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【株式会社ONE COMPATH(ワン・コンパス) 早川 礼】大切なのは「自分の存在価値を考えること」 1万人の中で最も社長の理想像の近くにいた理由

2019/10/23

Profile

早川 礼

株式会社ONE COMPATH(ワン・コンパス) 代表取締役社長CEO

1977年生まれ。2000年に凸版印刷に新卒入社。2006年まで営業職にて旅行会社や食品会社を担当。2006年〜2011年まで株式会社BrandXingへ出向。ブランディングからCRMを担当し、広告代理店の営業兼企画まで広く携わる。2011年~2019年まで凸版印刷にてShufoo!事業に関与。広告商材開発、プロモーション・販促・広報、アライアンス、サービス開発など担当。2019年、株式会社ONE COMPATHを立ち上げワンマイルイノベーションを促進するサービスを中心に展開。今回は凸版印刷の社員の中から新企業の社長に抜擢された理由を聞いた。

未来のわたしたちが向かうべき方向を指し示す、たったひとつのコンパスになりたい

—— 株式会社ONE COMPATH(ワン・コンパス)の事業内容を教えてください

我々の会社はインターネットメディア企業になります。代表的なサービスに、電子チラシサービスのShufoo!(シュフー)や地図検索サービスのMapion(マピオン)があります。凸版印刷は99%がBtoBの事業体ですが、今後は、トッパングループ全体としてBtoBとBtoCの両輪で事業を進めることがデジタルトランスフォーメーションを加速できるという考えのもと、Mapionを運営していた株式会社マピオンを母体に、凸版印刷が運営していたShufoo!を事業承継する形でONE COMPATHが生まれました。

我々は「ワンマイルイノベーション」といって、「日常や一般生活にイノベーションを起こして、身近(ワンマイル)な人を幸せにする」というミッションを掲げ、日々サービスを展開しています。

今の大きな課題としては、2つの組織が統合されてまだ数ヶ月ですので、社員やカルチャーを合わせていくことが挙げられると思います。自分もそこを第一にして社員の声に耳を傾けています。人数規模としては、ONE COMPATHの前身であるマピオン社から90名と凸版印刷でShufoo!関連事業に携わっていた30名の合計120名ほどです。

—— 元々早川さんは凸版印刷の課長職だったということで、いきなり社長になられたと思うのですが、現状の心境はどうでしょうか。

そうですね、本当に最初は右も左もわからなかったですね(笑)。凸版印刷は1万人規模の大きな会社で、社長は身近な存在ではなかったので、社長としてどうあるべきか、考えたことがなかったんですね。
なので今はいろんな企業の経営者と会うことを日々の日課としています。今週も3人の社長と会ってきて、「社長って何?」みたいなことを色々質問しました。「こういうこともやるんだ」「こうすれば良いのか」と思うこともあって、勉強している途中ですね。

1万人の中から選ばれた理由

—— ONE COMPATHを立ち上げるとき、凸版印刷の中でも早川さんが選ばれた理由は何だと思いますか?

いや〜なんででしょうね(笑)。ありがたいことに「早川しかいないと思った」と言ってもらえたことはありますが、具体的に何かを言われたことが無くて。背景として、これまで様々な領域に携わってきたことが繋がっているのかなと推測しています。
商業印刷の営業を経験した後、出向した4社によるジョイントベンチャーの会社では企画を含め職務は多岐に渡り、凸版印刷に戻ってからは新規事業分野にも携わるなど、本当に多くの環境に身を置かせていただきました。ONE COMPATHが2つの組織を合わせるという環境なので、柔軟でニュートラルな思想の持ち主が必要だったのかなと自分では思っています。

—— 社長になることを勧められたときの心境はいかがでしたか?

全く想像していなかったことなので、衝撃しかありませんでした。言われてから1週間考える時間をもらいましたが、その期間はすべてが上の空で全く仕事になりませんでしたね(笑)。結局、やらないと後悔すると思い、どのみち後悔するとしてもやってから後悔しようというのが決めたときの心境でした。

誰でもない、「自分」がその仕事をすることの価値は?

—— 早川さんの人生の失敗談を教えてください。

ジョイントベンチャーの広告代理店に出向している時のことです。ささいなことですが、大きな衝撃を受けた事がありました。その会社を立ち上げるときに、名刺など様々な会社のツールを作る役割を担当しておりまして、その中で案内状を作っていました。パートナー企業やクライアント企業に、会社ができたことを報告するパンフレットみたいなものです。

案内状のラフを社長に確認してもらい、社長から指摘された修正を反映して、再度社長に見てもらったんです。その時の案内状は、実は「赤字通りに直したものの、ちょっとバランスがしっくりこないな」と思っていました。案の定社長も「ん?」っていう顔をして「バランスがな〜」とつぶやきました。なので、「確かにちょっとバランスが悪いんですけど、いただいた指示通りに直しました」というと、社長はものすごい剣幕になり「それを考えるのがお前の仕事だろう!」と。めちゃくちゃ怒られました。

それまでの私は、上司やお客様から言われたものは「絶対的な意見」だと考えていました。ところが社長にめちゃくちゃ怒られた時に、私の仕事は社長の指示を守ることではなく、その案内状を通して、出向先の会社の良さを最大限に伝えることなんだ、と改めて気付かされ、はっとしました。

自分で判断し行動することがイノベーションの一歩という確信

—— その失敗から得た教訓などを教えてください

そうですね、その失敗を機会に、自分が今何を求められているのか、自分の価値を発揮する場所はどこにあるのか、何に関しても意識するようになりました。また、自分が考えるベストとは何かを自問自答するようになりました。

リクルートさんが掲げる有名な行動指針の1つに「圧倒的な当事者意識」がありますが、やはりどんな仕事でも、振られた瞬間に100%自分の仕事として認識することがイノベーションの一歩になり、ベストに近づいていくことになると思っています。

そういったこともあって、当社の行動指針の1つに「My Opinion(マイオピニオン)」を置いていて、自分がどう思うかを一番大事にしよう、という意識を社員にも共有しています。ONE COMPATHには様々な事業がありますが、ひとりひとりが「私がやるんだ」という意識を持つことができれば、思いもよらないイノベーションや組織の発展につながると考えています。

今の環境にいる理由をしっかり考えることが出来れば、必ず行動につながる

—— 最後に若者(今の大学生)に伝えたいメッセージをお願いします。

「経験と成長のバランス」を自分で見極めることが大切、ということを伝えたいです。 経験値が少ないうちは成長できる範囲やスピードが大きいですが、一定の期間を経験すると、成長が鈍化する傾向があると思います。

キャリアを作っていく上でも、経験と成長の均衡点を見定めることは重要なポイントです。やっている仕事に「慣れてきたな」と思うタイミングでテーマや環境を変えるという判断を、自身で下すことが大切だと思います。

前職では1年に1回、職務に関するアンケートがありました。選択肢は4択で、「今の環境で働きたい」「どちらかと言うと今の環境で働きたい」「どちらかと言うと環境を変えたい」「環境を変えたい」というものでした。
私は毎回必ず「今の環境で働きたい」か「環境を変えたい」のどちらかを選ぶようにしていました。自分の経験と成長の均衡点をしっかり見定めることが出来ていれば、意見は必ずその2択になると思います。

—— どうして成長し続けたいと思えるんでしょうか?

端的に答えることが難しいですが、「なぜ人は生きるのか」に近い感覚があります。最近は「社会のためになりたい」という思いが強くなってきたことを感じます。そのために、自分のできることを増やしたいし、視点を増やしたいし、スキルも身に着けたい。だから「成長」したいのだと思います。

株式会社ONE COMPATH

設立 1997年1月20日
資本金 6億円
売上高 非公開
従業員数 123名(2019年9月末現在/他社からの出向者含む)
事業内容 プラットフォーム事業、ビジネスインテリジェンス事業、メディア事業、コンシューマ課金サービス事業
URL https://onecompath.com/
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