採用力を向上させるポイント
少子高齢化が年々深刻化する現状において、人材不足は非常に深刻な問題です。それだけに企業の採用力が問われています。これまで人材確保と言えば「企業目線」での対策が一般的でした。しかし、「企業目線」ではよりよい人材を集めることは叶いません。
とりわけ、現代の労働市場は「売り手市場」です。求職者は非常に厳しい目で企業を選択しています。採用対策を誤ると競合他社に大きく差を付けられることにもなりかねません。
大切なのは「求職者目線」で企業が持つ採用力を向上させることです。つまり「企業価値を高める」「職場環境を良くする」ことに加え、採用力を向上させる取組みが必要となります。そこで、企業の採用力を向上させる要素について考えてみましょう。
企業価値を高める
「採用力」を向上させるためには「企業価値を高める」ことが不可欠です。求職者が企業を選ぶ際に重要視している要素の一つに企業の将来性や安定性があげられます。つまり、名前も聞いたことがない企業だと、必然的に敬遠されがちです。
そこで、企業には「企業価値を高める」ための企業努力が必要となります。自社のホームページや様々なメディアを通じて商品・サービスの魅力を伝えることは必要不可欠です。
また、認知度が比較的低い企業であるならば、商品・サービスの魅力に加え、企業理念や成長戦略、人材に対する考え方を情報発信することも「企業価値を高める」ことにつながります。
大切なのは自社の知名度・企業価値を向上させることであり、求職者に「働きたい」と思わせることが重要だといえるでしょう。
職場環境を良くする
「採用力」をアップさせるには「職場環境を良くする」ことが不可欠です。ただし企業目線と求職者目線の間で「職場環境」の考え方にギャップがあると企業の努力は空回りに終わってしまいます。
日本経済が好景気に沸いていた頃、多くの求職者は「高い賃金」を求めて企業を選んでいました。しかし、現在の求職者は従業員満足度を重視する傾向があります。子育てや介護と両立できる職場こそが、求職者目線では「働きやすい職場」です。
採用力を高めるための取り組み
企業が採用力を高めるには適確な企業努力が欠かせません。ここで大切なのは「的確な」企業努力を講じることです。ポイントのずれた企業努力では人材は集まりません。
より良い人材を確保することは、長期的な経営基盤を確立させる方策の一つだといえるでしょう。しかし少子高齢化が進む中、労働人口は年々減少しており、いわゆる「売り手市場」がこの先も数年間は続くと予想されています。
つまり、これまでどおりの採用方法だと、競合他社と大きく差を付けられる可能性も否定できません。言い換えれば、求職者のニーズを得た会社独自の採用力を高めるための取組みが必須だといえるでしょう。
それでは、今後企業に求められる「採用力を向上させる取組み」とはどういった内容になるのでしょうか。
ポジショニングを把握する
採用力を高めるには、自社のポジショニングを的確に把握することが大切です。ポジショニングとは、自社の業界内における立ち位置を示します。また、世間の自社に対するイメージや認知度もポジショニングに含めても良いでしょう。
とりわけ業界内におけるポジショニングを把握することは、採用力の向上に大きく影響を及ぼします。例えば自社が業界内で自他ともに認める高い地位にあれば、採用戦略も堅実かつ保守的なものでも構いません。
しかし、設立して間もないなど大手企業を追いかけるポジショニングであれば、競合他社にはない「強み」が何かを的確に把握する必要があります。
競合他社にはない「強み」を求職者にアピールすることで、求職者に「働きたい」と思わせる採用戦略を構築しなければ、大手企業に追いつくことはできないといえるでしょう。
採用ターゲットを明確にする
企業が人材を募集する際、採用ターゲットを明確にすることが重要です。採用後に「職場環境が合わない」「思っていた仕事ではない」といった理由で早期退職する人が後を絶ちません。これは採用ターゲットが明確でなかったことが原因だといえるでしょう。
企業にマッチした人材を確保するには、具体的にどんな人材を求めているのかを明確にしましょう。資格や経験、スキルなどはもちろん、入社後に目指すべき将来像にまで踏み込むと、求職者にも親切です。
また、人材を募集する際や内定を出したタイミングでは、企業の幹部から応募者にメッセージを送ることが不可欠です。求職者は選考を複数受けていることを前提に、少しでも他社と差別化を図りましょう。
良い人材を獲得するためには
良い人材を確保するためには「攻め」の対策が必要です。しかし、人材確保対策を人事・採用担当者任せにしている企業が多くあります。以前であれば、人事・採用担当者任せでも人材は集まったかもしれませんが、現代では競合他社に取り残されてしまいます。
人材確保において、競合他社との競争に打ち勝つには「攻め」の採用対策必要であり、求職者の応募を待っているだけでは、より良い人材を集めることはできません。
自社からスカウトするなど「攻め」対策が必須であり、社内での協力体制を構築することは必要不可欠だといえます。そこで、良い人材を確保するための方策について紹介します。
自社からスカウトをする
これからの時代は「待ち」ではなく「攻め」の採用対策が必要です。「攻め」の採用対策として代表的な手法が「リファラル採用」と「ダイレクトリーティング」となります。
「リファラル採用」とは社員の知人や友人を採用する手法です。企業理念や職場風土を熟知した社員がスカウト活動を行うことから、企業の欲しい人材とのミスマッチが起きにくいメリットがあります。
また、入社後の悩みなどを相談できるメンターとしての機能も期待できることも「リファラル」採用の大きなメリットだといえるでしょう。
「ダイレクトリーティング」とは、求人広告やエージェントなど求人サービスを通さずに、企業自ら求職者にアプローチする手法です。最近では、採用事務を外部の専門業者に委託する企業もありますが、企業が求める人材とのミスマッチも少なくありません。
その点「ダイレクトリーディング」では、企業自ら採用業務に携わることで、真に欲しい人材をダイレクトに採用できるのがメリットだといえます。
社内の協力を得る
社員の採用活動は人事・採用担当が中心となって行いますが、採用力を向上するには社内の協力を得ることが不可欠です。極論を言えば、社内全員で採用活動に取り組むのが理想だといえるでしょう。
社内全員で採用活動に取り組む手法のことを「スクラム採用」と呼びます。職場環境や経営理念を熟知した社員がスカウト活動を行うことから、企業が真に欲しい人材を確保できるといったメリットがあります。
前項で紹介した「リファラル採用」との違いは、「スクラム採用」は声掛けや紹介だけでなく採用事務も一般社員が取り組むことです。その結果、社員に共通した目的意識が芽生え、職場全体に一体感が生まれます。
また、採用後の人材育成にも積極的に携わることで、社員間のコミュニケーション力の向上も期待できるといえるでしょう。