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【株式会社マツリカ 黒佐 英司】「目の前の人の感情は無視していた」指摘を受けて気づいた、自分に素直になる大切さ

2019/09/29

Profile

黒佐 英司

株式会社マツリカ 代表取締役

ニューヨーク州立大学バッファロー校卒業後、新卒で大手ハウスメーカーに入社。営業業務に携わったのち、株式会社ユーザベースに入社。営業開発チームの立ち上げを担当した。その後、2015年に株式会社マツリカを共同設立し、代表取締役Co-CEOに就任。
同社では「世界を祭り化する」というミッションをもとに、クラウド営業支援ツール「Senses」の開発・運営業務を展開している。
「世の中の人を1人でも多く幸せにしたい」と語る黒佐氏は、マツリカを立ち上げるまでにどんな経験をしたのか。世の中の「幸せ」や「挑戦」に対してどんな考えを持っているのか。お話を伺った。

世界中の大人たちが「祭り化」すれば、世の中の人がもっと幸せになる

—— 学生時代に得た考えで、今のキャリアに繋がるものはありますか?

起業は手段として必要だな」というのは学生時代から思っていました。特に原体験があるわけではないんですが、小学生の頃から「世の中の人を1人でも多く幸せにしたい」という信念のようなものを持っていたんです。小学生の頃なんかは信念という概念もないので、思い込んでいた、という状態に近いですね。

なので、その時から「世の中の人を1人でも多く幸せにする」ことについてずっと考えていたんですが、自分1人でやれることって限られているんですよ。そこで、志を共にしてくれる仲間と、より大きなお金が必要だというのを意識していました。仲間と資金という観点から、起業は手段として必要だと考えていました。

—— 起業された株式会社マツリカでは「世界を祭り化する」というミッションを掲げられていますね。これも学生時代の経験がもとになっていますか?

経験としては高校時代に体育祭の運営を行ったことが大きいですね。進学校だけど、体育祭とかイベントにすごく力を入れる高校だったんです。3年生で体育祭の運営幹部になると、浪人が確定するとまで言われてました。

体育祭は9月にあるんですが、4月から準備を始めて、どういうテーマにするかを企画するところから、小道具や大道具、応援を準備し、当日の運営に向かって進めていくんですよ。せっかく進学校に入ったのに浪人を覚悟して、世間の人からするとたかが運動会に半年間没頭する、ってすごいことですよね。

こういう誰かと一緒に何か1つのことに熱中した経験が、「世界を祭り化する」という今の株式会社マツリカのビジョンに繋がっていると思います。「祭り化」というのは、学校イベントの準備に没頭するみたいな、人が何かに熱中している状態です。

社会人になるとそういう瞬間を忘れちゃう人が多いですよね。でも、「祭り化」って学生だけに与えられた特権じゃないはずだし、世界中の「祭り化」を感じられなくなった大人たちが「祭り化」すれば、絶対もっと素晴らしい世界になって、世の中の人が幸せになる、って思ってます。

目の前の人や感情に素直になることも重要なんだな

—— 現在の会社を起業するまでに、何か挫折経験があれば教えてください。

1社目は営業ゴリゴリのハウスメーカーに入って、そこは営業成績の数字が全てなところがあったんですよね。そこで、自分は入った時から売れ続けてずっと営業成績が優秀だったんですよ。先輩からアドバイスをもらった時にも、「自分の方が売れてるからな」って思っちゃって何も聞かないような性格だったので、先輩や上の人からするとそりゃ気にくわないように映るというか。それでも、先輩から嫌われて教えてもらえなくなっても、自分は売れていたからよかったんです。

—— それは尖ってましたね(笑)

そんな感じだったんですけど、3年目ぐらいの時、いろんな人から「お前人に興味ないだろう」って言われたことがあったんです。ちょうどその時初めて営業成績が少し落ちたタイミングだったのもあって、考え直しました。

ある1人の上司が気づきのきっかけになってくれましたね。最初はがあああっと「お前自己中だろ」「人のこと興味ないだろ」って言われたけど、自分の意見を話すと全部受け入れて返してくれて、話し合うようになりました。それで、もっと目の前の人や自分の感情に素直になっていい、ということに気づきましたね。「人が好きなら、好きって言っていいんだ」って。

どういうことかというと、自分は「1人でも多くの人を幸せにしたい」って信念があるので、ぶっちゃけ目の前の人の感情の動きは興味ないんですよ。目に見えない多くの世界の人たちの幸せを考えています。同僚や友達や恋人よりも、自分が見たこともない、世界のどこかの人の方が重要なんですよ。

—— 目の前の個人の幸せではなく、世の中の幸せを最大化することを考えている、ということでしょうか?

そうですね。目の前の人の怒ったり笑ったりしていること、目の前に困っている人がいたら手を差し伸べること、その時まで自分は無視していたんです。でも、目の前の人や自分の感情に素直になるっていうことも重要なんだな、ということに気づきました。

それまで無駄に嫌われて、敵を作っていたわけですよ。でも、自分も敵を作りたいわけじゃないので、意識を少しづつ変えていきました。

コミュニケーションを諦めたくない

—— その意識の変化が、仕事でのコミュニケーションにどう影響を与えましたか?

その後ハウスメーカーの営業を辞めてユーザベースという会社に入ったんですが、その時は業務だけじゃなくて、メンバーのプライベートにがっつり入り込んでコミュニケーションをとるようにしていました。上司という立場にいながらも、尖っていたときと比べたら格段に愛される(笑)キャラになったと思います。

ワークライフバランスとか言いますけど、結局バランスなんか取れなくて、プライベートが良くなかったら仕事にも影響出るし、仕事が調子良かったらプライベートもハッピーになるんですよ。最近業績が悪くて成果が出にくくて、っていうのはプライベートにも要因があることが多いです。なので、メンバーの仕事面だけではなく家庭や恋愛などの悩みをケアすることにもがっつり時間を使っていました。

また、起業して経営者になった今でも、コミュニケーションを諦めたくない、と思っています。経営者になるともう一人一人に対して多くの時間を使えないので、前職の属人的なケアみたいなことは完全にやめていますが、会社組織としてコミュニケーションできる仕組みを作るっていう意識でやっています。

この先会社が何人になっても、従業員が考えていることを放置していたくないし、コミュニケーションを取る方法を模索し続けたいと思っています。これから100人200人となっていく中で、全員と一対一で時間をかけて話す、っていうのは無理だと思いますが、それでもベストなコミュニケーション方法をとることを意識し続けたいですね。

事前に想定していれば、倒産だって大したことない

—— 最後に「失敗が怖くて挑戦できない」学生にメッセージをお願いします。

「失敗を恐れず、チャレンジしろ」とかよくいいますけど、そもそも失敗なんて未然に防げます。想定して仮説を立てることが重要なんですよね。もちろんチャレンジ精神とか、恐れるな、っていうのも重要なんですけど、マジで何も考えずに恐れず突っ込んで、失敗したらバカじゃないですか。事前に想定して、本当にチャレンジできるかどうかをちゃんと考えればいいんです。

自分は失敗しないんですよ。なんでしないかっていうと、全てのことを想定しているからです。たとえば、「起業したらどうなるのか」、「起業して最初のサービスが作れなかったらどうなるか」、「半年でできるはずだったものが1年かかったらどうなるか」、「人が集まらなかったらどうなるか」、「お金がなくなったらどうなるか」、とかも含めて全て考えてるんですよ。

起業する時だけでなく、何かをやる時は、いつも全て想定しています。なので、結果的に失敗しないというか、ある種失敗とされることでも、失敗と思っていないんですよね。自分としてはもともと想定していたことなので、それに対する対処方法も考えているわけです。

考えて、イメージして、想像して、調べれば、全てのことは想定内です。起業した会社が倒産することだって、考えれば全然大したことじゃないですよ。

株式会社マツリカ

設立 2015年4月30日
資本金 200,525,000円(資本準備金含む)
売上高 非公開
従業員数 74名(2019年9月時点)
事業内容 クラウド営業支援ツールSensesの開発・運営業務
URL https://mazrica.com https://recruit.mazrica.com https://times.mazrica.com
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