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【株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ 野口 功司】「夢ではなく志を持て」社会に貢献する事業にこだわる社長の横顔とは

2019/09/28

Profile

野口 功司

株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ 代表取締役

大学卒業から起業するまでに7回転職し、SEや営業、人事に法務などさまざまな職種を経験。2009年に株式会社CBT-Solutionsとして独立し、代表取締役に就任。
同社は、CBT(Computer Based Testing)サービスおよび試験運営のための全般の委託サービスを行っており、全国47都道府県に合計270の認定テストセンターをもつ。
「社会貢献のできる会社を作りたかった」と語る野口氏は社会的意義や資格検定についてどのような考えを持っているのか。お話を伺った。

「世の中の人を幸せにした人は生きる価値がある」小学3年生で見つけた存在意義

—— 経営者になりたい、と考えたきっかけを教えてください。

僕は小学3年生の時に、自分の存在意義について悩んだ時期がありました。もう3日も寝れないくらいの葛藤でしたね。「自分の生まれてきた意味は何なのか」についてすごく悩んで、やっと出した答えが「人間の存在自体に意味はない」というものでした。先天的に人間に生きる意味なんてないが、ただ、後天的には生きる意味を作り出せると考え、世の中にとっていいことをしたり、誰かを幸せにした人は生きている価値がある、と考えました。であれば、「社会に良い影響を与える人間になろう」と決意し、選択肢を色々考え、経営者が一番現実的だったので経営者になろうと決めました。

また事業としては、ITを軸としたビジネスをやろうと考えておりました。社会貢献のために経営をしたかったので、負けない、倒産させない、勝つ戦略を編み出さないといけません。倒産すれば、事業に携わっている社員やパートナーさんの仕事もなくなって、路頭に迷わすし、お客さんもサービスを使えなくなります。社会貢献をしたくて起業をしているので、人に迷惑をかけるようなことはしたくありません。

だから、当時パソコン等はまだ普及はしていなかったですが、いずれITが重要担っていく事は明白でしたので勝つ戦略としてIT軸でやっていこうと思いました。小学3年生の頃から自分でプログラミングを勉強し、ゲームを作ったりしてました。大学も情報工学を専攻し、そのまま東京でSEに就職しました。

「喜怒哀楽の表現できるキャラクターが必要だった」人の指導側に立つための表現力

—— 野口さんはSEをしたあとも転職して様々な職種を経験されていますね。たくさんの職種を経験する中で失敗した経験はありますか?

失敗はないんですけど、苦労は死ぬほどしています。経営者として必要なものをサラリーマンのうちに身につけたかったので、いっぱい転職して、マーケッターや営業、法務や人事もやりました。どれもやっぱり最初は知識がないから苦労します。法律とか文章が難しいしもう何言ってるかわかんなかったです。でも努力するうちにわかるようになりました。

失敗や苦労は、次の成功への糧と考えています。最終的にその経験を活かして成功すれば勝ちですから。なるべく苦労を楽しむ様にしています。

—— 多くの職種を経験する中で、特に苦労した職種は何でしょうか?

プログラマーから営業に転職したばかりの時は、喋れなくてなかなか苦労しました。自分は九州男児で、「男は喋らない硬派がカッコいい」っていう文化があったんです。そのため会話が苦手で、会話の技術を磨くのに相当苦労しました

本も読んだし、喋る修練もしたし、喋れるようになるまで、1年はかかりましたね。もちろん営業のためのトーク力も必要だったんですけど、自分のゴールである経営者になるための喜怒哀楽の表現力を作る必要があったんです。日ごろは気楽に相談できる存在だが、怒った時は怖くて、時には説得力のある心にしみることも言えるし、悲しい時は一緒に悲しめる、っていう。それは、そういう事ができるキャラクターから作り上げる必要がありました。

キャラクター性って重要で、例えば漫才でいくら面白いネタがあっても、それをやる人のキャラクターにあっていないと、笑えませんよね。たとえば和牛がやるネタを違う漫才コンビがやっても同じ様に面白いとは思いません。あの女性キャラとツンケンした男性キャラがやるから面白いわけで。

それと同じように、表現力においてキャラクターって大事で、日頃チャラチャラしてるやつが、心にしみる言葉を言っても、「うん?」ってなるし、日頃恐い人が急に明るく演じても違和感を感じるだけです。

なので、威厳も保ちつつ、喜怒哀楽を全部違和感なく出せるキャラクターの形成は、かなり時間をかけて研究しました。喋り方だけじゃなくて、日頃も違和感なくそういう人格を出せるように、修練しました。結果、後天的に作られた人格ではあるけど偽物ではなく、自然にそういう人格になっていきました。

努力をするプロセスで得た能力は、やっぱり役に立つ

—— 努力で人格まで形成できるのですね。野口さんが努力をする上で、大切にしていることはありますか?

具体的なHow toを見つけることですね。失敗やミスに対して、「どうやったら具体的に最短ルートで修正できるのか」を明確にします。重要なポイントは頭で理解する。仕組み化できるものだったら、ミスを繰り返さないような仕組みを作り上げます。そういうプロセスを一手一手作り上げることが大事ですね。

自分で失敗の原因を考えて、自分で苦労して対策を作り出せば、同じような問題では、そんなに簡単に躓きません。他人に解決策を与えられただけだと、類似の問題に対して応用が効かないといった事になりがちです。でも、自分で考えて自分で苦労してやれば、本質を捉えることができ応用ができる様になります

それと、くじけぬ心を持つことは大切ですね。目標ラインにいくまでやり続けることです。僕はやるって決めたら、毎日3~4時間、1年間1000時間とか簡単にやれる人間なんです。40過ぎてからダーツを始めたんですけど、毎日3時間くらい練習をして、一般アマチュアには負けないぐらいのレベルにはなりましたよ。

努力は裏切らないんです。結果はあまり重要ではないですが、その努力をしたプロセスで、身についた能力、乗り越える技術、精神力っていうのは絶対に次に活きるんですよ

「必ず勝てるビジネスモデルを確立する」資格・検定の社会的意義とは

—— 起業して、試験運営に関する事業を立ち上げたのはどうしてなのでしょうか?

それは運命かもしれないですね。IT業界の仕事をやる中で、検定業界の仕事に偶然多く出くわしたんです。2番目に転職したオラクルって会社で、オラクルマスターって試験制度の試験主催者の仕事をやることが出来ました。その他にも、SE時代に検定のシステムを作ったり、CBT運営会社で働いたりと、検定業界の知識が非常に蓄積されていきました。

自分は必ず勝てるビジネスモデルを確立する必要があったので、その業界に深い造詣ができたことは大きかったです。検定の中でこういうサービスをやれば必ずうまくいくし、社会貢献性は高いだろうと考え、資格・検定業界を支える事業を立ち上げました。

—— 資格・検定にはどのような意義があると考えていますか?

資格・検定その物にそんなに意味があると思ってないんですよ。資格を取ろうと、自分で選んでお金払って勉強したその努力のプロセスと意思に意味があると思っています。

経理簿記をやりたい人が簿記2級をとったりしますよね。努力したプロセスで得た知識やスキルは、結果その仕事をやった時に活きますし、その資格を選んだのは「私はこれで働くんだ」っていう趣向性の現れだと思うんです。なので、その人にはそういう仕事をやらせるべきで。

当社が提供する「資格de就職」サービスでは、その取った資格をKeyコンテンツにして就職マッチングをする新しいサービスです。資格にはその人の働きたい分野への知識と意思を表していると言えるので、就職マーケットの雇用のミスマッチ問題の解決だけでなく、折角就職先が決まっても長続きしない問題もありますので、資格を活用したこのサービスが本問題への解決策に繋がり、資格取得者が伸び伸びと自分本来のフィールドで働ける環境構築に役立ちたいと考えております。

—— 全国に試験センターサービスもやっておられますが、かなり大変ですよね?

この事業は起業する前に多くの先輩方から辞めておけと反対された事業です。個人出資でやれるようなビジネスじゃない、と言われました。成功のためには、47都道府県全てに試験センターを作らないといけないし、高い技術のシステム等も必要でした。

そのため多くの先輩方に止められましたが、「でも僕はやる」と言ってシステムも作りましたし、テストセンターも世の中にあるパソコン教室さんに一軒一軒電話して、全て契約して、今にいたるんです。まあ努力すれば何でもできるってことですよ。

「夢でなく志をもて」

—— 最後に学生に向けてメッセージをお願いします。

「夢でなく”志”をもて」と言いたいですね。夢っていうのは、自分が幸せになるだけのためのものだと思っています。「あの子と結婚したい」とか「億万長者になりたい」とか。そういう夢とは違って、”志”は「社会的に意義のある事業を作りたい」とか自分だけじゃなく社会に価値を与えるものです。

今の世の中、自分だけの幸せを考えていい時代ではないと思います。少子高齢化で、税金を納める人口より支えられる人口がどんどん増えていき、しかも日本は世界一の借金大国ですよね。労働人口も減っていくし、石油などの資源もないし、人件費も高いからアジアの国にものづくりの地位を奪われていきます。

「そんな日本の未来を誰が支えるのか」と考えた時、やっぱり”志”を持って、社会貢献の事業を作り出していくベンチャー社長みたいな人が必要だと思います。もちろん「そんなの知らねえよ」って自分の幸せだけ考えて、デイトレーダーで稼いだりする人もいるし、それはそれですごい事です。だけど、全員がそうだったらこの国は成り立っていかないですよね。

福沢諭吉の『学問のすゝめ』や吉田松陰の教えなどにもあるのですが、「能力がある人はそれを社会の役立つことに使ってほしい」と私は考えます。若い人たちにはぜひ、夢のレベルを一段あげて志にしてほしいですね。

—— では、”志”はあるけれど失敗が怖くて踏み出せない若者には、どんな言葉をかけますか?

準備をしろ。」ですかね。社会のためにやっていることなんだから、思いだけで人を巻き込んで、迷惑をかけてはいけません。”志”は独りよがりなわがままではいけないんです。思いだけでやらず、潰れないための勉強をし、努力をして、必ず勝つ方程式を見つけ出し、ちゃんと準備してからやってほしいですね。

別に学生時代に独立しなくたっていいし、僕みたいに35から独立したって別に遅くはありません。いっぱい苦労していっぱい学んで、これだったら成功するってのを確信してから、人を巻き込んで欲しいです。

妄想で描いている世界と実際の世界は違うし、社会の時流や法律、技術は変化していきます。それをちゃんと社会に出て学んで、その業界で勝てるだけの経験を積んだほうが、勝利の確率は上がりますよ

株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ

設立 2009年5月
資本金 3,000万円
売上高 33.35億円(2019年現在)
従業員数 65名(2019年9月現在)
事業内容 試験運営総合委託サービス事業
URL https://cbt-s.com https://jpsk.jp https://jpsk-job.jp
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