅して色んな価値観に触れて欲しいです。見たことのない景色を見て、自分の世界を広げてください。英語も絶対に勉強をしておいてください。

経営者を目指している方には、「起業して本当に良かったし、とても楽しい」と伝えたいです。でも、実力がないと難しいです。たくさん勉強して、価値観を広げて実力をつけてください。あの有名な漫画の『ONEPIECE』みたいにだんだん仲間を集めて、目標に向かって一緒に進んでいくことで、生きている充実感を感じることができると思います。頑張ってください!

プロビティ・グローバルサーチ株式会社

設立 2012年6月20日
資本金 500万円
売上高 非公開
従業員数 4名
事業内容 ・アジア進出企業向け・国際ビジネス経験者専門 人材紹介/エグゼクティブチーム ・採用コンサルティング ・グローバルリーダー育成研修 ・アジア進出支援
URL https://note.com/takayu_career https://pgscareercoach.wixsite.com/home https://note.com/probitygs
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