失敗を恐れる方へ経営者の経験から勇気を与えるメディアMiraError

投資をしないと飛躍しない

2020/06/29

Profile

伊丹 一晃

株式会社イタミアート 代表取締役

岡山県で生まれ育った伊丹氏。教育系出版社にエンジニアとして入社し、1年で営業担当に就任。そこから独立し、23歳で株式会社イタミアートを1人で設立。そこから経営を進め、40歳で事業拡大を決意。チャレンジすることを恐れず、経営者として生きてきた伊丹氏の考え方を伺った。

無駄な投資はやめるべき

—— 起業するまでの経緯をお伺いしたいです。

高校2年生の時に父が他界し、兄弟3人と母親1人の家庭でしたので、金銭的に苦しく、大学に進学するという道は考えていませんでした。

私自身は、早く働く方が社会人として経験が長くなり、実力もつくため、高卒で働こうと考えていましたが、母からシステム系の分野を身につけた方がいいと勧められ、システム系の専門学校に入学しました。

その後、教育系出版社にエンジニアとして就職し、1年ほどで営業の担当になりました。民間企業や、学校に飛び込み営業を行なっていく中で、営業の楽しさを見出しました。

件数も多くこなし、最初からうまくいっていました。飛び込みの営業ではたくさん断られることもありましたが、逆にいい出会いもありました。断られればそこで終わりですが、受け入れていただいた場合、そこからの付き合いは長く、可愛がっていただいていました。

その中で、中小企業の経営者の方々や、大手企業の中で企業内起業家をされている方々と出会い、大きな刺激を受けました。

出版社に勤めている時に、出版社から広告会社にシフトチェンジした方がいいのではないかという新規事業の提案を会社にしていたのですが、役員に届くまでに却下されることも多く、このままでは会社が傾いたときに自分も一緒に倒れてしまうのではないかと思い、23歳で独立することを決心しました。

私は元々起業することを目指していたので、いい機会でした。起業することを目指した理由は2つあり、1つは私が小学校の頃に叔父が起業をし、その叔父の家庭が羨ましかったからです。もう1つは、金銭的に苦しい家庭で育ち、裕福になりたいという思いが強かったからです。

――広告会社を1人で起業されましたが、なぜ1人で起業されたのですか?

資本金がなく、人を雇用する資金もない状態だったため、1人で起業しました。あと、思い立ったら行動する人間ということもあり、気付いた時には1人で会社を立ち上げていました。

ベンチャー企業は、出資していただいて起業することがよくありますが、そういう感覚はなく、自分の貯めたお金で起業すると思っていたので資本金がなかったです。

当時、自分の貯めたお金が100万円しかありませんでしたが、そこに対して不安はありませんでした。元々、23歳の時の所得が高くなかったため、そのくらいなら余裕で稼げると思っていました。

――お客様にとって本当に価値があるものを目標に事業をしていたとお伺いしたのですが、何がきっかけでそう考えるようになりましたか?

そもそも広告は、広告費以上のリターンを見込んでビジネスするものです。ですが、当時は広告代理店のほとんどが、お付き合いでテレビや新聞の広告を取ってくるということが主流でした。これはあまり意味のない広告だと思っていました。

なぜなら、広告効果があまりないが、お付き合いのためにする広告は、無駄な投資だからです。実際、広告を出すのならば、費用対効果が得られる広告を出そうと考えていました。

投資をする覚悟が大切

—— 1人で突っ走っていくことを変えたきっかけはありますか?

JCの活動がきっかけです。JCとは、リーダーを志す経済人の社会的活動を目的とする日本各地の青年会議所です。

当時、1人で事業をしている人はJCにほとんどいませんでした。JCは社会貢献を目的として活動している団体であり、起業家の社会貢献というものは、雇用と納税ですので、そこから雇用することを決めました。

今思えば、雇用してよかったと思っています。もし雇用せずに1人で事業をしていたとすれば、生活が不安定であり、できることも限られているのでうまくいかなかったと思います。例えば、事業を進めていく上で、うまくいくための仕組みを作ったとしても1人しかいない場合、大きなことができません。

JCでは学ぶことも多かったのですが、劣等感に感じることもありました。

周りの皆様が人脈や資金をたくさん持っていることに対して羨ましく思っていました。例えば、日中から夜までJCでのお付き合いで活動することもあるのですが、JCでは2代目の方が多く、自分の父親が社長や会長をされているため、自分が会社にいなくても売り上げが担保されているという状況が羨ましかったです。

私の場合は、自分が会社にいなければ売り上げが伸びることはありません。また、会社の知名度という点でも羨ましく思うことがありました。会社に知名度があると、仕事を取るときに、スムーズにことが進むケースもありますが、会社の知名度がない場合、根回しが大変になってきます。

資金面に関しては、例えば2代目の方の場合、親から引き継いだ時点で100億円あるが、私の場合0から会社を作り上げていきます。この差はとても大きく、できることの範囲が全然違うため、羨ましく思っていました。

――保育というニッチな業界に参入するまでの経緯をお伺いしたいです。

まず、保育業界に参入する以前に、人を採用するのが困難でした。これは、資金面による採用の難しさではなく、会社の知名度の低さや、年商が小さいということによって生じた困難でした。

これを乗り越えるために、時間をかけてコツコツ売り上げを伸ばし、会社を成長させて行きました。最初から一気に会社を成長させていく人もいますが、私の場合はそれができなかったので、地道にコツコツ努力していました。

保育業界への参入に関しては、元々ニッチな業界に参入しようと考えており、そこで偶然保育の業界と出会いがあったため、保育業界に参入いたしました。ただ、保育業界参入がにおいて、いきなり参入してきた私の会社を、取引業者に相手にしてもらえなかったのが大変でした。

そこから社員4人で、年間2億5千万円の売り上げを出し、その資金で即半ツールの総合サイトを立ち上げました。しかし、急激な商品数増加によって、社員の対応が追いつきませんでした。

やってみて失敗したという感じでしたが、成功していることもあったので、そこにスポットを当て、経営方針をすぐに転換しました。それがのぼり旗事業でした。

こののぼり旗事業がうまくいっていたので、現状のまま突っ走っていく、もしくは事業拡大をするかのどちらかで悩んでいました。そのとき、『海賊と呼ばれた男』という本を読んでおり、その本の影響で事業拡大することを決心しました。

これまではチャレンジすることに対して恐怖心がなかったのですが、今回の事業拡大に関しては、借金のない状態から10億円の借金をするということだったので、正直怖かったです。

色々な困難を乗り越えてきて、学んだことがあります。それは、投資をしないと飛躍しないということです。設備や雇用人数に関しても、投資をしなければ伸び悩みますので、飛躍できません。

自分の言葉で表現することが大切

—— チャンスを掴める人と、掴めない人の違いはどういうものだと思いますか?

自分の言葉で表現できるかどうかだと思います。例えば、私の会社に来る学生さんで、私の会社のホームページを見て覚え、それに対しての質問をそのままする人がいますが、正直あまりピンと来ないです。

ホームページに載っていることを自分で噛み砕いて解釈し、自分の言葉にする方が魅力的です。

最近では、企業へのすり合わせが多く、ほとんどの学生さんが同じですが、その中でも自分の言葉で喋る学生さんは、一緒に働きたいと思うため、採用しています。

――最後に、起業を目指している学生さんへのメッセージがあればお願いいたします。

チャンスがどこに転がっているのかわからないので、チャレンジしてみてほしいと思います。歳をとると、守るものができてくるので、チャレンジしにくくなるのですが、若いうちは守るものが少ないので挑戦するべきです。

大した借金をするわけでもないので、若さを利用して攻めることをお勧めします。もし失敗した場合でも、どこかに勤めることは可能ですので、若いうちがチャンスだと思います。もちろん自分で考え、やれると思ったことに対して挑戦してもらえればと思います。

株式会社イタミアート

設立 1999年2月
資本金 9,800万円(2019年6月末現在)
売上高 非公開
従業員数 143名(パート含む) 2018年1月現在
事業内容 のぼり旗・幕の製造・販売 オリジナル販促ツールの企画制作 広告物の制作・印刷 冊子の印刷 HP制作 Webマーケティング 幼稚園・保育園教材販売 保育園運営
URL https://www.itamiarts.co.jp
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