日本企業の事業運営や海外進出を総合的にサポート
—— 事業の内容を教えてください。
弊社は主に企業に対するマーケティング支援を行っています。企業が行うマーケティング活動には、主に新しい商品を世の中に送り出すためのマーケティングと、出した商品を販売促進するためのマーケティングの二種類があり、「マーケティングをしている」という企業の多くは後者に特化したビジネスを行っている場合が多いのですが、当社はこの両方を事業として取り扱っていることが特徴です。
「販売促進するためのマーケティング活動」に関して言えば、販売促進活動の企画段階から、実際に商品を消費者へ届けるための運用まで、プロセス全体を一貫してお預かりするというビジネスアウトソーシング事業をしています。例えば、ある企業のキャンペーンに関する取り組みを例に挙げると、企画やその実施だけでなく、当選者の抽選や応募者とのやり取り、プレゼントの発送など、キャンペーン運用に付随する一切の実務をお預かりして業務を行うところが他社との違いです。
「新しい商品を世の中に出すためのマーケティング活動」に関しても、ブランディング一つを例に挙げても、まずは市場調査や顧客情報などを基にした様々な分析を行い、そのうえで方針を決めて計画を立てるなど、データの活用を徹底しています。
先にお伝えした販売促進活動をトータルでサポートしてきたノウハウから蓄積された経験や知識を、直接ここへ活かすことが出来るというのも、弊社の強みになっています。
また、販売促進活動では、データベースを基にしたマーケティングが非常に重要です。例えばファンクラブのような人が集まるところでの顧客管理も当社でしています。具体的にはサッカーチームやアーティストのファンクラブ、展示会の設計・運営、大手食品メーカのキャンペーンの顧客管理などを行っているのですが、単に顧客情報を管理するだけではなく、分析・活用してマーケティング施策提案を行うことで、各お客様の企業活動の活性化に貢献しています。これらは全て、お客様の大切な顧客情報をお預かりして行う業務です。これはお客様と弊社との間で創業当初から築き上げてきた信頼関係があるからこそ、成せる業だと自認しています。
また上記に加え、近年はグローバルへ向けても挑戦をしています。
日本が高齢化社会になって経済活動できる人がどんどん減少していく中、このままグローバル化が進んでいくと、日本の多くの会社は海外の企業に飲まれてしまう。そう考えた私たちは、日本の企業が海外に進出するためのマーケティングサポートをするため、グループ会社として、株式会社 CGM JAPAN を設立しました。現在CGMグループは香港、上海、ミャンマーに拠点を置いて活動しています。
意志の疎通をどう取るかが海外進出のカギ
—— 海外進出する時、難しかったことはありましたか?
CGM香港で新規事業を立ち上げようとしていた時の話があります。中国の人は日本ブランドがものすごく大好きで、当時は日本のものというだけで飛びつくような勢いがありました。そこでジャパンタウンのような日本ブランドのお店を作ろうということで、中国の国営企業と中国市場のテストマーケティングのための商業施設を作っていました。しかし、あともう少しで完成するというところで、尖閣諸島問題が起きました。
それでも中国の人は諦めないで一緒に頑張ろうと言ってくれましたが、12月に日本の首相が靖国神社を訪れた時に中国側から「もう無理だ。」と言われました。中国人は日本のことを敵視してしまうことになって、プロジェクトは全て中止になりました。
今になって振り返ってみると、その時の失敗の要因は、その国の人たちやその国のことを理解しなければマーケティングはできないのに、当時は中国という国のリスクを十分に理解していなかったということです。それをもう少し考えないといけなかったのは反省すべき点でしたね。
また、中国では通訳をつけても、通訳者の独断で、通訳しないでいいと思われたものは通訳されないこともあるんですよ。そうなるとこちらの要望が通らなくなるので意志の疎通をどう取るかはものすごく重要だということを学びました。
――中国での事業経験は現在の海外進出にどう活きていますか?
コプロシステムには技術部門もあり、システム開発の仕事もすごく多いのですが、開発自体は海外を拠点としてすることが多いです。今は三年間くらいミャンマーでシステム開発をして、ミャンマーの人や国を理解できるようになりました。海外を相手にコミュニケーションをとるためにはこちらの伝えたいことをどう伝えるかを工夫しないといけません。
例えばミャンマーの人たちはわからなくても「わかりました」というくらいプライドが高いです。それをやめるように言っても、自分の評価が下がらないように、「わからない」とは言わない気質があります。
そこで、指示をしっかり分かってもらうために、自分の会社では日本語が喋れるミャンマー 人に対しても、重要なことはミャンマー語の通訳を入れて話します。コミュニケーションをきちんとっていく部分は中国に最初に進出した時に違う人種と事業を進めてきた経験上で身につきました。
――日本人同士ですら意志の疎通は難しいのに、言語や文化の違いがある中で事業としてやることはもっと難しいですね。
若者の皆さんが40歳くらいになった時、世の中がどうなっているか考えてみて欲しいです。
日本人だけで生きていく時代でしょうか?これからはいろんな文化の人たちと一緒に、対等にコミュニケーションして、地球レベルでどのように生きていくべきかを考えていく時代になります。本当にこれからの世の中を支えてく若者が今のグローバル化に対応していかないと、これからの日本は立ち行かなくなると思いますね。
学生時代に真剣勝負ができるものをつくる
—— グローバル化の時代で、学生は何をするべきだと思いますか?
その前に、みなさんは何がやりたいのか?自分はなにものなのか?を考えるべきだと思います。
自分を探すためにもっともっと情報を貪欲に取らないといけません。失敗するかもしれないし、道を誤るかもしれない。でも真剣にそこに取り組んでやったら、絶対に次に自分が取るべき道の中でベースになるものは掴めるはずです。それをしないで就職する人があまりにも多いですよね。
学生時代にまず、自分が何をしたいのか考えないといけない。これからの日本をどう考えるのか、変わっていく世の中で自分の強みをどう活かすことができるか、どういう仕事に就くことが自分の自己実現につながるかを、分からなくても考えることが大切だと思いますね。
そして視野を広くしないといけないから、時間があるうちにいろんな国でいろんな人と出会っていろんな話を聞くことをすべきだと思います。その中で自分探しができると思いますね。それがこれからの人たちにすごく重要なことで、その上でその人が一生懸命にやれると思ったことならどんな仕事についてもいいと思います。
一生懸命とは、真剣勝負ということだと私は思います。命をかけるくらいの気持ちで自分自身が本気になれるか。自分が真剣勝負できる何かを学生時代に作ってください。中途半端に時間を作っても得るものは得られないと思います。
――グローバル社会で、企業から求められるスキルも変わりますか?
グローバル化の時代、英語はペラペラにならないとダメですよ。これからの社会、中国の経済発展がもっと進んで、中国語を使う機会も増えるので、日本語の他に中国語、英語など最低でも3カ国後くらいは喋れた方がいいと思います。
日本はこれまでいい大学に行けばいい企業に行けました。でも終身雇用制が崩れて、そうではなくなっていきます。働き方が変わってきています。コロナの影響からもっと働き方が変化します。新しいことがもっとたくさん生まれるはずです。今までの日本は多くの部分で海外に頼ってきました。昨今の状況をきっかけに、本当に日本のグローバル化はこのままでいいのかと見直されるはずです。
常に世の中で起きていることを知り、考えることで、学生の皆さんが将来選択する選択肢も増えると思います。