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【Marketing-Robotics株式会社 田中 亮大】人は変化するのだから、過去の自分に固執しない

2020/10/02

Profile

田中 亮大

Marketing-Robotics株式会社 代表取締役

1985年に山口県で生まれ、北九州市立大学に入学してラクロスに打ち込む。2008年に卒業後、外資系製薬会社に入社。翌年に独立、2011年からは株式会社ディーノシステムに入社し営業の取締役として全国展開を指揮。2015年にベルフェイス株式会社を設立し、副社長に就任。2016年末にタクセル株式会社(現Marketing-Robotics社)を設立し、代表取締役に就任。様々な経験をされている田中氏に、考え方や価値観をお伺いしてきた。

営業のデジタル化とは

—— 事業内容についてお伺いしたいです。

Marketing-Robotics株式会社では、【DX for Sales】つまり営業マンがデジタルを使える世の中にしようというミッションを掲げて活動しています。「営業マンのデジタル化」という点において例えるならば、コロナウイルスの影響によって、昨今主流になりつつあるZOOMや、前職のオンライン商談ツールであるベルフェイスもデジタル化の1つと言えます。

2015年にベルフェイス株式会社を立ち上げた時に目指していたことが、今実現され始めています。

Marketing-Robotics株式会社では、社会的にオンラインでのビジネスのやり取りが増加することを前提とし、それよりも更に営業マンをデジタル化することを目指しています。営業相手であるお客さんがおり、そのお客さんがどのような動きをしているのかわかるのが、開発しているマーケロボというツールです。

例えば、自社のサイトへ訪問してくれているのか、メールに添付している資料をダウンロードしているのかなど、様々な営業活動に対する見込み顧客のリアクションをお知らせしてくれる機能があります。
そのことによって、段階的に関係を構築したり、アポが取りやすくなったりします。例えば、営業した際に、お客さんが興味ありそうに話を聞いてくれていても、帰った後その人が興味を持ってくれて資料に目を通しているかはシステムを介さない場合、把握は困難です。

マーケロボを使えば、帰った後に自社のサイトを見てくれているのかがわかるので、今後の接触もしやすくなります。これまでは、営業マンが話している時の、相手の表情や感覚でしか判断できなかったことが、営業マンのデジタル化をすることで、他の判断材料でも行動することができるようになります。

マニュアルは捉え方次第で良いものである

—— 株式会社ディーノシステムでは、日本の社長tvというコンテンツを、2年半で0から5000社の企業に新規開拓されたとお伺いしましたが、どのようなことをされたのですか?

僕は営業の取締役だったので、話し方からアクション、うなずき方に至るまで細部にもこだわった営業マニュアルを作りました。

例えばインタビューであれば、深掘りをするのが難しく、用意してきたいい質問があったとしても、インタビュアーが答えてもらった内容について深掘りができなければいい話を引き出すことができません。だから、マニュアルを用意します。

営業、インタビュー、全てに関してマニュアルを作っていました。マニュアル通りというのは聞こえが悪いのですが、この方が覚えが早く、効率がいいですし、安定したクオリティを担保できます。

人は変化するものだ

—— なぜMarketing-Robotics株式会社を設立されたのですか?

流れで起業しました。それは、適当ということではありません。価値観、経験、知識が増えることによって人は成長し、変化します。当時はこれがベストだと思っていたことが、変化した自分にとってのベストではないことがあります。僕は、僕自身に期待をしているからこそ、違っていて当たり前だと思っています。

設立当初は、息子が生まれたばかりで、息子たちの世代に託せる世の中にしたいという想いでタクセル(現Marketing-Robotics社)という社名にしました。でも今は、それに加え、また違った考え方も加わりました。これで良いと僕は思っています。

単に「1年前に決めたことだから」と言って過去の自分の考えに固執する人もいます。例えば、20代は仕事を頑張り、30代で起業すると決めたとします。それは20代の時に決めた話で、前倒しや後ろ倒ししていいのではないのかと僕は思います。前倒しや後ろ倒しなんてどちらでもよくて、その時ベストな判断をすればいいのです。

――息子さんが生まれたことによって、性格や考え方は変わりましたか?

息子が生まれたことによって考え方は変わりましたが、息子が生まれたから突如変わったというわけではなく、息子が生まれる前からも自分の考え方に変化は起こり続けており、息子が生まれることによってさらに変わりしました。

結婚を機に考え方が変わりましたと言う人も中にはいますが、僕は、結婚という1つの外的要因によってさらに変わったと解釈ができるのだと思います。
息子が生まれて考え方が変わったというのは、意図があって変わったということです。息子が生まれたことを機に自分も何かアップデートしたい、もっと高い志を持って働きたいというしっかりとした意図を持って考え方が変わりました。

動機なんて何でもいい。ただ目の前のお客さんのために全力を注ぐ

—— 初めて会社を辞めて独立された時に困難だったことについてお伺いしたいです。

テレアポをしても飛び込みアポイントメントをしても商品が売れなかったため、書店でビジネス書を読んでいる人に声をかけたりしていました。当時生活できるお金がなかったので、とにかく1ミリでも買ってくれる可能性を探して誰かに商品の説明をしていました。

公園でも話しかけていました。話しかける相手は、男女関係なく、そこに人がいるから話しかけていました。そこに志もビジョンもなく、動く理由は、お金を稼ぎたいという自分の理由で動いていました。

ですが、いざ商談の時間が始まれば、目の前にお客さんのためだけに全力を注いでいました。相手の人生において、自分が話しかけている時間は相手の人生を独占しているわけであり、その時に自分の都合を押し付けるのは申し訳ないです。

相手のために本気で相手の話を聞き、本気で相手の人生を良くするために全力でプレゼンしていました。結果、クロージング率は高かったです。

よくある営業の契約するまで返さないというのは、大体営業マンの都合によって返さないということです。ですが、自分の場合は契約するまで相手が帰りません。親にも、彼氏彼女にも、自分自身でも、自分にこんなに期待をしてくれて、自分の話を聞いてくれて、君ならできると言ってくれる経験なんてないからです。

話を聞き、「君ならできる、できるためにはこういう風にした方が良い、そのためにはウチのサービスを買った方が良い」と本気で相手のために話していました。
僕は、サービスを買ったら何がしたいのか、どうなりたいのか、なんでそう思うのかを聞いていました。お客さんは、買うかどうかを悩んでいるのではなく、本当に自分がそれをやりたいのか、やれるのかどうかを悩んでいました。

だからお客さんは帰りませんでした。僕は、売りたいからではなく、本気でお客さんの人生が良くなるためにはという気持ちで話していたからです。

苦労する道を選択しなくてもいい。ただ、他の選択肢を探して進むことは大切

—— これまでの困難から得た教訓、学びはありますか?

わざわざ苦労は買って出なくていいということです。例えば、運動をせずに日常を過ごして体調を崩し、初めて健康の大切さを知って苦労するよりも、普通の人より筋トレを頑張ることによって、健康でいる方がいいです。

ただ、みんなは運動をせずに過ごして体調を崩すという選択肢しかないから、その道を選びます。筋トレをすれば体調を崩して苦労することはない、ということを知らないから体調を崩して苦労する道を選択します。

僕は当時苦労する道しか知らなかったので、その道を選択しました。そんな苦労をせずとも、段階を踏んで自律できる選択肢があるのであれば、そうした方がいいと思います。

例えば僕の知り合いに、エリートな大学に行って、エリートな海外の大学に留学して、自分で起業している人がいます。そこには金銭的なハングリー精神は何もないですが、成功しています。別に苦労もなく、全てが順風満帆というわけでもないですが、さっきの健康の例のように、筋トレをして健康を保っているという苦労はしていると思います。

苦しまないという選択肢もあるのだから、わざわざ苦しむ選択をしなくてもいいと思います。今の若い子たちは、その苦しい道に行かないという選択ができます。昔の人は、苦労しろよという硬い考え方を持っているので、苦労する道を勧めると思います。

今の若い子たちは、「そんなことをして意味があるのか?」と問うことができます。それは素晴らしい問いであり、その通りだと思います。意味がないということもないけれど、やらなくても上手くいく他の道はあります。

やるかやらないかで、やらないという選択をしてもいいです。ただ、他の選択肢を探してそれをやるということは大切です。昔は、やるという選択肢しかなかったからやっていただけですが、今はやらないという選択をしても他の選択肢があります。

――最後に、起業や就活をしている若者へのメッセージをお願いします。

自分の考えなんか、信用しない方がいいということです。今、自分がしたいことは、未熟な自分の知識や経験、人格で判断をしているだけです。なので、自分の考えに固執しない方がいいです。

そもそも自分の考え自体、周りの人の影響を受けているものです。生まれてから小学生になるまでに覚えていることなんて、ほんの少しのエピソードくらいで、そこに至るまでに、親や周りの人からの影響があって自分の考えが形成されただけなのです。

周りの期待や考えの中で、自分が判断、区別して、いい風に解釈しているだけなので、自分がやりたいことに固執するよりも、「周りの人が何を期待しているのか?」を気にするべきだと思います。

就活、自分が何をしたいのかとよく言うけれど、未熟な自分の判断軸で判断したら大変なことになると思います。

色んな人が色んな意見を言います、そうしたら迷うと思います。そんな時に大切な判断軸というものが、直感です。直感でいいなと思ったものを信じるべきです。精神学的にも、自分で固執して考えるより、直感を信じる方がいいと言われています。

その方が効率がよく、意思決定ができています。経営でも、迷ったら直感を信じます。ただ、その迷う段階に至るまでに、かなり分析はします。色々考え尽くした上で、最後は直感を信じます。

Marketing-Robotics株式会社(Marketing-Robotics Inc.)

設立 2016年9月14日
資本金 3億9,695万円(準備金含む)
売上高 非公開
従業員数 40名
事業内容 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業 /潜在顧客発掘マシン「マーケロボ」の開発・コンサルティング
URL https://marketing-robotics.com/recruit/ https://note.com/markerobo/m/mfeb99891e7d9 https://hrmos.co/pages/marketing-robotics/jobs/event_open
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