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【株式会社brossom 宇野 想一郎】「好きな事をし続けよう」幾度の失敗を経ても挑戦を続けた若き起業家が今の若者へ伝えたい想いとは

2020/06/14

Profile

宇野 想一郎

株式会社brossom 代表取締役/CEO

大学時代に起業し、ミュージシャンに特化したshowroom制作に取り組む。その経験を通してwebについての知識をもっと身に付けたいと思い卒業後はサイバーエージェントに入社。AbemaTVの立ち上げに携わり、オリジナル番組の企画・制作に取り組む。通販の子会社役員を経験した後、2019年2月に株式会社brossomを創業。人材事業の失敗を超え、「自分たちの好きなもの」を軸にゲーム実況動画のSNSツール事業を開始。多くのゲーム好きが満足できるeSportsゲームに特化したゲーム動画アプリRDY(レディ)を開発。そんな宇野想一郎氏に、失敗を乗り越えた経験や、それを通して得た教訓について伺った。

ゲーム好きが繋がり、よりゲームを楽しめるサービスを

—— 事業内容を教えてください。

ゲームが上手くなることに特化したゲーム攻略動画アプリ「RDY(レディ)」を作っています。「このキャラの対策とは?」「この銃の上手い使い方」などゲームタイトルごとに、eSportsゲーマーが知りたい情報を課題別で探すことができるのが特徴です。また投稿者はゲームのトッププレイヤーのみに限定されており、レベルの高いゲームの解説動画を楽しむことができます。

 

――今の事業を始めるまでの経緯を教えてください。

 

大学卒業後は、新卒でサイバーエージェントに入社しました。初めは音楽アプリの制作、その後AbemaTVの新規作品制作に携わりました。特にAbemaTVは立ち上げのハードな時期だったので大変なことも多かったですが、常に挑戦し続ける同僚と頼りになる上司と共に一生懸命働けたことはいい経験になったと思います。

 

サイバーエージェント退社後、2019年の2月に起業しました。最初は人材系の事業に取り組みましたがうまくいきませんでした。事業がつぶれてしまったので新しいアイデアを出し合っていたその時に、「何がアタリなのかは結果論であり、誰にも分からない。それならみんなが好きで熱中できる事に取り組もう」という話になり、メンバーが好きなゲームを軸にすることに決めました。

 

ゲーム好きな人たちが求めているものは何かを、私たち自身もゲーム好きの一員として、ユーザー目線で考えました。そこで出たアイデアが、自分に合うキャラクターや武器を調べられること、参考になるような上手いユーザーの実況動画を見られることでした。

 

それまでもゲーム実況の動画はYouTubeなどで見ることができましたが、こういった細かい点を調べられるサービスはありませんでした。そこで、RDY(レディ)を作り、ゲーム好きがよりゲームを楽しめるようなサービスを展開しようと決めました。

「社長」とは何か。失敗から学んだ真の社長の在り方

—— これまでの失敗経験を教えてください。

大学生の時に起業しましたが、失敗に終わってしまいました。

当時私は大学生活を謳歌していて、特に音楽サークルに力を入れていました。将来は音楽で食べていこうとぼんやり考えていましたが、いざ父親から「将来何をするのか」と聞かれたとき、ミュージシャンになりたいと胸を張って言うことができませんでした。自分にはミュージシャンになると断言するほどの自信がなかったのです。将来について答えられなかったことで、何に対してもやる気を失い、力を入れていたギターでさえ辞めてしまいました。

 

その時にたくさんの本を読み、考えを巡らせる中で「起業すること」「サービスを生み出すこと」に興味を持ち始めました。会社を経営していた父の影響もあったのかもしれません。

 

起業した会社ではShowroomのような動画配信サービスの制作に取り組んでいましたが、私はエンジニアでもなければ経営の経験もなく、メンバーに適切な指示を出すことも、効果的な戦略を立てることもできませんでした。

 

会社のトップである社長が分からないことだらけの状況が続き、次第にメンバーからは、「どうすればいいのか。」という不安な声が出てきました。しかし、プライドが邪魔してしまい「わからないから一緒に作って行こう」と言うことができませんでした。当然事業は振るわず、メンバー達も離れていってしまいました。

 

これは自分のプライドの高さが招いた結果でした。また、「学生起業したんだぞ!」という驕りもあったと思います。当時、私は社長を「常に強気でいて、偉い人」と定義していましたが、この失敗を経てその認識は変わりました。

 

今、私にとって社長とは「あらゆることをしてでも結果を出す人」です。社長である限り、社員に給料を支払う責任があります。「収益」という結果を出すための手段は重要ではなく、それは個人個人で違っても良いと考えています。ただ、必ず結果を出すこと。それが私の考える社長の定義です。

パッションで失敗を超えろ

—— 株式会社brossomを経営する中で得た教訓はありますか。

brossomは1つ目の人材事業がうまくいかなかったところから、方向転換して今の事業を始めました。この経験によって、事業をする上で大切な事とはその事業にどれだけ愛情と情熱を注げるかだということに気付きました。

 

FacebookやTwitter、YouTubeといった有名でうまくいっているように見えるサービスも、かつては躓いたことがあり、その躓きを超えたことによって今の成功した姿があります。どんな事業にも障壁が訪れ、躓くことがあります。その躓きを超えられるかどうかは、自分とその事業がどれだけ合っているかどうかであり、自分のパワーを存分に発揮することができるかだと思います。

 

1つ目の人材事業は、それなりの問題意識などはあったものの、収益性や市場の動きを見て、タイミングを見計らいながら提供していこうと考えていました。しかし正直なところ、事業そのものを心から愛しているとは言えませんでした。そのため、事業が躓いてしまった時、どうにかして巻き返そうという情熱がなく、やめる方向になりました。

 

どんな事業をするにしても失敗はあり、その失敗を乗り越えられるかどうかは、事業に対して愛情や情熱を注げるかどうかです。だからこそ、乗り越えられるほどのパッションを持っている事業をするべきだという教訓を得ました。

自分の興味に正直に、たくさんの経験を

—— 人生の先輩として学生へメッセージをお願いします。

起業をして事業を起こすことに対してのパッションについてお話しましたが、会社選びにおいても同じことが言えます。成長を続ける会社に入りたい人は多いと思いますが、そういった会社は挑戦が多い分、障壁もたくさんあります。辛いことがあっても、事業に対してパッションを持って乗り越えられるような会社を選んでほしいです。

 

また、学生のうちに自分の興味があることを深めてほしいと思います。起業したかったら起業すればよいし、ゲームを作りたかったらゲーム会社でインターンをしてみてください。このように、少しでも自分の興味があることがあれば、ビジネスとして実際にやってみてください。

 

インターンでは、その会社はどのように動いているのか、どんな人が働いているのか、業界ならではの困難とは何かを知ることができます。実際に目にして分かることで次にとるべきアクションがはっきりしてくるのではないでしょうか。

 

一度就職してしまうと、様々な職業を試すのはとても難しくなります。学生時代こそ、数ヶ月単位で自分の興味のある職業を自由に試すことができる貴重な時期です。是非色んな経験をして、どんな失敗でも乗り越えられるほどのパッションを注げる会社を選んで欲しいです。

株式会社brossom

設立 2019年2月
資本金 41,000,000円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 WEBサービス開発
URL https://brossom.co.jp/
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