結果が出せない悔しさをバネに手に入れた営業力
—— 学生時代から起業するまでのお話を教えていただけますか。
学生のときからとにかく負けず嫌いな性格でした。なんでも一番になりたくて、わがままな学生だったと思います。当時は特に目立つようなことをするタイプではなく、サークルもボランティアサークルに入っていて結構地味でしたね。今思えば、学生時代にインターンをしてもっとビジネスに関わっていればよかったなと思います。
起業は学生のときからしたいと考えていたのですが、大学卒業後は人材コンサルの会社に就職しました。なぜすぐ起業せず就職を選んだのかというと、単純に起業するために何をやったらいいのか分からなかったからです。また、この事業がやりたいというビジョンも無かったので、まずは就職して起業に向けてやるべきこと、やりたいことを見つけるべきだという考えに至りました。
そして人材コンサル会社で働き始めてから社会の厳しさを知り壁にぶち当たりました。自分は器用な方だと思っていて、社会人になるまでは勉強はそこそこにできてスポーツも得意で何事も上手くいくタイプだったので、正直働き始めてからもなんとなく上手くやっていけるだろうと漠然とした自信を持っていたのです。まさか社会人になってからあんなにボロボロになると思っていませんでした。
僕はあがり症だったので営業が上手くできず、周りの同期よりも成果を残せていませんでした。しかし、負けず嫌いな性格なので、そこで諦めたくありませんでした。営業力を身に着けるためにとにかく勉強しました。毎日同じマンションに住んでいる先輩に営業のロープレに付き合ってもらい、喋りが下手なのを直すために話すことに慣れるようにコミュニケーションを取る時間を圧倒的に増やしました。そして2年目の頃からようやく契約を取れるようになってきたのです。
――人材コンサル会社での営業マンの経験を通して、学んだことはありますか。
結局、営業力とは提案力だということです。お客様にどのような課題があって、それに対してどのような解決策をいかに上手く提示できるかということが大事になってきます。また、人材関係の会社だったので人を見極める力がつきました。その力がついたおかげで実際に今、うちの会社では離職率が低く、10年やってきて退社した社員はたったの2人です。
中小企業は特に人が大事で、僕の場合は面接をするときにその人にやりきる力があるかどうかを判断します。やりきる力とは口で言うだけじゃなく、実際に行動できる人です。口にするだけなら誰にでもできるので、そこで実行できるかどうかでその人の能力は決まります。そこを見極めるために、過去の実績を見たり、その人の目をよく見たりして人柄や会社への適正を見極めるのです。
ポジティブに楽しい方を選択し続ける
—— 起業してからの苦悩はありましたか。
大変だったことはきっと何個もあったと思いますけど、僕自身が寝たら忘れるタイプで都合のいいことは結構忘れてしまいます。経営をするうえで、ミスや後悔を引きずらないという楽観的な思考も大切だと思うので、そこに関しては楽観的な性格で良かったなと思いますね。少しずぼらなくらいが経営者には向いているかもしれません。かといってどんぶり勘定なのももちろん良くないので、そこのバランスは大事にしないといけないと思います。
それと僕がよく口にする言葉が「なんとでもなる」です。しんどいことが起きると、そのときに「なんとでもなる」と思えることでその後のモチベーションは大きく変わってきます。物事は結構受け取り方が大事です。やはり、類は友を呼ぶというようにネガティブな人の周りにはネガティブ思考の人しか集まりません。愚痴とか文句ばかりを言ってネガティブなことを考え続けても何も解決できません。そうではなく、その困難や苦悩にどう立ち向かっていくのか、どうやって乗り越えていくのかを考える方が断然楽しいはずです。
――人間関係がすごくフラットな会社だとお聞きしました。
社員の方との関係性はどのようなものですか?
社員はみんな僕のことを「西崎さん」と呼んでいて、聞きたいことは何でも聞きに来る風習があります。ただただフラットな関係ではまとめるときにまとめられないので、徹底しているのはリーダーやマネージャーが決めたことは絶対だということです。決断に至るまでの意見は好きなように言って構いません。しかし、その後にリーダーが下した判断には絶対従うようにと社員には伝えています。どんな場面でも、全員が納得する正解というのは無いと思うのです。だから上が決めたことに対して一緒に一直線に向かっていこうと決めています。
また、会社の特徴として挙げられるのは、楽しい仕事を選ぶようにしていることです。自分が楽しいと思える環境に身を置くことは結構大事で、その方が楽しいよねという訳ではなく、シンプルにその方が会社は儲かるのです。考えてみると、楽しいことをやっているときの方が人は集中力が高まるし活力も湧いてきますよね。楽しいと思えることと言われて嫌なことをやるというのとどっちのパフォーマンスが高いかというと、圧倒的に前者です。
いかに社員が楽しく、おもしろく働ける場が創れるかを考えることが、一番会社が儲かる近道です。社員に楽しく働いてもらうために、環境づくりはもちろん、福利厚生などの制度やオフィスの綺麗さも大事です。
また、僕がこれからつくりたい組織は「選択できる組織」です。僕らが目指している方向の中で右も左も選べる組織を目指しています。具体的に言いますと、今やろうとしているのは福利厚生を100個作ろうというもので、100個の中から10個好きなものを選べるシステムをつくろうとしています。
自己ブランディングを高めるために必要なこと
—— Twitterで6万人以上のフォロワーを集めていますよね。
自己ブランディングのコツは何かありますか。
自己ブランディングにおいて大事なのは「継続すること」、たったこれだけです。ほとんどの人はTwitterやブログ、YouTubeを始めても思うように結果が出ないと途中で諦めてしまいます。99%の人間が継続できずにやめていくのです。そこで何が大事かというと、その残りの1%になるということです。継続すればその1%に入れます。単純に1つのことを続けた、それだけで結果はついてくるのです。
また、その続け方も大事です。まずは数で、実際Twitterでは1日30回くらいツイートすることもありました。その数をこなしたうえで大事なのが質です。何をもってフォロワーさんはフォローしてくれるのか、何を発信したらこの人をフォローしたいと思ってもらえるのかなど、フォロワーを増やすための策略を練るべく研究し続けます。数を増やすだけではだめで、やり方の質の部分を磨いていくことは必須なのです。その数と質の掛け算で結果はついてきます。これはSNSに限らず仕事でも同じです。
そして現代の情報社会では、情報の流れはもっと早くなっていくでしょう。その状況に合わせて新しい一手を作り出したり、行動したりという変化ができる人が今後活躍する人になってくると思います。ただいつの時代でも変わらないのは、失敗から学べる人が良いということですね。
自分が好きなように生きるために
—— 最後に、学生へのメッセージをお願いします。
僕から学生に言えることは、自分の好きにすればいいんじゃない?ということだけです。一生懸命働きたいなら頑張ればいいし、楽して生きたいならそうすればいいです。ここで忘れてほしくないのが、自分がした選択は最終的に辻褄があってくるということです。楽して稼ぐのは絶対に無理です。稼ぎたいなら今頑張らないといけません。
そしてなかには、やりたいこと好きなことが見つからないと言っている学生もいると思います。僕が思うにそういう人はきっと何もやっていない人、何も挑戦していない人です。口で言っているだけで実行していないはずです。行動しないし考えもしないと、当然何がやりたいのかも何が好きなのかも分からないに決まっています。それこそSNSでもTwitterでも、何でもいいからやってみることをおすすめしたいです。
やってみて上手くいかなかったらそれでもいいですし、向いていないと思えばすぐにやめればいいのです。そうやって挑戦を重ねていくことで、自分に向いていること、自分が興味を持てること、やりたいと思えることを見つければいいのではないかと思います。やる前から分からないって言うなよと言いたいですね。まずは何かを始めてみて、好きなことややりたいことをどんどん見つけていってください。