新規事業で失敗。2千万円以上かけた経費を回収できなかった。
—— 簡単な自己紹介と事業内容を教えてください。
起業までの流れを簡単にお話しすると、大学卒業後は婦人服のメーカーで約11年間アパレルの営業を勤めました。その後IT業界に身を投じ4年間お世話になって、それからアスタリスクを立ち上げました。2019年10月で15期目を迎えます。
会社はソフトウェアの開発やWEBサイト構築のIT事業と、アルティメットナーバスというドッグウェアブランドの企画・製造・販売、加えて横浜の元町にドックサロンを構えたペット事業を営んでいます。
—— 会社を経営する中で失敗したことはありますか?
まず最初に、「失敗」とは思わず「経験」として捉えています。
過去に新規事業として、フェスやライブハウスで音楽をやっているアーティストに曲を登録してもらい、それをリスナーが購入する、いわゆるiTunesのインディーズ版のようなサービスを展開したんですよ。開発期間に1年ちょっとかけて、お金も2千数百万円かけて。
ただ、結局そのサービスでは売り上げがたてれなかったんです。制作で1年、運営も約3年かけてやってきたけど、思ったほど数字が取れず、日に日に経費だけがかさんでいったんです。最終的に4年半くらいで終了することになりました。
2千数百万円もの経費を回収できずに閉じるのは苦肉の策ではあったんですが、これ以上サービスを続けてしまうと負債が更に大きくなり、他の事業にも影響が出てしまうと判断したので、泣く泣く撤退しました。
しかもその後に、当時関わっていた幹部含めた人たちがみな辞めてしまったんですね。辞めた理由はもちろんいろいろあるんですが、この新規事業の失敗が一つの要因でもありました。
信用したい。新事業が失敗に終わった原因とは。
—— その新事業が失敗した原因は何だったと思いますか?
なぜ失敗したかっていうのは、完全に僕に責任があるんですが、その事業は幹部を中心としたメンバーがずっとやりたいと言っていたサービスだったので、自分はあえて口を出さず全てを任せることにしたんです。自分たちの事業として、自分たちのサービスを作りなさいと。
ただ、携わったメンバーは元来エンジニアなので、作ることで満足してしまいます。僕は生粋の営業マンなので、「作って終わりではない、作ってからが勝負だ!」っていうのをことあるごとに伝えていたんですが、なかなか営業的な発想とか、展開とか、戦略とかを立てれないまま時間ばかりが経ってしまったんです。そうしてるうちに、大手さんが同じような仕組みを作ってきて。
そうなるとアーティストがそっちに流れ始めちゃうんですよ。うちは広告費をそこまでかけれなかったし、アーティスト集めも地道にやっていました。逆に大手さんはガツンと宣伝して、ドーンとアーティストを集めて、有名どころも入られると、他のアーティストもやっぱりそっちにいってしまうわけです。
うちはアーティストが離れ、登録している楽曲も減り、売り上げが立てられなくなって撤退となりました。
—— それは任せすぎたというのが大きな原因だったのでしょうか?
そうですね。任せすぎた私の責任です。ただ、僕としては自分で会社を立ち上げたように、またドッグウェアのブランドを作って展開したように、皆にも同じように新たなる道を築いて欲しかったんです。
「会社が10年を迎えたら、自社開発とか自社サービスを作りたい」って言ってくれてた幹部たちの発案だったので、じゃあみんなで力を合わせてやってみればと。そこで僕が営業的に手を出しちゃうと、彼らが面白くないと思ったんです。
実は展開途中にももう難しいんじゃないか?って思う場面はあったんですが、やっぱり信用したいじゃないですか、最後まで。だからこれはしょうがないですよね、反省というか良い経験です。今考えると、何か手を差し伸べてあげればよかったかなとぶっちゃけ思っちゃいますけどね。
自信がついてから前向きになれた。失敗を乗り越えるということは失敗を糧にする力。
—— その失敗をどう乗り越えたのでしょうか?
新規事業は僕がもう少し一緒に取り組んでいたら変わっていたのかもしれません。ただ、僕は失敗ではなくてそれを経験として捉えるから、特に乗り越えたという思いはないんですよね。
お金はかかったけど、いい勉強としてそれを僕が次に活かせればいいだけのこと。でも、やっぱり悔しい気持ちもあるから、それを糧にできるかどうかだと思います。失敗と捉えて落ち込んでいるだけではダメ、進まないと。
次に切り替える力が自分にはあったので、今でも楽しく会社を続けられているんだと思います。
—— なぜ、そんな前向きな考えでいられるのでしょうか?
もちろん、昔から普通の人よりは前向きではあったと思うんですが、やっぱり自分に自信がつき始めてから更に変わりましたね、強くなりました(笑)。
特に自信がついたのは突っ走っていたアパレル時代のときです、これでもトップセールスでしたからね。あとは社長になってからも一国の主として行動するうちに、自然と自信がつき、前向きに考えられるようになったっていう感じです
周りを気にする必要はない。やりたいことは身の振り構わずトライしなさい。
—— 失敗してしまった時の周囲の反応が気になってしまって挑戦できない人もいると思うのですが、何か行動を促す方法とかありますか?
もちろん影でいろいろいう人もいるだろうけど、僕が学生の時にそういう奴がいたらブッ飛ばしたかな。(笑)
新事業で失敗した時に心配してくれたり、助けてくれる仲間がたくさんいました。なので何かやって失敗しても、「大丈夫か?」って声をかけてくれる友達がきっといると思うんです。
若い時ってやっぱり悩むと思います、未知なる道ばかりだから。必要以上に周りを気にせず、失敗を恐れずにトライし、真っ直ぐ歩を進めていった方がより楽しい人生を送れると僕は思いますね。