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【スタイラー株式会社 小関 翼】売り手と買い手にある情報のギャップをなくし 「欲しい」が届くマーケットを

2020/02/15

Profile

小関 翼

スタイラー株式会社 代表取締役社長

東京大学院を卒業し、日英のメガバンクにて勤務後、Amazonにて決済サービスの事業開発を担当。その後、スタイラー株式会社を設立した小関氏。同社は、「ライフスタイル分野に未来の購買体験を提供する」というビジョンのもと「FACY」というオンラインでショップ店員と相談しながらアイテムを購入できる、オンラインとオフラインを繋ぐサービスを提供している。同社の設立に至った経緯、想い、これからの未来について小関氏に聞いた。

インターネットを介して ユーザーにとって欲しいものが届くという状態を目指して

—— スタイラー株式会社の設立に至った経緯を教えてください。

キャリアから説明すると、大学院で法律とインターネットの研究をしていました。そこでインターネットプロダクトの開発をするということで入社したのが経緯ですね。日本とイギリスの銀行で働いた後に、私の会社につながってくるのがAmazon。Amazonは非常に便利なサービスで、自分もほぼ毎週Amazonでものを買ったりしますが、苦手な分野もあってそれを改善するために始めたのが我々のサービスです。

私のキャリアは日本人の中にも珍しいんです。つまりファイナンスとリテール、インターネットの業界にまたがったキャリアになっています。正直海外で言うと普通ですが、労働習慣が違うので日本ではあまりいないです。さらにその話を日本やアジアにまたがってすることができるので、いろんな話す機会を与えてもらっています。

我々は世界に先駆けたものを作っています。「FACY」はオンラインですが、オフラインに貫通してる購買媒体にもなります。インターネットアプリケーションなのですがオフライン内の購買まで貫通しているものを提供しているのは珍しいです。

やっている理由としては、Amazonとか他の既存のECモールはライフスタイル分野が苦手だからです。何を着るかとか、何を食べるかとか、どこに住むかとか、答えはないですよね。

ユーザーは選択肢が増えれば増えるほど意思決定がめんどくさいですよね。これらの業界ではエージェントビジネスが巨大化します。つまりユーザーの代わりに選んであげる人が出てきます。転職エージェントとかですね。彼らが何をしているかというと、選択肢は増やさないことです。その人の代わりに一社選んであげることをしています。

例えば、アウターが欲しいと思って店舗にいくと、店舗の人がその人の代わりに良いものを選んであげるのが実は仕事だったりします。

一方、Amazonや楽天、ZOZOTOWNなどは、基本的には検索に依存しています。欲しいものを検索に積極的に落とし込んで、サーチウインドウに入れてサーチ結果から積極的に比較を行って、買うか買わないか判断します。全部、積極的に意思決定を行っています。それは必要な情報は自分が持っているか、コモディを買うときには別に問題はないです。ユーザー自身が意思決定をできます。

だから便利なのですが、一方でライフスタイル、自分にとって合うもの、いいものを選ぶ意思決定は苦手です。ユーザーはそもそも自分の頭の中に必要な情報を持っていなかったり、その情報を集めるのはめんどくさい、教えて欲しいと思っているのが大半だったりします。

なのでユーザーは店舗とECサイトの使い分けをしています。何かいいものが欲しいという時は、結局お店に行きます。欲しいものがある時、買い物は別に嫌いではないので、友達と買いに行くことはありますよね。9割インターネットが進んでいる先進国であっても、購買の8割が店舗。だからまだまだそこは古臭いんです。そこをインターネットとして落とし込んでいるのが我々のサービスになります。

ー具体的なサービス内容を教えてください。

ユーザーが、その時欲しいアイテムをアプリ上で聞くことができます。例えば「パーティーに着ていくブルーのドレスが欲しい」とつぶやきます。するとそれに対してショップから返信が7件程来ます。その中で気になるものがあれば、1対1でアイテムの相談ができて、サイズや素材を購入して送ってもらうこともできます。試着しに見に行くこともできるし、取り置いておくこともできるサービスがあります。

つまりユーザー中心にマーケットプレイス、市場をやっています。我々は在庫を管理してたり、生産しているわけではなく、ユーザーとストアに対して取引するマーケットを提供しています。それはAirbnbやUberEatsと一緒です。彼らも車や家を持っているわけではないです。

マーケットの両端にユニークなものを抱えていて、店舗を集約しているので供給サイドに寄っていきます。よって我々はECモールの平均的な商品単価よりも10倍高い、2万円~3万円の商品を売っていることになります。

さらに、ユーザーが今何が欲しいかって言うニーズも持っているので、ファッションメディアも運営できます。そして、その情報を大手の会社に提供しているので、大規模なユーザーに楽しんでいただけるというのが実情です。

幸いにして、1か月で160万人のユーザーが我々のサイト上でショッピングとコミニケーションを楽しんでいます。そして今、台湾と日本でビジネスをしてます。それに伴って50%のチームメンバーが、日本人ではないですね。どちらかと言うと海外出身のメンバーの方が多くなっています。

これから、アップデートも予定していて、どこまでするかは未定ですが、半径3キロメートル以内にベストのショッピング体験を届ける機能を作りたいと思っています。今、フェイズ(段階)2に向けて準備を行っているところです。

ーどうして新しい購買体験を届けたいと思われたんですか。

日本のショッピングの割合はだいたい小売店で行われていて、ECが苦戦しています。ユーザーとセラーの間に大きな情報のギャップがあるので、ちゃんと取引がされていないんです。それはマーケットメイクに問題があるので、我々が新しいマーケットを作って、インターネットを介してちゃんとユーザーにとって欲しいが届くという状態を目指したいと思ったからです。

ー何故他の業界もあった中で洋服を選ばれたのですか?

他の業界も同じような状態だが、ファッション以外の業界は頻度が低いからです。住宅やトラベル、転職とかは数年に1度機会があるかどうかでユーザー獲得数が高く単価も数万とかします。一方飲食は頻度は高いですが、購買にまで貫通しにくいです。

ほとんどメディア的なビジネスにとどまってしまっているのが実情なので、我々はより頻度が高くて、認知してから獲得するところまでいく、ライフタイムバリューを上げるところまでできるマーケットが洋服だったというわけです。

モノカルチャーな日本はインターネット技術で遅れている?!

—— これまで経験した中で逆境だったことは何ですか?

逆境というかもっと早くすればよかったなと思うのは、人材の部分ですかね。

我々は今、海外の採用を活発にしていて、今もメンバーの50%が海外のメンバーです。ただこれを始めたのが1年半前で、会社設立が4年位前なので、3年ぐらいは日本人だけでやっていました。

しかし日本のインターネット業界は25年前に始まっていてもう、レガシー(過去)なんです。日本だけではなく、アメリカもヨーロッパもレガシーです。

一方で、アジアは違います。ここ10年でようやくインターネットが繋がったので、パソコンもテレビもないので全部スマートフォンで情報を得ています。当然スマートフォンをベースにしたビジネスは、アジアの方が早くなりますよね。でもこの事実を知っている日本人はあまりいません。

これが人材の方にも影響与えていて、日本はスキル的にもどんどん遅れていると言うことになるんですよね。初期の頃はスキル面で言うとジュニアクラスでまかなっていたので、早くからアジアの人を採用すれば良かったなと思いました。

また。海外の人はチームマインドが高いことで分かったんです。日本では同じようなものの考えの人たちが集まっていたほうが効率が良いと言う考えがあるが、海外だとあまりそういうのを聞きません。むしろそれを言ったら差別主義者だと思われますね。そもそもダイバーシティ(多様性)があるのが当たり前だからです。

ダイバーシティがある中で、どのようにして一体感や目標を共有していくのかにチームのマインドセットが向くので、むしろ一体感が増しているのだと思います。モノカルチャーで日本人だけだと、そもそもの前提がダイバーシティがないのでチームのマインドもふわっとしてしまっていました。

今の人は、海外でインターンとか就労体験をしたほうがいいと思います。行ってみると日本の常識はほぼ通じません。大体2、3年に職を変えてますし、みんな野心があります。日本では、なんとなく就活するときに大企業をうける人が多いですが、海外では自分で何か得る為に自分で会社やる人も多いです。それが普通。「逆になんでやらないの?」ということを体感することができると思います。

今から海外に行くなら、アジアを選ぶべし

—— 最後に学生にメッセージをお願いします。

今いろんな留学などをする機会があると思いますが、僕のオススメはアジアですね。正直、日本以外の国は成長していて、日本よりも経済的に一人当たりの所得が高い国でも全然成長してると思います。ドイツやアメリカにいくより新興国に行ったほうが、より日本とのギャップが大きいので、楽しいと思います。

しかも、経済成長が5%以上の成長がある国に日本人が行ったらめちゃくちゃ歓迎されます。日本人は勤勉さはありますが、成長率は海外の方が高いので、「それは何でなんだろう」とか、「成長率の高い国の同世代ってどういう人生を送ってる、送ろうとしているんだろう」というのを見たほうがいいと思います。アジアは大阪・東京と同じくらいすぐ行けますよ。

スタイラー株式会社

設立 2015年3月4日
資本金 非公開
売上高 非公開
従業員数 35人
事業内容 ニューリテールプラットフォーム「FACY」の企画・開発・運用 オウンドメディア「FACY MEN」「FACY LADY」の企画・運用 ポップアップショップの企画・運用
URL https://facy.jp/ https://note.com/styler_japan https://styler.link/
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