MiraError(ミラエラ)

【株式会社グットクルー 堀 哲郎】自分の経験に基づいた判断軸を持って、人生を謳歌してほしい

2019/10/24

Profile

堀 哲郎

株式会社グットクルー 代表取締役社長

某メーカー企業の設計士、不動産の営業を経て、株式会社ディ・ポップスに入社。その後、株式会社ディ・ポップスを親会社とした株式会社グッド・クルーの代表取締役に就任。同社は、大型商業施設・量販店・キャリアショップ・展示会等において、主にキャンペーンやイベント・新商品説明会等の受託や店頭受付・販売スタッフの派遣を行っている成長企業である。そんな堀氏の大きな夢とは?伺ってみた。

学歴社会の壁にぶち当たる

—— 堀さんは新卒で設計士として入社したと伺っています。どうしてその仕事を選ばれたのでしょうか?

もともと手に職付けたいという思いがあって、テレビで特集された某メーカー企業に入りたいなと思っていました。当時は、ものづくりに興味を持って工業高校に行き、進学か就職か迷って、結局就職を選びました。

しかし、入りたかった某メーカーの設計部は、工業大卒しかとらないため、就職試験に2度も落ちました。それでも諦めきれなかった私は、友人から3度目の正直ってあるんじゃないと言われてもう一度受けに行きました。

その時は露骨に嫌な顔をされて、エントランスで断りの説明をされている時に、たまたま通りかかった方が社長で、就職試験を受けさせてもらえることになり、そこからトントン拍子に内定をもらいました。そこでの5年間が自分にとってすごく学びになりましたね。

―――なぜその会社を辞めたのですか?

「学歴社会」という大きな壁を感じたからですね。ある時、給与明細を見たときに「堀さんそんなに給料安いの」と言われまして、2年後に入った新人の給料と自分の給料が7万くらい違うことに気づきました。

間違いかもと思い、部長に言いにいったら、「堀くんは高卒だから、高卒用の給与体系がある」と言われました。仕事では判断しないと言われ、リーダーをしていましたが部下より給料が低いという状態でした。そこで初めて現実を知りました。最初はそういうものなのかとも思っていましたが、だんだん実力主義の会社も出てきて、次の職場を考えるようになりました。

ただ、何がしたいというのはなくて、それより生きていく為にはどんな能力が必要なのか、人として自分を成長させるためにはどうしたらいいかを考えた時に「出会い」というキーワードが出てきました。今までは機械相手だったので、今度は人を相手にした職にしようと、不動産の営業職に就きました。

会社ってこんなもんかと絶望し、ニート生活に。

—— 営業の中でも不動産の営業になったのはなぜでしょうか?

当時はマイナビ、リクナビ、インターネットもなく、求人雑誌を買ってきて読んでいたのですが同じようなことしか書いてなくて、どこにいったらいいのか分かりませんでした。だから、本を一旦閉じて、目をつぶって指差したところからいこうと。

そして、たまたまそれが不動産の営業だったのでそこにいくと、すぐにいつから来てくれる?という話になりました。「そんなに簡単でいいのか」と聞くと「堀さんは前の会社で5年働いているのでそれだけで信用があります」と言われたんです。「最低でも3年、人として成長するため、世間の信用を得るためにも働きなさい」と言ってくれていた親に感謝しましたね。

でもそこはブラック企業でした。それでも2年勤務を続けた時にふと周りを見ると、10年続けている先輩も同じことをしていることに気づいたんです。これって自分の10年後だなと思ったらすごく怖くなって何かしないといけないと焦りましたね。やりたいことは分かりませんでしたが、そこは違うなと思って、次の職場を決めずに辞めました。でもそこからが悪夢だったんですよ。

1社目は学歴で給与を低くされ、2社目はブラック企業だったので、会社ってこんなもんなんだという思いが強くありました。それから半年ニートをしまして、アルバイトもしていませんでした。夜飲みにいって朝帰ってきて寝るという生活を繰り返していました。もういいやと無気力状態になっていて、ある意味失敗した年だったと思います。

そんな時、私を心配した友人が「お前ダメだよ、会わせたい社長がいるから会おうよ」と、自分と1つしか歳が変わらない社長と会わせてくれました。

ディ・ポップスの社長と出会い、夢を見つけた

その社長に「堀くん夢って何?」と聞かれたときは、「これネットワークビジネスじゃん」と思ってこんなところに連れてきたのかよと友達を睨みました。でもまあいいかと、話だけは聞いてみようと思って「夢はないです、あなたの夢は何ですか?」と切り替えしました。

するとその方は、「おれ学校作りたいんだよね」と言ったんです。

彼は留学でイギリスに行き、大学で社会人と学生の交流が当たり前に行われている光景を見て、あまりの日本とのギャップに愕然としました。将来のために大学で学ぶという現地の学生の姿勢に、このままだと日本は負けると思ったそうです。そこで日本の若者が夢や目標を持ち、それを実現できる環境を作りたいというのが彼の1つの目標になりました。

その時はその会社に入る気はありませんでしたが、その社長の夢は面白いなと思いました。それがきっかけで自分の5年後、10年後のことを考えるようになり、結果的に社長に一緒に働かせてくださいとお願いしました。

その会社が、今の親会社のディ・ポップスですね。そのグループの代表がその時の社長です。ウチの会社は入ったら夢、目標の明確化をするんですけど、私も当時3ヶ月くらいかけて言語化しました。

―――どんな目標を立てたのでしょうか?

私は浅草の下町で育って、両親共働きだったのでいつも喫茶店で預かってもらっていました、
そこにきている自称小説家や自称学生の人に勉強を教えてもらったり、すごく居心地が良かったですね。そのコミュニティがすごく楽しくて、あの空間をもう一度生み出すようなビジネスがしたいと、カフェ事業を展開するという目標を作りました。

どういうカフェにするの?どこに出すの?いくらかかるの?ということを深掘りし、不動産を何店舗も回りました。その結果、自分のやりたい施設を実現するには約2億円かかるという計算になったんです。2億円を稼ぐには、何歳までにどうしていたらいいのか考えた結果、ディ・ポップを大きくしていこうという結論に至り、今もまだその挑戦は続いています。

1億5000万円かけたカフェが1年で閉鎖。そこから学んだ夢を叶えるために一番大事なこと。

—— ディ・ポップで働く中で一番失敗したことはなんでしょうか?

カフェ事業の失敗ですね。ディ・ポップでモバイルショップの運営をしていて、6年後にたまたま原宿の物件を借りることができたので、ベーカリーカフェをしたいと手を挙げました。神戸屋さんに1ヶ月住み込みで教えてもらって、ベーキングの資格をとって開きました。

しかし、資金1億5000万円かけて、1年間で閉鎖しました。

代表に「もうやめよう」といわれたときは、3日間休みましたね。鎌倉の由比ヶ浜にずっと座って、何も考えられなかったです。時間の経過がわからないくらいずっと砂浜にいました。本当に大きな損害を出してしまったことが自分の中ではショックで、できると思ったのに上手くいきませんでした。モバイルで役職について部下たちもいる中、意気揚々とカフェ事業を始めたのに、結果足を引っ張る形になり、もう会社にはいられないと思いました。

その時、代表から電話がかかってきまして、「新卒をいれたいから、人事をしてほしい」といわれました。なんで自分なのかと聞くと、代表は「お前はこれ以上こんなに失敗しないよね、それに会社の歴史や想いを一番知っているのはお前だよね」と言ったんです。そこから数十年間人事をしました。

―――人事をやって欲しいといわれたときまた失敗してしまうのではと不安はありませんでしたか?

ありましたけど、代表から「お前は、この会社を自分から辞める権利はない」といわれたことが大きかったですね。自分が辞めようと思った時にいわれたので非常に嬉しかったです。1回大失敗しているからこそ、次どうやったら失敗しないのか考えて動くことができますよね。自分の中で成功するまでやりつづけようと思いました。

また、カフェを失敗したことについて、代表から「おめでとう」といわれました。嫌味かと思ったんですけど、代表は「カフェやりたいといった目標を実現して、夢1つ叶えたな」と言ったんです。

「成功だけが夢を叶えることではないし、カフェをしたいという目標を実現するなんてなかなかできないよ。それをお前がなんでできたかっていうと、6年間与えられた環境の中でベストを尽くすことをストイックにやってきてくれたからだ。その行動や成果がお前の信用・信頼という財産になっていった。そんなお前だからこそ簡単にやっていいよと言えたんだ。だから、人事になって若い人たちに『夢を実現するには、能力ではなく信用や信頼が一番大事なんだ。』と教えていって欲しい。」と。

私はこの言葉で、自分のマネジメントのやり方を変えていくことができました。

小さな願望から自分の目標を見つけてほしい。

—— 人事から会社の設立に至ったのはなぜでしょうか?

その間、会社も100億を超えるくらい大きくなってきて、もっと挑戦するステージをつくろうとグループ経営に切り替わっていきました。それで、自分がずっと長く人事をやっていると会社の成長を抑えてしまう気がして、会社が飛躍するためにも人事から出ることにしました。

人材開発をもっとストイックにやりたいなと思い、たまたまディ・ポップが派遣会社のグット・クルーを作っていたのでそこに入って、外から資金を調達できるような企業にしようと立ち上げたのが今の会社です。

グット・クルーに入った当時は売り上げが10億円もなかったのですが、4年間で20億にもっていくことができました。これから60億、100億円をグット・クルー単体で売り上げたいと思っています。難しいことだけれど、一度経営を体験したからこそ、自信をもって挑戦できているのではないかなと思います。

―――最後に若者へのメッセージをお願いします。

夢、目標は持った方がいいですね。

また、自然の摂理に逆らわないでいることが大事だと思います。人間、なにをするにもみんな自然とゴール設定をしているんです。何食べたい?どこに行きたい?という小さな願望から始まるんですよ。人生の目標を考えようとすると、そういう普段の願望を見逃してしまいがちです。

まずは小さな願望でもいいので、どんな人になりたいと思い浮かべることができたら、そのままそこに向かっていってください。

そして、自分の選択を大事にしてほしいなと思います。何が正解か分からなくなった時も、今までの経験に対して自信をもち、そこから判断した方がいいですよ。そのためにいっぱい経験を積んでもらいたいですし、それが挑戦になっていくと思います。行動せずに情報から判断するのではなく、自分の行動に基づく判断軸を持ち、人生を謳歌してほしいですね。

株式会社グッド・クルー

設立 平成18年 7月
資本金 5億484万円(グループ合計)
売上高 200億円(グループ連結2018年度見込)
従業員数 1,500名(グループ総数)
事業内容 Talent Loyalty Support:人財支援事業 営業・接客を中心に若者の働く環境と人材ニーズの高い企業をマッチングさせ、企業のサービスであるセールス・運営するサービス。  HR-Agent:人財紹介事業 若者を中心に当社のサービスでインターンによる育成コンサルや、スタッフ及び学生に向けた企業の紹介をするサービス。  Sales Promotion:イベント企画・運営事業 ユーザーと企業のサービスをマッチングするためのイベント企画から制作、そしてイベント全体のプロモーションを行うサービス  Mobile Expert:特化型人財育成事業 通信キャリアのドコモショップ、auショップで働くスタッフ向けのOJT・育成・研修するサービス、また店舗運営責任者への店舗コンサルティングサービスも展開中です。
URL https://twitter.com/good_crew_saiyo http://good-crew.hateblo.jp/ https://hrmos.co/pages/good-crew
この記事が気に入ったら
いいね ! しよう